22 / 84
高校1年生
第21話 修学旅行
しおりを挟む
今日は修学旅行当日。
俺たちは朝の6時から学校の体育館に集まっていた。
みんなそれぞれキャリーバッグを持っている。
「ちょっと寒いな……」
それにしても10月だというのに早朝は少し肌寒い。薄地のコートを持ってきといて正解だったようだ。
「おはよう、翔太くんと六花ちゃん!」
後方からテンション高めの声が聞こえてきた。
……朝から元気だなぁ…。
言うまでもないが、俺の親友で我ら求人部の仲間である美月がこちらに駆け寄ってきた。
「なんだ、お前か…」
「なんだとはなんだよ!」
「みんな、おはよぉー」
またしても後方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
……この声は……誰だ?
「しょーたくーん?何か失礼な事でも考えてないでしょうね?」
……や、ヤバい。顔が笑顔なのに目が笑ってないぞ。
なぜか分からないが、幼なじみの愛と同居中の六花だけ俺の心が読まれてしまう……俺と一緒にいると読心術でも取得できるのかしらん?
「そ、そんな事考えてるわけないじゃないか」
そう言いつつもバレているのは目に見えている。そして、寒いはずなのに汗が滝のように吹き出してくる俺氏。
………………オワッタナ。
「まっ、今日のところは許してあげる!だって、修学旅行だしね♪」
「お、おう……」
ある意味で今日が修学旅行で良かったと思ってしまう俺であった。
「もうそろそろ出発かな?」
俺の隣で体育館座りしている六花がふとそんな事を言った。
気づけば、俺たちが体育館に集合して、約1時間が経過していた。
周りを見渡せば、修学旅行生でいっぱいだ……というか、みんな同じ学年なんだから当たり前か。
「そうだな……予定ではもうバスに乗ってる頃だな」
前日に担任から配られた修学旅行の予定表を見ると、現在7時15分はもうバスに乗って、空港に向かっているはずだ。
それなのにまだ出発どころか空港までのバスまで到着していない。
「ど、どうした六花?」
六花の様子が少し変なことに気がついた。
体を縮こませ、ブルブルと小刻みに震えている。
「ちょ、ちょっと寒くて」
ちょっとじゃなくて、大分寒がっているように見えるのだが。
「仕方ねーな……これでも着とけ。それと、温かい飲み物買ってくる」
俺は薄地のコートを脱ぎ、六花に掛けてやった。
「あ、ありがとう……」
六花の顔は真っ赤になっていた。それが寒さによるものなのか、それとも照れてるのか、俺には判断できなかった。
「それにしても翔太くんにはあーいうの似合わないなぁー」
「うるせえ!別にカッコつけたわけでもねーぞ!俺はただ……風邪を引かれたら困るからでな……」
温かい飲み物を買いに校舎内の自販機に向かっている最中、美月が「僕も買いに行く!」という事で一緒に来たのだが、コイツ……さっきの俺と六花のやりとりを見ていたらしく、それをネタにからかってきている。
正直、殴りたいところだが、殴ったら「MMK」に殺される。
あ、「MMK」とは美月まじカワイイの略称で簡単に言えば……美月のファン?みたいな奴らの集団のことである。
こう見えて美月は見た目が女の子みたいだから男女問わずモテる。噂では六花の次に美少女と……ってか、今気づいたけど男子だからね?!
「でも……カッコよかったよ」
ぼそっと美月がそんなことを言った。
「まだからかってるのか?」と思い、言い返そうとしたが、俺は美月の表情を見た瞬間…言葉が出なくなった。
「ねぇ、なんで僕の顔そんなにジッと見つめてるの?」
「え、あ、すまん……」
美月に言われるまで気づかなかった。どうやら俺は見とれていたらしい……というのも、あまりにも男子とは思えない表情をしていたから我を忘れていた。
「……そんなに見つめられると……なんか恥ずかしい……」
……ドキッ!
ヤバい。何かに目覚めてしまいそう。
「どうしたの?何か様子おかしいよ?」
「あ、い、いいいや、なんでもないよ……アハハハハ」
明らかに自分が動揺しているのが分かる。
――なぜ俺はこんなにも動揺しているのか?
それは……誰にも分からないだろう……たぶんね!
「それより早く体育館に戻ろうぜ」
「うん、そうだね」
俺と美月は自販機で温かい飲み物を買うとすぐに体育館に向かった。
体育館に向かっている途中、「……私も六花ちゃんみたいなことして欲しいな……」と今にも消えてしまいそうな小さい声が聞こえたような気がしたが……気のせいだよね!
体育館に戻ると、先ほどと変わらない状態で修学旅行生がいた。
もちろん、その中にも六花と愛はいて、2人で何か話し込んでいる。
「遅くなってごめんな」
俺はそう言い、六花に自販機で買ってきた温かい飲み物を手渡した。ついでに愛にもあげた……余分に買ってきといて良かったぁ~。
「六花ちゃんと愛ちゃんは何を話してたの?」
「べ、別に何もはなしてないわよ」
「そ、そうだよ!しょーくんのことなんて何も」
この2人は気づいていないが、俺の名前が出てきた時点で自白しているようなもんである。
「まぁ……そろそろ行くか」
その会話の内容が少し気になったが、ちょうどその時やっとバスが到着したのでキャリーバッグを片手に俺たちは体育館を後にした。
俺たちは朝の6時から学校の体育館に集まっていた。
みんなそれぞれキャリーバッグを持っている。
「ちょっと寒いな……」
それにしても10月だというのに早朝は少し肌寒い。薄地のコートを持ってきといて正解だったようだ。
「おはよう、翔太くんと六花ちゃん!」
後方からテンション高めの声が聞こえてきた。
……朝から元気だなぁ…。
言うまでもないが、俺の親友で我ら求人部の仲間である美月がこちらに駆け寄ってきた。
「なんだ、お前か…」
「なんだとはなんだよ!」
「みんな、おはよぉー」
またしても後方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
……この声は……誰だ?
