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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
神聖リディシア城 ⑥
しおりを挟む幾つもある石階段を駆け上がり、スピードを緩めずに分かれ道でどちらに行くかなんてどうでもいい事を思考から放り捨て、左へと曲がる。
「ハ・・・ハァッ!」
俺は、視界に広がる赤い絨毯の敷かれた廊下を全速力で走る。一瞬でも足を止めれば、追いつかれる。幾つも扉があり、窓があり、正直、窓から飛び降りればいい、とまで考えたのだが、ここが何階かによってその考えは変わる。ただ、確かめるにはスピードを緩めて窓を開けなければならない。そんな呑気なことしてたら捕まる。
「ハァッ!! 出口どこだよ?! 広すぎんだろ!!」
広すぎる廊下を走りながら、文句を垂れる。どうやらあまり人がいないらしく遭遇率は低い。これならなんとか逃げれそうとは思ったが、どの扉も似たような造りでどれが外に続く扉なのか分からない。何度目か覚えてないが、景色の変わらない廊下を走っている気がしてならない。窓も扉も床に敷かれた赤い絨毯、それに偶に置かれている地球儀に似た水晶がはめられたインテリア。そのどれもが俺が何度も見掛けたものと同じだ。
「一か八か、どこかの扉を開けてみるか?」
俺はとある疑問を解決するためにそう考える。そのとある疑問は、『ループ』。どれだけ走っても同じ場所に戻ってくる現象。『ループ』であれば、今の状況も納得出来る。だからこそ、それを確かめるために扉を開けてみる。
「とりあえず、ここ!」
ちょうど見えた紅い薔薇の絵が刻まれた部屋の扉を開ける。すると、そこには、
「待っていましたよ、アクツ・エイタさん」
と、微笑み告げるお姫様が待ち構えていた。
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