俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー

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高校1年生

第21話 修学旅行

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 今日は修学旅行当日。
 俺たちは朝の6時から学校の体育館に集まっていた。
 みんなそれぞれキャリーバッグを持っている。

 「ちょっと寒いな……」

 それにしても10月だというのに早朝は少し肌寒い。薄地のコートを持ってきといて正解だったようだ。
 
 「おはよう、翔太くんと六花ちゃん!」

 後方からテンション高めの声が聞こえてきた。
 ……朝から元気だなぁ…。
 言うまでもないが、俺の親友で我ら求人部の仲間である美月がこちらに駆け寄ってきた。

 「なんだ、お前か…」

 「なんだとはなんだよ!」

 「みんな、おはよぉー」

 またしても後方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 ……この声は……誰だ?

 「しょーたくーん?何か失礼な事でも考えてないでしょうね?」

 ……や、ヤバい。顔が笑顔なのに目が笑ってないぞ。
 なぜか分からないが、幼なじみの愛と同居中の六花だけ俺の心が読まれてしまう……俺と一緒にいると読心術でも取得できるのかしらん?

 「そ、そんな事考えてるわけないじゃないか」

 そう言いつつもバレているのは目に見えている。そして、寒いはずなのに汗が滝のように吹き出してくる俺氏。
 ………………オワッタナ。

 「まっ、今日のところは許してあげる!だって、修学旅行だしね♪」

 「お、おう……」

 ある意味で今日が修学旅行で良かったと思ってしまう俺であった。


 「もうそろそろ出発かな?」

 俺の隣で体育館座りしている六花がふとそんな事を言った。
 気づけば、俺たちが体育館に集合して、約1時間が経過していた。
 周りを見渡せば、修学旅行生でいっぱいだ……というか、みんな同じ学年なんだから当たり前か。

 「そうだな……予定ではもうバスに乗ってる頃だな」

 前日に担任から配られた修学旅行の予定表を見ると、現在7時15分はもうバスに乗って、空港に向かっているはずだ。
 それなのにまだ出発どころか空港までのバスまで到着していない。

 「ど、どうした六花?」 

 六花の様子が少し変なことに気がついた。
 体を縮こませ、ブルブルと小刻みに震えている。

 「ちょ、ちょっと寒くて」

 ちょっとじゃなくて、大分寒がっているように見えるのだが。

 「仕方ねーな……これでも着とけ。それと、温かい飲み物買ってくる」

 俺は薄地のコートを脱ぎ、六花に掛けてやった。
 
 「あ、ありがとう……」

 六花の顔は真っ赤になっていた。それが寒さによるものなのか、それとも照れてるのか、俺には判断できなかった。
 

 「それにしても翔太くんにはあーいうの似合わないなぁー」

 「うるせえ!別にカッコつけたわけでもねーぞ!俺はただ……風邪を引かれたら困るからでな……」

 温かい飲み物を買いに校舎内の自販機に向かっている最中、美月が「僕も買いに行く!」という事で一緒に来たのだが、コイツ……さっきの俺と六花のやりとりを見ていたらしく、それをネタにからかってきている。
 正直、殴りたいところだが、殴ったら「MMK」に殺される。
 あ、「MMK」とは美月まじカワイイの略称で簡単に言えば……美月のファン?みたいな奴らの集団のことである。
 こう見えて美月は見た目が女の子みたいだから男女問わずモテる。噂では六花の次に美少女と……ってか、今気づいたけど男子だからね?!

 「でも……カッコよかったよ」

 ぼそっと美月がそんなことを言った。
 「まだからかってるのか?」と思い、言い返そうとしたが、俺は美月の表情を見た瞬間…言葉が出なくなった。

 「ねぇ、なんで僕の顔そんなにジッと見つめてるの?」

 「え、あ、すまん……」

 美月に言われるまで気づかなかった。どうやら俺は見とれていたらしい……というのも、あまりにも男子とは思えない表情をしていたから我を忘れていた。

 「……そんなに見つめられると……なんか恥ずかしい……」

 ……ドキッ!
 ヤバい。何かに目覚めてしまいそう。

 「どうしたの?何か様子おかしいよ?」

 「あ、い、いいいや、なんでもないよ……アハハハハ」

 明らかに自分が動揺しているのが分かる。
 ――なぜ俺はこんなにも動揺しているのか?
 それは……誰にも分からないだろう……たぶんね!

 「それより早く体育館に戻ろうぜ」

 「うん、そうだね」

 俺と美月は自販機で温かい飲み物を買うとすぐに体育館に向かった。
 体育館に向かっている途中、「……私も六花ちゃんみたいなことして欲しいな……」と今にも消えてしまいそうな小さい声が聞こえたような気がしたが……気のせいだよね!


 体育館に戻ると、先ほどと変わらない状態で修学旅行生がいた。
 もちろん、その中にも六花と愛はいて、2人で何か話し込んでいる。

 「遅くなってごめんな」

 俺はそう言い、六花に自販機で買ってきた温かい飲み物を手渡した。ついでに愛にもあげた……余分に買ってきといて良かったぁ~。

 「六花ちゃんと愛ちゃんは何を話してたの?」

 「べ、別に何もはなしてないわよ」

 「そ、そうだよ!しょーくんのことなんて何も」

 この2人は気づいていないが、俺の名前が出てきた時点で自白しているようなもんである。
 
 「まぁ……そろそろ行くか」

 その会話の内容が少し気になったが、ちょうどその時やっとバスが到着したのでキャリーバッグを片手に俺たちは体育館を後にした。
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