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高校1年生

第71話 初詣

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 初日の出の後は初詣。
 そのまま仙巌園からバスに乗り、照国神社まで向かうかと思いきや、六花たちは一旦家に帰ると言い出した。

 「なんでだ?このまま行けば混まないうちに参拝できるじゃないか」

 照国神社は毎年のように初詣の参拝客で混み合う。
 県内ニュースでも紹介されるほどだから県内で一番かもしれない。
 それなのに一旦家に帰ってしまえば、俺たちが照国神社に着く頃はだいたい昼すぎ。
 つまり参拝客が一番多い時間帯だ。

 「しよーくんは本当に分かってないね」

 「何がだよ」

 「普通参拝に行くなら着物でしょ」

 六花の言葉に美月、ユキ、愛はうんうんと頷く。
 ――って、ユキと愛はいつの間に帰ってきたんだ?てか、どこ行ってた?!

 「……そうなのか」

 ユキと愛がどこに行ってたのかは気になるが、それはともかくそこまで言うのならそうなのかもしれない。

 「よし、帰ろ!」

 六花は俺の手を引っ張り、家のある方向へと歩き出した。
 いきなり手を握られたからドキッとしてしまう。
 
 「しょーくん顔が赤いけど…風邪でも引いた?」

 「い、いやなんでもない!たぶん寒いからだと思う!」

 「そう?」

 六花に赤くなってしまった顔を見られてしまった。
 手を握られたから赤くなったとは当然言えるはずもなく、俺はしどろもどろながらもなんとか言い逃れた。
 心臓がドキドキしている。
 なぜこんなにドキドキしているのだろうか。
 ――俺にはこのドキドキがなんなのか分からなかった。

◆❖◇◇❖◆

 家に帰りついた頃には心臓が破裂寸前だった。
 ずっと手を握られていたからドキドキしぱっなしでヤバい。六花に聞こえてなかったか心配だ。

 「じゃあ私たちは着物に着替えてくるから適当に待ってて」

 「ああ、分かった」

 そんな心配をよそに六花たちは自室へと向かった。
 俺はリビングで暇つぶしに読書でもしようかと思い、六花たちが自室へ行った数分後に自室へと向かう。
 部屋に近づくにつれ、六花たちの話し声が聞こえてくる。

 「わぁ!美月ちゃんの胸って意外と大きい!」

 「え、ウソ?!本当に~?」

 「本当ですね!ウチよりも大きい!」

 「あん…ちょっと…ん…揉むのはやめてぇ~!」

 廊下からそんな声が聞こえてくる。
 ――何をやってんだよアイツら。
 と思いながらも気になって仕方がない。
 できれば覗いてみたいが、それは無理だろう。
 覗いた瞬間リンチにあいそうだし。

 「沈まりたまえ。俺の煩悩」

 そう口でつぶやきながらなんとか自室の目の前まで来る。
 さっきより六花たちの声量が大きくなって聞こえてくるが、話が弾みすぎて声も自然に大きくなっているのだろうか。
 俺は何気なく自室のドアを開け、中に入ろうとした時だった。

 「「「「キャー!!!」」」」

 四人の悲鳴が聞こえた。
 
 「キャー!!!」

 そして俺も悲鳴をあげる。
 
 「な、なんでしょーくんがここにいるのよ!」

 「それは俺のセリフだ!」

 六花たちは何も着ていない状態の…いわゆる裸だった。
 両手を使って上や下を隠しているが……チラッと上の方が見えたり下の方が見えたりで……ヤバい。鼻血でそう。

 「と、ととととにかく出てって!」

 「ちょ、分かったから!美月その手に持っているハサミを投げようとするな!」

 「やだ!僕見られた!もう責任取って!」

 「なんの責任だよ!」

 「それくらい分かれ!バカ!」

 「美月ちゃん落ち着こ!ね?」

 俺は慌ててドアを閉め、リビングへと逃げる。
 一方で美月は暴れ、六花たちはそれをなんとか落ち着かせようとしている。
 
 「この後初詣なんて……」

 行きたくねぇ!
 絶対に殺される。
 美月をなんとかして、いつもの状態に戻さなければ!
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