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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
2回までの質問
しおりを挟む「命を脅かされるって・・・冗談にも程があるだろ」
引きつった笑みを浮かべて、□□□に言う。しかし、□□□は首を左右に振り、否定する。
『なんで貴方に私がメリットのないことをしなきゃいけないのよ。それに無駄話してるほどの時間もないの。エルケイスに突き破られた腹部は私の力で修復中だから、あと数分で目覚めるわ。だから、大切なことだけ話してるの』
□□□は呆れた表情で俺を見たあと、そう説明する。どうやら、俺はまたあの世界に戻るらしい。
『まぁ、話すことはとりあえずこれで終わり。残りはまた今度。という訳で、聞きたいこととかあるかしら?なんでもいいわよ』
スクリーン(?)を消し、代わりにふかふかの椅子を召喚し、腰を下ろす□□□が足を組んで尋ねる。
「質問…じゃ、じゃあ、三つ質問していいか?」
『ダメよ。質問は二つだけ。それ以上は答えない』
「…わかった。 少し考えさせてくれ」
『いいわよ。 あと5分あるし、その間に考えなさい』
□□□は砂時計を召喚して言う。わかりやすく残り時間が映し出されている。
…質問は二つ。 変な事を聞けばそれで終わりだ。貴重な質問を無駄にしたくない。よく考えるんだ。まず、1番聞かなければならないことはなんだ? この世界についてか?いや、そんなことはエルケイスやリンゲルに聞けばいい。じゃあ、何を聞けばいい? ・・・あ。あるじゃないか、聞きたいこと。エルケイス達でさえ分からなかった俺の中に眠る『ナニカ』と、アグラスドヴェインが言っていた『障壁』。ちょうど2つあるし、聞くとしよう。
「じゃあ、最初の質問だ。お前が俺の中に眠る【ナニカ】なのか? 」
こいつが【ナニカ】でもおかしくはないと俺は思う。腹部を貫かれたら普通は即死だ。だが、穴の空いた腹部を修復、更には蘇らせるなんて事が出来るのは神か、俺の中にいる【ナニカ】位だ。では、神じゃないのか?と言われれば違うと断言出来る。 というのも、俺にかけられている障壁は神に解けない代物だからだ。
『うーん、確かに私は貴方が死ぬまで眠りについてたけど、その【ナニカ】って言うのは私じゃないわ。恐らくだけど、アイツじゃないかしら』
「・・・あいつ? お前以外に俺の中に誰かいるのか?」
『ええ、いるわよ。私を含めて七体。 私は治癒能力を持つ聖霊だけど、ほかの六体は違う能力を持ってる。各々、目覚めるトリガーが違うから、そこが面倒な所ね。因みに私が目覚めるトリガーは、貴方が【死】を味わった時よ』
□□□がそう説明する。どうやら、俺の中には□□□含めて七体の聖霊がいるらしい。そして□□□は治癒の力を持つ聖霊。
「なるほどな。で、お前の力があれば、俺は何度でも生き返ることが出来るのか?」
『残念だけど、無制限って訳じゃないわ。
それに私の治癒能力【癒償】は治癒をする代わりにそれを癒す程の魔力を吸収しなければならない。魔力は生物にとって、生きるために必要不可欠な代物なの。という事は、魔力が無くなればその生物は死ぬ。今回はたまたま、神が居たからなんとかなったけど、今度はこうはならない。だから、なるべく致命傷は避けるようにして』
□□□は俺の質問にそう答える。そして椅子から立ち上がる。
『さて、そろそろ目覚める時間ね』
「は? いやいや、待てよ! まだもう一つ質問してねえだろ!」
『はァ? さっきしたじゃない。【何度でも生き返ることが出来るのか】って、質問を』
「・・・あれも質問に入るのかよ!? マジか、やっちまった」
自分のミスに腹が立つ。最悪だ。せっかくの貴重な質問をひとつ、無駄にしてしまった。
『それじゃ、またね。アクツ・エイタ』
「あ、あぁ」
□□□の別れの言葉に返事を返すと共に、俺の意識は再び闇に呑まれた。
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