6 / 84
高校1年生
第5話 上目遣いの練習で恐怖!
しおりを挟む
ラブコメというものはなぜいつもこうなのだろうか。
なんの取り柄もない一見普通のどこにでもいる主人公がある事をきっかけにヒロインとなる女の子と出会う。
そこからいろいろな試練、困難を乗り越え、2人の距離はグッと縮まり、最後にはハッピーエンド!
もちろん、その間にハーレムコースなどもあるが、一般的なラブコメはこんな感じだろう。
俺も「そんな事が起きたらいいのにな」とか「このヒロインカワウィー!」とかアニメを見ながら妄想していた。
そして、妄想が激し過ぎてノートに書き残してたっけ。
でも現実ではそう上手いこといかないんだよなぁ。
……はぁ。
「今日の議題はコレよ」
『求人部』創部から翌日。
六花はホワイトボードに何かを書き始め、早速俺達は放課後、部活動に励んでいた。
部室は今では使われていない教室。
正直やる気にはなれないのだが妙に美月のやつがやる気に満ち満ちている。
上目遣いで好きな男の子を落とす!
ホワイトボードになぐり書きされたそれを見て思った。
……この部活本当に大丈夫かと。
一方美月はというと、両手を拝むように組んで目をキラキラ輝かせている。
お前男だよな?!
少なくとも俺には関係ない議題なので宿題でもするかと思い長机の上に筆記用具とノートを取り出す。
「何してんの?」
「いや、俺には関係ないことだから宿題でもしようと思って」
すると、お前何ほざいてんの?みたいな目をしながら六花は言う。
「しょーくんには私たちの相手役になってもらいます」
今「たち」って言ったよな?
それとも俺の気のせいだろうか?
「いや、気のせいじゃないよ。私と美月ちゃんの2人でやるから」
なんで俺の心が読めたの?!
「ちょ、ちょっと待ってくれ!なんで美月もやるんだ?」
美月は男だろ?
ならば、やる必要はないじゃないか。
「私1人より2人の方がいいでしょ?」
「つまり……あれか。人数補給のためか」
「うん、そーいうこと」
ふぅ……。
びっくりした。
一瞬美月って女の子だと思ってしまった。
ただでさえ、容姿が中性ぽいからそう思ってしまうのも仕方がない。
「それじゃあ早速私からするよー」
六花はそう言うと、俺の目の前までぐぐっと近づいてきて、その上目遣いとやらをした。
「ど、どうだった?わ、私のこと……好きになった?」
「あー……えーと……」
そんな期待した目で言われると余計言いにくくなるよ!
正直六花の上目遣いは…………酷かった。
なんと言えばいいだろうか。
……………………アヘ顔だった。
一部の男子にはウケる……というか性的興奮を覚えさせるかもしれない。
「六花ちゃん……キモかったよ」
って、おおおおおおおおいいいいいいいいいい!
美月そこは正直に言っちゃダメだろ?!
せめて言葉を濁すとか遠回しに言うとかなかったの?!
そんな俺をよそに美月は最後のトドメを刺した。
「これ。写真撮ったから見てみたら?」
美月が差し出したスマホを六花は受け取り…………固まってしまった。
顔が引きつったまま、口の端がピクピク痙攣して顔色が真っ青になっていく。
「お、おい……大丈夫か?」
「だ、だだだだだ大丈夫…アハハハハハ。」
六花の冷たくて乾いた笑い声が部室中に響いた。
「つ、次は美月ちゃんの番だね…」
それから数分後、まだ先程のダメージが残っていながらも部活を続けようとする六花。
「よし、翔太いくよ?」
六花と同様に美月は俺にぐぐっと近づいてきて、上目遣いをした。
「ど、どうだった?」
美月は頬を紅くしながら感想を求めてきた。
「どう……て言われてもな……」
本当に女の子かと思うぐらい照れた様子が可愛い。
……じゃなくて、上目遣いのことだった。
美月の上目遣いは正直…………六花と同等かそれ以上だった。
それ以上というのはつまり……酷かったという意味。
上目遣いを通り越して白目剥いてたから一瞬何かに取り憑かれたかと思ったほどだ。
こんなの写真に撮って、夜中メールで送られてきたら、怖くてトイレにも行けなくなる。
「美月ちゃん……キモかったよ」
って、おおおおおおおおいいいいいいいいいい!
何正直に言ってるの六花は?!
さっきの仕返しか?!
