上 下
20 / 117
第一章:神聖リディシア王国襲撃編

逆転主従契約 ②

しおりを挟む

契剣けいそう【アグラスド・プロム】--ミラドウェル家の魔力を吸い、眠りし汝の力を覚醒せよ」

レティリアは1振りの豪奢な装飾がされた剣を床に突き刺し、謎の呪文を唱える。瞬間、俺を包んでいた白光が何本もの光線に変り、首周りへと集束していく。

「我と汝は生と死を共有する関係、言わば一心同体。その証を汝の身体に刻印する--【契剣血痣アグラスド・パラム】」

俺はその詠唱がやばいものだと何となく察し、首周りにまとわりつく白い光線を掴もうとしたが、

「・・・熱っ!?」

焼けるような痛みに俺は思わず手を離してしまう。まるで、陽の光に当たり過ぎて熱くなった鎖の様に熱い。しかし、ここでこの白い光線を引き剥がさなければ、こんな奴と契約しなければならなくなる。二重契約なんてゴメンだ。俺は意を決して、もう一度、白い光線を掴んだ。

「・・・ぐぅ…や、焼ける」

俺は痛みに顔を顰めて、少しで早くと何度も白い光線を引き剥がそうとするが、ビクともしない。

「・・・ふっざけんじゃねええええええええええええ!!」

俺は思い切り喉が張り裂けんばかりの怒声をあげ、白い光線を引っ張る。

「ふふふ、無駄ですよ。アクツ・エイタさん」

お姫様はそう微笑み告げる。が、次の瞬間。

ピシッ、っと白い光線にヒビが入る音がした。

「・・・え!? 【契剣血痣アグラスド・パラム】にヒビが!?」

「もう一回ぃぃいいいいいいいい!!」

一瞬、力を緩め、再び強く掴み引っ張る。すると、パキンっと音がなり、白い光線が完全に割れた。しかし、その白い光線は消えることなく、修復を始め、元の形である輪っかになろうとする。

「なら、こうしてやるよ!くそやろう!」

俺は、修復を始める白い光線もとい輪っかのなりかけをお姫様に向かって投げた。突然の不意打ちに、お姫様は反応することが出来ず、まともに直撃。すると、首へと直撃した【契剣血痣アグラスド・パラム】が修復を終え、お姫様の皮膚に吸い込まれ消えた。

そして--

『【契剣儀式アグラスド・リート】の完了を確認。アクツ・エイタをレティリア・ミラドウェルの主に認定する』

獣のような男の声が部屋に響きわたった。
しおりを挟む

処理中です...