「しょーたくーん?何か失礼な事でも考えてないでしょうね?」
……や、ヤバい。顔が笑顔なのに目が笑ってないぞ。
なぜか分からないが、幼なじみの愛と同居中の六花だけ俺の心が読まれてしまう……俺と一緒にいると読心術でも取得できるのかしらん?
「そ、そんな事考えてるわけないじゃないか」
そう言いつつもバレているのは目に見えている。そして、寒いはずなのに汗が滝のように吹き出してくる俺氏。
………………オワッタナ。
「まっ、今日のところは許してあげる!だって、修学旅行だしね♪」
「お、おう……」
ある意味で今日が修学旅行で良かったと思ってしまう俺であった。
「もうそろそろ出発かな?」
俺の隣で体育館座りしている六花がふとそんな事を言った。
気づけば、俺たちが体育館に集合して、約1時間が経過していた。
周りを見渡せば、修学旅行生でいっぱいだ……というか、みんな同じ学年なんだから当たり前か。
「そうだな……予定ではもうバスに乗ってる頃だな」
前日に担任から配られた修学旅行の予定表を見ると、現在7時15分はもうバスに乗って、空港に向かっているはずだ。
それなのにまだ出発どころか空港までのバスまで到着していない。
「ど、どうした六花?」
六花の様子が少し変なことに気がついた。
体を縮こませ、ブルブルと小刻みに震えている。
「ちょ、ちょっと寒くて」
ちょっとじゃなくて、大分寒がっているように見えるのだが。
「仕方ねーな……これでも着とけ。それと、温かい飲み物買ってくる」
俺は薄地のコートを脱ぎ、六花に掛けてやった。
「あ、ありがとう……」
六花の顔は真っ赤になっていた。それが寒さによるものなのか、それとも照れてるのか、俺には判断できなかった。
「それにしても翔太くんにはあーいうの似合わないなぁー」
「うるせえ!別にカッコつけたわけでもねーぞ!俺はただ……風邪を引かれたら困るからでな……」
温かい飲み物を買いに校舎内の自販機に向かっている最中、美月が「僕も買いに行く!」という事で一緒に来たのだが、コイツ……さっきの俺と六花のやりとりを見ていたらしく、それをネタにからかってきている。
正直、殴りたいところだが、殴ったら「MMK」に殺される。
あ、「MMK」とは美月まじカワイイの略称で簡単に言えば……美月のファン?みたいな奴らの集団のことである。
こう見えて美月は見た目が女の子みたいだから男女問わずモテる。噂では六花の次に美少女と……ってか、今気づいたけど男子だからね?!
「でも……カッコよかったよ」
ぼそっと美月がそんなことを言った。
「まだからかってるのか?」と思い、言い返そうとしたが、俺は美月の表情を見た瞬間…言葉が出なくなった。
「ねぇ、なんで僕の顔そんなにジッと見つめてるの?」
「え、あ、すまん……」
美月に言われるまで気づかなかった。どうやら俺は見とれていたらしい……というのも、あまりにも男子とは思えない表情をしていたから我を忘れていた。
「……そんなに見つめられると……なんか恥ずかしい……」
……ドキッ!
ヤバい。何かに目覚めてしまいそう。
「どうしたの?何か様子おかしいよ?」
「あ、い、いいいや、なんでもないよ……アハハハハ」
明らかに自分が動揺しているのが分かる。
――なぜ俺はこんなにも動揺しているのか?
それは……誰にも分からないだろう……たぶんね!
「それより早く体育館に戻ろうぜ」
「うん、そうだね」
俺と美月は自販機で温かい飲み物を買うとすぐに体育館に向かった。
体育館に向かっている途中、「……私も六花ちゃんみたいなことして欲しいな……」と今にも消えてしまいそうな小さい声が聞こえたような気がしたが……気のせいだよね!
体育館に戻ると、先ほどと変わらない状態で修学旅行生がいた。
もちろん、その中にも六花と愛はいて、2人で何か話し込んでいる。
「遅くなってごめんな」
俺はそう言い、六花に自販機で買ってきた温かい飲み物を手渡した。ついでに愛にもあげた……余分に買ってきといて良かったぁ~。
「六花ちゃんと愛ちゃんは何を話してたの?」
「べ、別に何もはなしてないわよ」
「そ、そうだよ!しょーくんのことなんて何も」
この2人は気づいていないが、俺の名前が出てきた時点で自白しているようなもんである。
「まぁ……そろそろ行くか」
その会話の内容が少し気になったが、ちょうどその時やっとバスが到着したのでキャリーバッグを片手に俺たちは体育館を後にした。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした
恋狸
青春
特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。
しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?
さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?
主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!
小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
カクヨムにて、月間3位
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる