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大学生
第23話
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海の家から焼きそばを手に入れた俺と亜美は六花がいる場所に戻ることにした。
昼ということもあってか海の家には長蛇の列ができており、六花と別れてから随分と時間を取られてしまった。
でも、これぐらい時間を空けておけば六花も機嫌が治っている頃だろう。みんなで焼きそばでも食いながら午後は何をするか話そうと思っている矢先の出来事だった。
「離してください!」
「いいじゃんかよォ~。俺たちと遊ぼうぜ」
六花の叫び声とともに下卑た男どもの声が聞こえてきた。
六花は掴まれた左腕を必死に振りほどこうともがいている。
男どもはそんな六花を面白がっているのかずっとニヤニヤして……最近のナンパにしては古くねぇか?それとも古いドラマの台本とかでも読んでいるのだろうか。
いやいや、そんなことを考えている場合じゃない!今すぐ六花を助けないと!
俺は亜美に焼きそばを手渡してそこら辺で待っているように指示すると六花の方へ急いで戻った。
「六花、どうしたの?」
何気ない感じに俺は声をかけた。……じゃないと、なんかチンピラ風の男どもにボコボコにされそう。そうなった場合、俺一人対チンピラ風の男三人だから絶対死ぬ!
ここはなんとか穏便にかつ六花を助ける方法でいこう!
「隼人!……怖かった……」
「ちょ……あぁ……」
俺の存在に気づいた六花は涙目になりながら俺の胸に飛び込んできた。
普通ならこの状況はこの上ないラッキーなことなのだが、今の状況で抱きつかれたら……ほら見ろ!チンピラさんたちが物凄い鋭い目つきで俺を睨んでるよ!これはピンチ!
この最悪な状況を打開するにはどうすればいいだろうか。
俺は短い一瞬で頭をこれまでにないぐらいにフル回転させた。
これまで生きてきた十九年間の知識を今活用させる。
そして……普通にあっさりと出てきた。……俺、悪巧みとか向いてるのかもしれない。
「お、おい我が妹よ。人前でお兄ちゃんに甘えるのはダメじゃないか~」
俺の打開策、偽兄妹!
でも、セリフがめっちゃ棒読みだった。怪しまれてんじゃねぇか?
と、思っていたがさすがチンピラ。
俺の言葉を一ミリも怪しむことなく信じてしまった。
「なんだ、兄妹か……」
「ふぇ?……妹?何言ってモゴモゴ」
一方で六花は疑問と否定をそのまま口に出そうとしていたので俺はとっさに口を手で塞いだ。
ここでバレたらさらに俺の命が危ない。頼むから六花は黙っといてくれ!
そう、目で訴えたが……うん!たぶんというか絶対に伝わってないね!なぜか顔が赤くなってるし。
「そ、そういうわけなんで……俺たちはもう帰ります!さようなら!」
相手の返事も聞かず、六花を抱えた状態ですぐさまに退散した。
我ながらにあの状況を打開できたのはすごいと思う。
普通の人なら絶対に無理!……いや、そう断言はできないけどそう思いたい。俺には取り柄というものがないからね。
昼ということもあってか海の家には長蛇の列ができており、六花と別れてから随分と時間を取られてしまった。
でも、これぐらい時間を空けておけば六花も機嫌が治っている頃だろう。みんなで焼きそばでも食いながら午後は何をするか話そうと思っている矢先の出来事だった。
「離してください!」
「いいじゃんかよォ~。俺たちと遊ぼうぜ」
六花の叫び声とともに下卑た男どもの声が聞こえてきた。
六花は掴まれた左腕を必死に振りほどこうともがいている。
男どもはそんな六花を面白がっているのかずっとニヤニヤして……最近のナンパにしては古くねぇか?それとも古いドラマの台本とかでも読んでいるのだろうか。
いやいや、そんなことを考えている場合じゃない!今すぐ六花を助けないと!
俺は亜美に焼きそばを手渡してそこら辺で待っているように指示すると六花の方へ急いで戻った。
「六花、どうしたの?」
何気ない感じに俺は声をかけた。……じゃないと、なんかチンピラ風の男どもにボコボコにされそう。そうなった場合、俺一人対チンピラ風の男三人だから絶対死ぬ!
ここはなんとか穏便にかつ六花を助ける方法でいこう!
「隼人!……怖かった……」
「ちょ……あぁ……」
俺の存在に気づいた六花は涙目になりながら俺の胸に飛び込んできた。
普通ならこの状況はこの上ないラッキーなことなのだが、今の状況で抱きつかれたら……ほら見ろ!チンピラさんたちが物凄い鋭い目つきで俺を睨んでるよ!これはピンチ!
この最悪な状況を打開するにはどうすればいいだろうか。
俺は短い一瞬で頭をこれまでにないぐらいにフル回転させた。
これまで生きてきた十九年間の知識を今活用させる。
そして……普通にあっさりと出てきた。……俺、悪巧みとか向いてるのかもしれない。
「お、おい我が妹よ。人前でお兄ちゃんに甘えるのはダメじゃないか~」
俺の打開策、偽兄妹!
でも、セリフがめっちゃ棒読みだった。怪しまれてんじゃねぇか?
と、思っていたがさすがチンピラ。
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「なんだ、兄妹か……」
「ふぇ?……妹?何言ってモゴモゴ」
一方で六花は疑問と否定をそのまま口に出そうとしていたので俺はとっさに口を手で塞いだ。
ここでバレたらさらに俺の命が危ない。頼むから六花は黙っといてくれ!
そう、目で訴えたが……うん!たぶんというか絶対に伝わってないね!なぜか顔が赤くなってるし。
「そ、そういうわけなんで……俺たちはもう帰ります!さようなら!」
相手の返事も聞かず、六花を抱えた状態ですぐさまに退散した。
我ながらにあの状況を打開できたのはすごいと思う。
普通の人なら絶対に無理!……いや、そう断言はできないけどそう思いたい。俺には取り柄というものがないからね。
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