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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
神聖リディシア城 ⑤
しおりを挟む「えーと、失礼なこと聞くけど、頭大丈夫か?」
目の前で瞳キラキラさせて、なんたら騎士団に勧誘してきたお姫様に、俺はそう尋ねる。普通なら人様にこんな失礼なことは聞かないが、今回は仕方ないと思う。むしろ、聞くべきだと思うんだ。見ず知らずの人間を、国を守る組織に勧誘してきたのだ。そんなの異常意外の何があるだろうか。
「ふふ、面白い冗談ですね。 アクツ・エイタさん」
お姫様はニッコリと微笑んで、そう告げた。
「・・・お前、なんで俺の名前知ってるんだ?」
お姫様が口にしたのは俺の名前。聞き捨てならない言葉だ。1度も俺はコイツに名前を教えていない。というか、今思い出したんだけど、医者女にも教えてないのに俺の名前を呼んでたよな。
「なんで、ですか? それを教えて欲しければ、取引といきましょう。どうですか? 『六聖騎士団』に入ってくださるのであれば、貴方が知りたいことを何でも教えましょう」
お姫様は、ふふん、と勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
「あぁ、そうか」
「納得しただけたみたいですね。では、この牢屋から出して、契約の儀を私の部屋で行いましょう」
「・・助かる」
顔を伏せる俺に、お姫様は懐から牢屋の鍵を取り出すと、ガチャガチャと鍵穴に鍵をさす音がして、ガチャリと錠が外れる音がした。そして扉が開き、俺は外に出る。軽く伸びをして、手枷をお姫様にむける。
「これも外してくれ。この状態じゃ、ペンが持てない」
「それもそうですね。では、手枷も外しますね」
お姫様はそう言って、手枷に触れた。すると、彼女の掌から淡い青光が生み出され、手枷が外れて床に落下した。俺は自由になった両手の感覚を確かめて、お姫様に微笑む。
「ありがとうな、お姫様」
「いえ、『六聖騎士団』に入ってくれることを約束してくれたのですから、それ相応の見返りを与えるのは当然です」
「あぁ、ほんとに感謝してる。これで--」
俺はニヤリと悪い笑みを浮かべて、
「さぁ、私の部屋へ参り・・・」
部屋に誘うお姫様の言葉を遮り、真横を通り過ぎて本日2度目の逃亡を開始した。
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