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第一章:神聖リディシア王国襲撃編

選ばれた勇者達

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開かれた門の先、俺達の視界に入ったのは--


「エ、エルケイス様!そ、そろそろ勇者と導き手が来ますので、ど、どうか私に席をお譲り下さい!」

ヘコヘコと頭を何度も下げる王冠を頭に載せた爺さんと、

『ハッハッハ! 僕が此処に座っていても問題ないだろう!なんせ僕は伝説の存在なのだからな!』

玉座に足を組んで偉そうにふんぞり返っている小学生くらいの子供だった。その光景に俺とシエラは呆然とし、ミリアーナは微笑ましそうに笑い、リンゲルはため息をついた。

「やれやれ、またエルに良いように振り回されてるのですか、王よ」

リンゲルは杖をつきながら、王冠を頭に載せた爺さんに声をかけた。その声にビクッと過剰に反応した爺さんは引きつったような笑みを浮かべて、

「あ、あはは。 リ、リンゲルよ。意外と早かったな」

と告げた。

「エル。貴方もいい加減にしてください」

『ふん。相変わらずリンゲルはつまらない奴だな!冷めた冷めた。それで、導き手とやらはどいつだ?』

エルケイスと呼ばれる桜髪の子供は、玉座から飛び下り、俺達を見る。そしてその視線が俺で止まる。

『なぁ、リンゲル』

「なんですか?エル」

『まさか・・・こいつが導き手とは言わんだろうな?』

エルケイスは俺を指さしてリンゲルを見る。

「そのまさかですよ、エル。 彼が今回の導き手である--アクツ・エイタ君です」

相変わらずニコニコとした笑顔をうかべるリンゲルはエルケイスの言葉にそう答える。その返答にエルケイスは不機嫌な表情になり、俺の目の前に立つ。自然と俺が見下ろすような体勢だ。

何か用だろうか、と俺がエルケイスを見ると、

『跪け、異人いびと。神の御前だ』

その一言と共に俺の全身が重くなり、一瞬にして見下ろす立場が逆になっていた。両腕の力を抜けばあっという間に地面に激突するほどの重量。誰かが背中に乗っているわけじゃない。まるで俺の周りの重力だけが大きくなった様だ。

「い、いきなり・・・何すんだ?」

俺はなんとか言葉を発する。それに対し、

『黙れ、異人よ。貴様はただ僕に跪けばよい』

五芒星の紋様をした右眼を俺に向けて、そう発した。その一言で俺は何も言葉を発せなくなる。口は開く。しかし、言葉が音となり発されない。訳が分からない。俺はエルケイスには目で、何をしたのか、訴える。

『驚くのも無理はない。貴様は今、身体の自由を奪われ、そして--言葉も奪われた』

エルケイスは淡々と俺の疑問に回答する。

『まさか貴様のような異人が今回の導き手とはな。勇者らも哀れだな』

シエラに一度視線を向け、そう言葉を零した。

…勇者ら?あいつ以外に勇者がいるのか?

『何だ、そんなことも知らなかったのか。勇者に適した逸材は、あ奴だけではない。そろそろ残りの勇者らも来る頃だろう』

エルケイスがそう告げると、見計らっていたかのように、巨大な門が開き、

「へー、ここがリディシア城か。大きい城だなぁ!」

「静かにして。私の勇者としての品が下がる」

「ははは、彼と同じ劣等種が言うことじゃないね」

各々異なる服装をした少年少女3人が、玉座の間に姿を現した。
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