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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
聞かされてない話 ②
しおりを挟む「・・・で、貴方は彼とどういう関係の?」
ミリアーナは足を組み替えて尋ねる。何処と無く威圧が強い気がするのだが、きのせいだろう。てか、気のせいであって欲しい。俺はこういうなんて言うのか、ギスギス?みたいな空気は嫌いなんだ。
「ひぅっ!?」
シエラはミリアーナを見て身体を震わせた。オマケに顔面蒼白になっており、怯えているのがわかる。
「あ、えっと…その…」
オロオロとした表情で、俺に『助けて』という視線を送ってくる。なんか可哀想な気もするが、助けるつもりは無い。俺がチンピラに襲われてたのが自業自得なら、ミリアーナに怒られるのはあいつの自業自得だ。
「無関係みたいな顔してるけど、貴方もよ? アクツ・エイタ君」
「ひぃっ!?」
ミリアーナの矛先が俺にまで向いた。なんて事だ。あの野郎と、シエラの方を睨むと生意気な事に勝ち誇った視線を向けてきやがった。あいつ、あんなキャラだったか?! 出会って数時間経ってるかわかんないけど、あんなに生意気な性格してたか?! キャラぶれぶれすぎだろ!
「視線で会話する暇があるなら、口を動かしなさい。ほら、なんの為に口があると思ってるのかしら?」
ガシッと、俺とシエラの両頬を下から挟むように手で鷲掴みにして、微笑んだ。綺麗な微笑みだが、俺達からしたら悪魔の笑みだ。ただ単に怖い。
「さぁ、早く話なさい?」
威圧がさらに強くなった。話さないと、何されるかわからない。俺は『何とかしろ』と訴えるが、シエラは涙目で左右に首を振るばかりだ。マジで頼りない勇者だ。
「ふーん。黙秘するのね? じゃあ、直接、あなたの心に聞くことにするわ」
ミリアーナはそう言って、シエラの胸に杖を軽く当てる。そして、呟く。
「心よ、私の声に答えなさい」
瞬間、俺の目の前でありえない事が起きた。涙目のシエラの胸から、小さな白い光珠が姿を現したのだ。ミリアーナはそれに指先で触れる。すると、光珠からRPGに出てくるステータス表(?)が空中に映し出された。 相変わらず文字は読めないが、恐らくそれに似たなにかだろう。
「ふーん。なるほどねぇ」
ミリアーナはステータス表(?)に目を通しながら納得したように呟く。そして、再び杖をシエラの胸に当てた。それにより、光珠が胸に吸い込まれていった。
・・・なんというか、なんでもありだな。
人のプライバシーを簡単に侵害できる魔法とは、普通なら問題になっていてもおかしくないだろうに。ここはそう言う当たり前の常識が無いのか?
とりあえず、俺とコイツの関係が分かったみたいだし、そろそろ手を離してくれないだろうか。冷静だと思うじゃん?怖すぎて、今にも、ちびりそうだわ。
「シエラ。あなたが勇者に選ばれたのは知ってたけど、まさか、転生者を呼び出すなんてね」
ミリアーナはシエラを一瞥してから、俺に視線を向ける。それは気の毒にという感じの視線だ。強制的に召喚された事に関しては、気の毒とは思わない。それに、多分、ミリアーナが気の毒に思ってる事は召喚されたことじゃないと思う。何故か分からないが、そう感じた。
「召喚されたって事は、エイタ君。 貴方の役目は聞いたのね?」
「・・・俺の・・・役目?」
「ええ。 転生者・・・【導き手】の役目は、闇の中でも光を忘れず、正しき光の道へと勇者を導く事」
ミリアーナの告げた内容は、またまたシエラから聞かされていない内容だった。
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