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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
神と賢者が語る歴史 ①
しおりを挟む神聖リディシア城の玉座の間で、シエラ達の試練が終わるのを待っていたのだが、、リンゲルとエルケイスについてくるよう言われ、巨大水晶に映し出される試練の光景を見守るお姫様と王様達を残し、赤い絨毯が敷かれた廊下を歩いていた。
「なぁ、どこに連れてく気なんだよ?」
前を先導する二人に尋ねる。
「うーん、口で説明するのは大変でね」
『黙ってついてこい、異人』
リンゲルと違いエルケイスはとてつもなく口が悪い。これあれだよ。元の世界で、よく俺の事を馬鹿にしてきた公園のクソガキ共と同じだよ。
『・・・誰がクソガキだ? 異人よ』
エルケイスのその一言と共に、俺の頬を何かが掠った。ヒリッとする痛みに顔を顰め、エルケイスを見やる。
『なんだその目は? さっきはわざと外してやったが、次は--当てるぞ?』
そう脅迫するエルケイスの右の手のひらに、小石ほどの大きさと刺すのに特化された鋭さを合わせ持つ氷の礫が現れた。
「いいのか? 俺を殺したら導き手とやらがいなくなって困るのはお前だぞ」
『はっ、脅しのつもりか? そもそも本来は四人の導き手が召喚されるはずだったのだ。だと言うのに、召喚に使う【召喚指輪】が三つ、貴様のせいで何故か効果を失った。ならば、貴様を殺せば新しい導き手を4人呼べるということになるのだ。 だから、早く死んでくれ』
俺の脅しに対し、エルケイスは『馬鹿かお前は』とでも言いたげな表情で無常にもそう言葉を吐き捨てた。
「こらこら、エル。確かに四人召喚出来なかったのはほんとに残念だ。 でも、どうやら彼には【ナニカ】が眠っている。それもこの先、僕らの希望となる【ナニカ】がね」
『ふん、リンゲルは異人を過大評価し過ぎだ。例え、【ナニカ】が覚醒めたとしても、異人に扱えるとは思えん』
エルケイスのその言葉に反論できない。確かに俺がその【ナニカ】に覚醒めたとしても、扱えるわけがない。どうせ暴発して自滅がオチだ。
「うん、着いたよ。二人とも」
リンゲルがひとつの扉の前で立ちどまり、俺達にそう告げる。そして、
「いいかい?ここで見聞きすることは僕達だけの秘密だ」
『絶対に口外するなよ。例え、相手が勇者だとしてもだ』
二人の言葉にはとてつもない重みがあった。俺にしか教えることの出来ない秘密。ゴクリと唾を飲み込み、頷く。
「うん、ありがとう。それじゃあ入ろうか」
リンゲルは扉に手を添え、ゆっくりと押した。ギィーという音ともに開かれた扉の先--そこには、
「・・・んだよ、これは?」
謎の文字の羅列と同じく謎の絵が壁中にびっしりと刻まれていた。
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