そして、先程見たようなことを六花はした。
「写真撮ったから見てみたら?」
六花のスマホを美月は受け取り………………固まってしまった。
顔色がどんどん真っ青になり、開いた口がパクパクと陸に打ち上げられた魚のようになっている。
「お、おい……大丈夫か?」
「だ、だだだだだ大丈夫…アハハハハハ。」
美月の冷たくて乾いた笑い声が部室中に響いた。
て、これさっきもこんなんだったけど、俺ループしてないだろうな?
部活動が終わったころ、美月と六花は疲れ果てていた。
部活中ずっと上目遣いの練習をしていたせいか、2人とも何か秘められた力に目覚めたようで「目がぁ……目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」とか言ってた。
まぁ、これはただ俺の解釈であって、たぶん上目遣いをやりすぎたせいで目がシパシパしているのだろう。
こんな部活よく学校側も認めてくれたなと思う。
でも、ずっとこんな状態であれば廃部になるのも時間の問題。
そもそも正式な部活動ではなく『同好会』だし。
なんの取り柄もない一見普通のどこにでもいる主人公がある事をきっかけにヒロインとなる女の子と出会う。
そこからいろいろな試練、困難を乗り越え、2人の距離はグッと縮まり、最後にはハッピーエンド!
もちろん、その間にハーレムコースなどもあるが、一般的なラブコメはこんな感じだろう。
俺も「そんな事が起きたらいいのにな」とか「このヒロインカワウィー!」とかアニメを見ながら妄想していた。
そして、妄想が激し過ぎてノートに書き残してたっけ。
でも現実ではそう上手いこといかないんだよなぁ。
……はぁ。
「今日の議題はコレよ」
『求人部』創部から翌日。
六花はホワイトボードに何かを書き始め、早速俺達は放課後、部活動に励んでいた。
部室は今では使われていない教室。
正直やる気にはなれないのだが妙に美月のやつがやる気に満ち満ちている。
上目遣いで好きな男の子を落とす!
ホワイトボードになぐり書きされたそれを見て思った。
……この部活本当に大丈夫かと。
一方美月はというと、両手を拝むように組んで目をキラキラ輝かせている。
お前男だよな?!
少なくとも俺には関係ない議題なので宿題でもするかと思い長机の上に筆記用具とノートを取り出す。
「何してんの?」
「いや、俺には関係ないことだから宿題でもしようと思って」
すると、お前何ほざいてんの?みたいな目をしながら六花は言う。
「しょーくんには私たちの相手役になってもらいます」
今「たち」って言ったよな?
それとも俺の気のせいだろうか?
「いや、気のせいじゃないよ。私と美月ちゃんの2人でやるから」
なんで俺の心が読めたの?!
「ちょ、ちょっと待ってくれ!なんで美月もやるんだ?」
美月は男だろ?
ならば、やる必要はないじゃないか。
「私1人より2人の方がいいでしょ?」
「つまり……あれか。人数補給のためか」
「うん、そーいうこと」
ふぅ……。
びっくりした。
一瞬美月って女の子だと思ってしまった。
ただでさえ、容姿が中性ぽいからそう思ってしまうのも仕方がない。
「それじゃあ早速私からするよー」
六花はそう言うと、俺の目の前までぐぐっと近づいてきて、その上目遣いとやらをした。
「ど、どうだった?わ、私のこと……好きになった?」
「あー……えーと……」
そんな期待した目で言われると余計言いにくくなるよ!
正直六花の上目遣いは…………酷かった。
なんと言えばいいだろうか。
……………………アヘ顔だった。
一部の男子にはウケる……というか性的興奮を覚えさせるかもしれない。
「六花ちゃん……キモかったよ」
って、おおおおおおおおいいいいいいいいいい!
美月そこは正直に言っちゃダメだろ?!
せめて言葉を濁すとか遠回しに言うとかなかったの?!
そんな俺をよそに美月は最後のトドメを刺した。
「これ。写真撮ったから見てみたら?」
美月が差し出したスマホを六花は受け取り…………固まってしまった。
顔が引きつったまま、口の端がピクピク痙攣して顔色が真っ青になっていく。
「お、おい……大丈夫か?」
「だ、だだだだだ大丈夫…アハハハハハ。」
六花の冷たくて乾いた笑い声が部室中に響いた。
「つ、次は美月ちゃんの番だね…」
それから数分後、まだ先程のダメージが残っていながらも部活を続けようとする六花。
「よし、翔太いくよ?」
六花と同様に美月は俺にぐぐっと近づいてきて、上目遣いをした。
「ど、どうだった?」
美月は頬を紅くしながら感想を求めてきた。
「どう……て言われてもな……」
本当に女の子かと思うぐらい照れた様子が可愛い。
……じゃなくて、上目遣いのことだった。
美月の上目遣いは正直…………六花と同等かそれ以上だった。
それ以上というのはつまり……酷かったという意味。
上目遣いを通り越して白目剥いてたから一瞬何かに取り憑かれたかと思ったほどだ。
こんなの写真に撮って、夜中メールで送られてきたら、怖くてトイレにも行けなくなる。
「美月ちゃん……キモかったよ」
って、おおおおおおおおいいいいいいいいいい!
