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3.クリスマスイブ
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12月24日、クリスマスイブは終業式で、通知表が返ってくる。
下駄箱で隣のクラスの慎と会ってそのままいっしょに帰る。
「いつき、通知表どうだった?」
「ふつー。慎はいいんだろ」
「まあいつも通り」
話しながら校門を抜けると風が強く吹く。
「さむー」
思わず口から出た言葉に慎が苦笑いを浮かべる。
「ほんと、寒くなってきたな。風強いし」
「やだやだ…くしゅんっ」
「寒い?大丈夫?」
俺がくしゃみしただけで、バッとこっちを見て、顔色を確認される。
「へーきへーき。くしゃみしただけじゃん」
「そうかあ?」
慎は心配そうにしているけど、あんまり心配すると俺の機嫌が悪くなるのは長い付き合いで知っているのでこれ以上言ってこない。
「慎はクリスマスプレゼントなににした?」
「新しい自転車。いつきは?」
「ゲームのソフト。今度うちでいっしょにやろ」
話をしていると、分かれ道に来る。
「連絡するわ。じゃね」
俺が手を振ると、慎も「またな~」と手を振る。
「ただいまー」
家はあったかい。手洗いうがいをして、リビングに入ると先に帰ってきていた兄貴が宿題をしていて、台所から母さんが出てくる。
「おかえり」
「ただいま。母さん、通知表」
「はいはい」
母さんに通知を渡す。
家に帰ったら宿題。クリスマスでも変わらない習慣で、俺も冬休みのドリルを開く。
「おかえり。鼻赤くなってんぞ」兄貴が俺の鼻先をちょんちょんする。
「ただいま。めっちゃ寒かった」
「いつき、通知表ランドセルに入れておいて」
「はーい」
大事なものなので、失くさないように、ファイルに挟んでランドセルに入れる。これも習慣。
夜になると、父さんが仕事帰りにファーストフードのチキンとクリスマスケーキを抱えて帰ってきた。玄関を開けた瞬間、チキンの香ばしい匂いが家中に広がる。
「ただいま」
「おかえり!」
家族みんなで玄関まで迎えに行く。チキンのパックを俺が受け取って、クリスマス仕様の可愛いケーキの箱を兄貴が受け取る。
リビングに戻って、チキンのパックをテーブルに置く。
テーブルの上には既に母さんが用意してくれた料理が並んでいる。サラダとスープ、そして赤いリボンがついた紙ナプキン。ちょっとした演出がクリスマスらしい。
みんな揃っていただきますをして、チキンを食べる。
「二人とも通知表はどうだった?」
「いつも通り」と兄貴が答える。兄貴も成績いいんだよな。
「俺も。いつも通り。ふつう」
「そうか。次も頑張れよ」
「うん」
食事が終わると、いよいよケーキの時間だ。クリスマスらしい真っ白なケーキにイチゴとサンタのシュガーオーナメントが乗っていて、俺は目を輝かせる。
「サンタはどうする?」
「父さん食べなよ」
母さんが六等分に切ってくれる。見た目はクリスマスっぽくていいけど、シュガーオーナメントはうちでは不人気で、父さんの皿に置かれた。
ケーキを食べ終えた後、俺は少し早めにお風呂に入る。湯船に浸かりながら、明日の朝のことを考える。うちはサンタさんからのプレゼントって設定は無い。
父さんにリクエストしているので何をもらうか分かっているけど、クリスマスプレゼントは寝ている間に枕元に置くことになっている。
それでもあのワクワクする感じは特別だ。
お風呂から上がって布団に潜り込むと、ふと明日の朝が待ちきれなくなる。心がじんわりと暖かくなりながら、俺はそっと目を閉じた。
下駄箱で隣のクラスの慎と会ってそのままいっしょに帰る。
「いつき、通知表どうだった?」
「ふつー。慎はいいんだろ」
「まあいつも通り」
話しながら校門を抜けると風が強く吹く。
「さむー」
思わず口から出た言葉に慎が苦笑いを浮かべる。
「ほんと、寒くなってきたな。風強いし」
「やだやだ…くしゅんっ」
「寒い?大丈夫?」
俺がくしゃみしただけで、バッとこっちを見て、顔色を確認される。
「へーきへーき。くしゃみしただけじゃん」
「そうかあ?」
慎は心配そうにしているけど、あんまり心配すると俺の機嫌が悪くなるのは長い付き合いで知っているのでこれ以上言ってこない。
「慎はクリスマスプレゼントなににした?」
「新しい自転車。いつきは?」
「ゲームのソフト。今度うちでいっしょにやろ」
話をしていると、分かれ道に来る。
「連絡するわ。じゃね」
俺が手を振ると、慎も「またな~」と手を振る。
「ただいまー」
家はあったかい。手洗いうがいをして、リビングに入ると先に帰ってきていた兄貴が宿題をしていて、台所から母さんが出てくる。
「おかえり」
「ただいま。母さん、通知表」
「はいはい」
母さんに通知を渡す。
家に帰ったら宿題。クリスマスでも変わらない習慣で、俺も冬休みのドリルを開く。
「おかえり。鼻赤くなってんぞ」兄貴が俺の鼻先をちょんちょんする。
「ただいま。めっちゃ寒かった」
「いつき、通知表ランドセルに入れておいて」
「はーい」
大事なものなので、失くさないように、ファイルに挟んでランドセルに入れる。これも習慣。
夜になると、父さんが仕事帰りにファーストフードのチキンとクリスマスケーキを抱えて帰ってきた。玄関を開けた瞬間、チキンの香ばしい匂いが家中に広がる。
「ただいま」
「おかえり!」
家族みんなで玄関まで迎えに行く。チキンのパックを俺が受け取って、クリスマス仕様の可愛いケーキの箱を兄貴が受け取る。
リビングに戻って、チキンのパックをテーブルに置く。
テーブルの上には既に母さんが用意してくれた料理が並んでいる。サラダとスープ、そして赤いリボンがついた紙ナプキン。ちょっとした演出がクリスマスらしい。
みんな揃っていただきますをして、チキンを食べる。
「二人とも通知表はどうだった?」
「いつも通り」と兄貴が答える。兄貴も成績いいんだよな。
「俺も。いつも通り。ふつう」
「そうか。次も頑張れよ」
「うん」
食事が終わると、いよいよケーキの時間だ。クリスマスらしい真っ白なケーキにイチゴとサンタのシュガーオーナメントが乗っていて、俺は目を輝かせる。
「サンタはどうする?」
「父さん食べなよ」
母さんが六等分に切ってくれる。見た目はクリスマスっぽくていいけど、シュガーオーナメントはうちでは不人気で、父さんの皿に置かれた。
ケーキを食べ終えた後、俺は少し早めにお風呂に入る。湯船に浸かりながら、明日の朝のことを考える。うちはサンタさんからのプレゼントって設定は無い。
父さんにリクエストしているので何をもらうか分かっているけど、クリスマスプレゼントは寝ている間に枕元に置くことになっている。
それでもあのワクワクする感じは特別だ。
お風呂から上がって布団に潜り込むと、ふと明日の朝が待ちきれなくなる。心がじんわりと暖かくなりながら、俺はそっと目を閉じた。
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