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高校1年生

第8話 美月の秘密?夏合宿開催!

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 夏休みに入った。
 今日も各地では最高気温を更新しているらしく、テレビのニュースキャスターが「今日も暑いですねぇ~あはははは…」と言っていた。
 最後の笑いは何なんだよ。
 俺たちが住む地域でも例外ではなく、猛暑日が続いていた。
 そんな中でも部活は行われ、学校のグラウンドには真っ黒に焼け、甲子園に出場できなかった野球部員が悔しさをバネに素振りだのキャッチボールなどをやっていた。
 サッカー部も…まぁ、地区で最下位の最弱だから悔しいとか思ってるのか分からんが、おぼつかないパスやシュートの練習をしている。……これで大丈夫なのか、サッカー部の監督さん!
 そして、文科系部活動である我が『求人部』も活動をしている。

 「あー。あっちぃー。」

 「しょーくん、何そこでぼーっとしてるの?早く早く!」

 「そうだよ!せっかく海に来てるんだから行こうよ!」

 照りつける太陽が俺を焼いている。……なんか中二くさいな。
 そう。美月が言ったと思うが、俺たちは今海に来ている。
 なぜ、海に行く必要があったのかは分からないが、六花いわく、「海はリア充のデートスポットである!今日はそれを学びに行く!」ということらしい。
 俺はリア充になったこともないし、逆に恋愛アンチである。
 ラブコメなんてアニメの世界だけでいい!恋愛なんて現実世界に必要ない!とまで思っている。
 
 「それにしてもなんで水着を着ないんだ?」

 美月の上半身を見ると、水着は来ておらず、半袖Tシャツに半ズボンといった服装だ。
 せっかく海に来てるんだから水着に着替えてくればいいのに。

 「そ、それは……そう!ぼ、僕、水苦手なんだ!」

 こいつ今考えたよな?
 その必死そうな表情を見れば、誰でも分かる。
 何か隠してるな…。

 「ちょっとこっち来い。更衣室行くぞ」

 「で、でも…六花ちゃんはどうするの?」

 六花の方を見ると…うん、大丈夫そうだ。一人でキャーキャー叫びながら海で遊んでいる。
 俺は嫌がる美月の腕を強引に引っ張り更衣室に向かった。


 更衣室に入るなり、美月の顔が真っ赤になっていた。
 
 「どうした?」

 「な、なんでもないよ!」

 なぜか目をあっちこっちに泳がせ、挙動不審になっている。
 
 「そ、そうか…じゃあ、これに着替えろ」

 少し気になったが、まぁいい。
 俺は予備に用意していた水着を美月に手渡した。
 すると、美月の目が大きく見開き、

 「ぼ、僕はいいよ…さっき言ったでしょ?」

 と、最後は声が小さくなった。
 そのまま俯いている美月。
 なんか水着に着替えてはいけない罰でも受けたのだろうか。誰か知らないけど。
 ここはもう強引に着替えさせるしかない。
 たとえ、その誰か知らないやつに怒られたとしてもいい。美月だけ海で遊べないのは可哀そうだ!

 「ほら、着替えさせるぞ」

 俺はそう言い、上着に手を伸ばした。
 
 「な、何するんだ!放して!」

 それに一足遅く、気づいた美月が激しく抵抗する。
 
 「いいからおとなしくしてろ!」

 それでも俺は着替えさせようと必死に半袖Tシャツを脱がしにかかった。

 「やっと脱げたか…それじゃあ下も…」

 半袖Tシャツを脱がすことに成功し、上半身裸になった美月の胸元を見て俺は言葉が詰まった。
 そのことに気づいた美月は顔を真っ赤にして両腕で胸元を隠した。
 
 「お前……それって…」

 「い、いや、こ、これには事情があるんだ!」

 美月の胸元には包帯が巻かれていた。
 俺はそのケガどうしたのか聞こうと思った時、美月が急に言葉を遮り、あたふたし始めた。
 なんなんだ。そこまでヤバい事情があるのか。
 
 「その事情ってなんだ?そのひどいケガどうしたらなるんだ?」

 「え…」

 美月がポカーンとした顔で俺を見つめ、固まってしまった。
 今なんか変なことでも聞いたかな?

 「おーい、大丈夫か?」

 「え?!…う、うん!大丈夫…」

 一瞬驚いた顔になった美月。
 我を忘れるぐらいのことがあったのかな?

 「で、その事情ってなんだ?」

 「う、ううん!何でもない!と、とにかくこのケガのせいで海とかダメなんだ」

 「そうか…悪かったな」

 「い、いや、別に気にしてないから大丈夫だよ!あはははは。」

 なんか本当に悪いことしちゃったな。
 特にそれを思わせるような最後の乾いた笑顔はなんか心にグサッてきた。
 これからは余計なお節介は焼かないようにしておこう。
 
 半袖Tシャツを着終わった美月と一緒にもとの場所に戻ると、六花が激おこぷんぷん丸になっていた。

 「2人とも私をおいてどこに行ってたの!?私ナンパとかされまくって大変だったんだからね!」

 まぁ、ナンパされるぐらいの美貌だからね…小さい胸以外は!

 「ご、ごめん…美月と更衣室に行ってたんだ」

 そのあとは詳しく事情を説明して、何とか六花の怒りを鎮めることに成功した。
 ただ…

 「私が聞いた話では水着を忘れたって言ってたけど?」

 「い、いや…それは…」

 美月がまるで断崖絶壁に追い込まれたような状態になっていた。
 いくら言いにくい事情があるからと言って、嘘をつくのはなぁ。
 せめて嘘をつくのであれば、統一してほしい。

 「まぁ、いいわ。それより…」

 六花は美月に追い込むのをやめると、俺に笑顔を向け、

 「今日、この地区で花火大会があるらしいよ!よかったら…い、一緒に行かない?」

 はぁ…。
 これは行かないという選択肢がないパターンですな。
 
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