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高校1年生

第64話

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 「はい!毎年恒例のプレゼント交換!」

 六花の長い長い説教の後、やっとのことでプレゼント交換になった。
 正直もうそんな気分ではないのだが、六花とユキははしゃいでいる。
 
 「じゃあ、もうさっそく時間が無いから始めましょ!……時計回りでいいわよね?」

 「うん!ウチはそれでいいよ!」

 「……俺も別に異論はないが……」

 「よし!じゃあいっくよぉー!」
 
 六花の掛け声とともにそれぞれが用意したプレゼントがグルグルと回る。
 そして、何周かしたところで止まると今手元にあるプレゼントを確認する。
 プレゼントを包んでいる袋や箱はみんな一緒なものなので誰のものなのか分からないが……なんか重いなぁ。
 見た目はみんなティッシュ箱くらいの大きさなのだが、俺が今持っているプレゼントに関しては見た目とは裏腹に重い。まるで隕石でも入ってるのではと疑いたくなるレベルだ。
 まぁ、隕石が入っていたところですぐに売り飛ばして金に変えるだけだが…………俺のプレゼントがこんな重い隕石なわけがない!

 「じゃあ、一斉ので開けるよ!」

 「おー!」

 「……はぁ」

 思わず溜め息をついてしまった。
 なにせ俺はプレゼントを用意していない。
 いや、正確に言えばプレゼントはちゃんと用意した……コンビニで二十円で買えるチョコだが。
 この説明だけだと元々から用意する気はなかったと思われるから詳しく説明すると、本当はちゃんと用意しようと思って、前々から考えていた。
 でも、そのことをクリスマス当日の夜……つまりプレゼント交換を思い出した時まで忘れていた。思い出した時は何とも思わず六花に伝えたが……今となっては……墓穴を掘ってしまったことに後悔あとに立たず。
 思い出した時と同時にプレゼントを用意していないことにも気づけば……クソ!俺のバカバカバカァー!
 さて、もう自分を責め立てたって仕方がない。
 さぁ、俺の二十円チョコを引き当てた可哀想で運がないやつは誰だ!……って、さっきより軽くなったような……気のせいか!

 「一斉ので……オープン!」

 「うわぁ!」

 「…………」

 …………あれ?
 俺の見間違いだろうか?
 席順的にはありえないよね?だって、六花とユキのプレゼントに対する反応を見たら分かる。自分のが自分に帰ってくるはずがない。
 それなのになぜ俺のところに二十円チョコがあるんだ?
 ねぇ、席順的にありえないよね!ね!ね!!

 「しょーくんは何だった……うわぁ」

 「お兄ちゃんは何……あああ……」

 二人は俺の手元にあるプレゼントの中身を見て、それぞれの反応を見せた。
 六花は何それみたいな表情をして、ユキはお気の毒にという表情をしている。
 そんな顔されてもね……お前らのどちらかが替えたんだろ!俺のプレゼントを!
 最初は重たかったのに開ける時は軽いって絶対どちらかが替えたに違いない。
 ……まぁ、もういいんだけど。
 そんなに欲しいプレゼントなんて用意されてないでしょ。
 と、思ったが二人のプレゼントを見ると……課金カード五千円分と図書カードだと……?!
 美少女が用意するようなプレゼントではないような気がするが……非常にほすぃ……。マジほすぃ。

 「はぁ……もういい!寝るっ!」

 もう不貞腐れちゃえ!
 俺はそう言い残し、自室へとドタドタ足音をたてて戻った。
 ……俺の妹と同居人が意地悪すぎる!
 
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