何正直に言ってるの六花は?!
さっきの仕返しか?!
そして、先程見たようなことを六花はした。
「写真撮ったから見てみたら?」
六花のスマホを美月は受け取り………………固まってしまった。
顔色がどんどん真っ青になり、開いた口がパクパクと陸に打ち上げられた魚のようになっている。
「お、おい……大丈夫か?」
「だ、だだだだだ大丈夫…アハハハハハ。」
美月の冷たくて乾いた笑い声が部室中に響いた。
て、これさっきもこんなんだったけど、俺ループしてないだろうな?
部活動が終わったころ、美月と六花は疲れ果てていた。
部活中ずっと上目遣いの練習をしていたせいか、2人とも何か秘められた力に目覚めたようで「目がぁ……目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」とか言ってた。
まぁ、これはただ俺の解釈であって、たぶん上目遣いをやりすぎたせいで目がシパシパしているのだろう。
こんな部活よく学校側も認めてくれたなと思う。
でも、ずっとこんな状態であれば廃部になるのも時間の問題。
そもそも正式な部活動ではなく『同好会』だし。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
天ヶ崎高校二年男子バレーボール部員本田稔、幼馴染に告白する。
山法師
青春
四月も半ばの日の放課後のこと。
高校二年になったばかりの本田稔(ほんだみのる)は、幼馴染である中野晶(なかのあきら)を、空き教室に呼び出した。
プレッシャァー 〜農高校球児の成り上がり〜
三日月コウヤ
青春
父親の異常な教育によって一人野球同然でマウンドに登り続けた主人公赤坂輝明(あかさかてるあき)。
父の他界後母親と暮らすようになり一年。母親の母校である農業高校で個性の強いチームメイトと生活を共にしながらありきたりでありながらかけがえのないモノを取り戻しながら一緒に苦難を乗り越えて甲子園目指す。そんなお話です
*進行速度遅めですがご了承ください
*この作品はカクヨムでも投稿しております
善意一〇〇%の金髪ギャル~彼女を交通事故から救ったら感謝とか同情とか罪悪感を抱えられ俺にかまってくるようになりました~
みずがめ
青春
高校入学前、俺は車に撥ねられそうになっている女性を助けた。そこまではよかったけど、代わりに俺が交通事故に遭ってしまい入院するはめになった。
入学式当日。未だに入院中の俺は高校生活のスタートダッシュに失敗したと落ち込む。
そこへ現れたのは縁もゆかりもないと思っていた金髪ギャルであった。しかし彼女こそ俺が事故から助けた少女だったのだ。
「助けてくれた、お礼……したいし」
苦手な金髪ギャルだろうが、恥じらう乙女の前に健全な男子が逆らえるわけがなかった。
こうして始まった俺と金髪ギャルの関係は、なんやかんやあって(本編にて)ハッピーエンドへと向かっていくのであった。
表紙絵は、あっきコタロウさんのフリーイラストです。
男子高校生の休み時間
こへへい
青春
休み時間は10分。僅かな時間であっても、授業という試練の間隙に繰り広げられる会話は、他愛もなければ生産性もない。ただの無価値な会話である。小耳に挟む程度がちょうどいい、どうでもいいお話です。
夏休み、隣の席の可愛いオバケと恋をしました。
みっちゃん
青春
『俺の隣の席はいつも空いている。』
俺、九重大地の左隣の席は本格的に夏休みが始まる今日この日まで埋まることは無かった。
しかしある日、授業中に居眠りして目を覚ますと隣の席に女の子が座っていた。
「私、、オバケだもん!」
出会って直ぐにそんなことを言っている彼女の勢いに乗せられて友達となってしまった俺の夏休みは色濃いものとなっていく。
信じること、友達の大切さ、昔の事で出来なかったことが彼女の影響で出来るようになるのか。
ちょっぴり早い夏の思い出を一緒に作っていく。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる