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一学期【中間試験】編

負けられない馬鹿共の戦い ①

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始業が終わり、俺達2年4組の生徒は体育館にいた。今の俺の格好は体操服の上からジャージを着て、長ズボンを履いている。ほかの生徒達も大体が同じだ。正直、説明はいらないと思うが、1・2限は体育だ。

「よーし、全員集まってるみたいだな!先生は嬉しいぞ!」

ガラガラと体育館のスライド式の扉が開くと共に、爽やかな男性の声が響く。その男性は全身ジャージのイケメン教師、蒼葉あおば そう。生徒や教師からの人気が凄い『爽やか王子』だ。因みに、リア充絶対許さないマンの京治でさえ、蒼葉先生には好感を持っている。

「さて、授業を始める前にまずは整列しよう!それと毎回言ってるけど、リィンは棺桶から出て列に並ぶこと!」

蒼葉先生は、壁にもたれかかっている棺桶の中に入ってるリィンにそう声をかける。しかし、返事もせず出ようとしない。相変わらずめんどくさい奴だ。俺は大きな溜息をつき、

「蒼葉先生。あの馬鹿は俺に任せてください」

「おお、いつもありがとうな、兄太!」

「いえ。あいつの扱いには慣れてるので」

俺はそう言って、棺桶に入ってる馬鹿の元まで行き、容赦なく棺桶を叩いた。

「おーい、出てこないと叩くぞー。揺らすぞー。酔わせるぞー」

ドンドンと叩きながらそう脅しをかけると、

「既に叩いてるし、うっさいわよ!! アホケータ!!」

バンっと棺桶の蓋が開き、ご立腹のリィンが体操服姿で現れた。俺はその機を逃さずに、リィンの手を掴み、列へと引きずっていく。

「やめ…ちょ。いやだァァ!? 運動は嫌ァァ!! うわああああああああ!!」

思い切り抵抗するリィンの力に引き戻されていく俺。さすがは吸血鬼なだけあって力が強い。しかし、こちらには頼れる親友がいる。

「おい、京治!! 引っ張るの手伝ってくれ!」

新達と話していた京治に助けを求めるが、

「いや、それはめんどく・・・」

「タダで秘蔵写真3枚!」

「ふっ、いま手伝うぜ! 我が親友!!」

めんどくさいと言われるのは想定していた為、条件をつけると手のひらドリルかよレベルの速さで俺の元まで駆けつけてきてくれた我が親友は空いている方のリィンの手を掴み引っ張り始めた。するとさっきまでの劣勢が嘘のように、優勢に変わった。

「いやぁ!変態!触んないでよ!嫌だああああああああぁぁぁ!?」

そんなリィンの抵抗も虚しく、列に無理やり並ばせた俺達はまた棺桶に戻らない様に取り押さえたまま、蒼葉先生に授業の進行を促す。

「よし、全員が並んだな。では、今日の体育を始めようか!」

蒼葉先生はニカッと笑って、予め用意していた紙を全員に配っていく。その紙を受け取る。そして全員に紙が渡ったのを確認した蒼葉先生が説明を始める。

「えー、全員知ってると思うが中間テスト明けに『慈愛園スポーツ大会』が行われる。今回の種目は棒倒し。どうやら、理事長曰わく体育祭に向けての練習らしい。 とまぁ、そういう訳で今回から体育の授業は棒倒しの練習がメインとなる。てことでまずは各々の運動能力に合わせてバランスのいい2チームを作る」

そう言うと、蒼葉先生は名簿表に記された各々の運動能力ランクを見ながらチーム分けを行う。そして出来たのが、

「しゃぁ!行くぞお前ら!ケータをぶちのめすぞおおおおおおおおおおおお!!」

「ウオオオオオオオオォォォォォォ!!」

京治バカが率いるAチームと、

「あの京治エロ猿の棒を再起不能にすんぞ!てめぇらああああああああぁぁぁ!!:」

「オオオオオオオオォォォォォォォォ!!」

俺が率いるBチームだ。

「うんうん、全員やる気いっぱいで先生は嬉しいぞ!それじゃ、棒倒しの準備を始めよう!」

蒼葉先生の言葉に俺達は棒倒しの準備を始めた。
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