俺に婚約者?!

ながしょー

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第12話

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 文化祭が終わり、また普段の学校生活が始まった。

 「おはよぉー」 

 朝の教室では女子が仲のいい友達に挨拶をしている。
 
 「ふわぁー……ねむー」

 俺はあくびをしながら、机で目を閉じることにした。だって、眠いんだもん!
 どのくらい経ったのだろうか…誰かに声をかけられている。

 「……おい、起きろ」

 俺は目を擦り、顔を上げると目の前には険しい顔をした担任が立っていた。

 「うわ!す、すみません!」

 「……ったく」

 どうやらHRの時間だったようだ。というか、なんで誰も起こしてくれなかったのかな?!

 「優希、あとで職員室に来るように」

 「……はい」

 たぶん、あれだ。反省文でも書かされるんだろう。
 HRのあと、俺は素直に職員室に向かった。
 
 「優希、お前にちょっと話があるんだが」

 「はい、なんでしょうか?」

 「実はな、美紀さんが学校に来てないみたいなんだ」

 「え?」

 美紀とは違うクラスだ。最近、見かけないなと思ってはいたが学校に来ていなかったとは……。
 
 「お前、ちょっと様子を見てきてくれねーか?」

 「はい?でも、連絡とかあったんじゃないんですか?」

 普通、休むときは本人か親が学校に連絡するものだ。だから、連絡がきてないはずがない。

 「それが……美紀さんのクラスの担任にも聞いたんだが、連絡はきてないそうだ」

 「そうですか……でも、なんで俺なんでしょうか?他に女子で仲のいい友達とかいないんですか?」

 「それがな……美紀さん教室ではいつも一人だったみたいで、お前以外話しているところ見たことがないそうだ」

 なるほど。美紀はいわゆるぼっちだったわけか。あんなに美少女なのにぼっち。

 「分かりました。でも、俺、美紀の家知らないんですけど…」

 よくよく考えたら俺は美紀の家を知らない。

 「じゃあ、少し待っとけ」

 そう言うと、担任は席を立ってどこかに行ってしまった。
 それから十分後。

 「ほら、これ美紀さんの家までの地図だから」

 そう言い、俺に手渡してきた。
 地図を見ると、俺の家から結構近かった。
 放課後、俺一人で行くのもなんだし、悠人と莉々も誘い、みんなで美紀の家に行くことにした。

 「美紀ちゃんどうしたんだろうね」

 悠人がそう言って心配そうな表情を浮かべている。
 莉々はというと、何も喋らなかったが、やはり心配なのはみんな一緒らしい。
 美紀の家に着いた。結構大きい。
 インターフォンを鳴らすと、美紀がドアを開けた。

 「美紀、大丈夫か?」

 顔が赤い。俺はその場で美紀のおでこに手を当てると……あっつ!どうやら美紀は熱を出しているようだ。

 「美紀、とりあえず中に入るね!早く、ベッドによこになって!」

 俺はそう言い、中に入った。

 「美紀、そーいえば親はどこにいるのよ」

 莉々がそう聞くと、美紀は、

 「……親はいない。一人暮らし……」

 辛そうな顔で言った。というかふらふらしていて倒れそう。
 俺たちは美紀をベッドに寝かせにいった。
 
 「明日、俺が学校に連絡しとくよ」

 「……うん、ありがと」

 美紀は目を閉じて、眠りについた。
 そのあと俺は、美紀を看病することになった。莉々に頼んだんだけど、断られました。
 翌日、学校に行き、担任に報告すると、とても心配そうな表情をした。

 「わかった。今日も美紀さんの家に行ってやれよ」

 「分かりました」
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