113 / 120
大学生
第19話
しおりを挟む
亜美の突然訪問から数日。
最後の言葉とかが気になり、亜美がまた何かしてくるのではと警戒していたが、特に変わったことは何一つ起きず、俺と六花は普段通りの夏休みを家で満喫していた。
「ねぇ、そーいえば今日お隣さん引っ越してくるらしいよ?」
「マジで?!」
俺は昼ご飯のミートスパゲッティを食べながら驚く。
だって、隣の部屋は昨日退去されて空き部屋になったばかりだ。
それなのにもう次の人が来るなんて……――ここそんなに人気あったか?
でも、昨日ドタバタ大急ぎでクリーニング屋が掃除して、鍵屋が鍵を替えていたのも頷ける。
「どんな人が入ってくるんだろうね…」
「そうだなぁ……」
問題はそこだ。
よくテレビとかで近所トラブルの話を耳にする。
前の隣人とは普通の近所付き合いで良かったんだが、次の隣人とはどうなるんだろうか。
まぁ、俺も六花も自分から問題を起こすような人間ではないから近所トラブルには向こうから仕掛けない限り、ないとは思うが……。
「まぁ、世の中に悪い人なんて少ないから大丈夫だろう」
「そうだね!」
そう言って、俺と六花は残りのミートスパゲッティを食べるのだった。
◆❖◇◇❖◆
それから数時間後。
部屋の掃除を二人がけでしている時にインターホンが鳴った。
外には引越し業者のトラックが止まっているので新しく引っ越してきた人が挨拶にでも来たのだろうと思い、ドアを開ける。
「なっ?!」
すぐに閉めてしまった。
いや、もう体が勝手に反射的に動いていた。
閉めたドアの向こうからは「なんで閉めるのよ!」とか「ちょっと開けてよ!」とかいろいろ叫び声が聞こえる。
「そんな焦ってどうしたの?」
「い、いや……その……」
六花にはなんて言ったものか……。
本当のことを伝えないという手はないだろう。隣の部屋なんだからすぐにバレてしまう。
ならば、もうストレートに事実を伝えるしかない。
「えーと……言い難いんだが……」
「なに?」
六花が小首をキョトンと傾げる。
「そのー……」
「早く言いなさいよ!」
あまりにも言い淀む俺にしびれを切らしたのか、六花が口調を強くしてその先を促した。
「隣の部屋……亜美」
「え?」
「亜美」
「……え?」
もう聞こえてるだろと聞くと、頷きもせず固まってしまった六花。
まぁ、俺もそんな感じになったし、その反応が普通だろ。
これからの暮らしが地獄へと変わっていくのが簡単に想像できた。
最後の言葉とかが気になり、亜美がまた何かしてくるのではと警戒していたが、特に変わったことは何一つ起きず、俺と六花は普段通りの夏休みを家で満喫していた。
「ねぇ、そーいえば今日お隣さん引っ越してくるらしいよ?」
「マジで?!」
俺は昼ご飯のミートスパゲッティを食べながら驚く。
だって、隣の部屋は昨日退去されて空き部屋になったばかりだ。
それなのにもう次の人が来るなんて……――ここそんなに人気あったか?
でも、昨日ドタバタ大急ぎでクリーニング屋が掃除して、鍵屋が鍵を替えていたのも頷ける。
「どんな人が入ってくるんだろうね…」
「そうだなぁ……」
問題はそこだ。
よくテレビとかで近所トラブルの話を耳にする。
前の隣人とは普通の近所付き合いで良かったんだが、次の隣人とはどうなるんだろうか。
まぁ、俺も六花も自分から問題を起こすような人間ではないから近所トラブルには向こうから仕掛けない限り、ないとは思うが……。
「まぁ、世の中に悪い人なんて少ないから大丈夫だろう」
「そうだね!」
そう言って、俺と六花は残りのミートスパゲッティを食べるのだった。
◆❖◇◇❖◆
それから数時間後。
部屋の掃除を二人がけでしている時にインターホンが鳴った。
外には引越し業者のトラックが止まっているので新しく引っ越してきた人が挨拶にでも来たのだろうと思い、ドアを開ける。
「なっ?!」
すぐに閉めてしまった。
いや、もう体が勝手に反射的に動いていた。
閉めたドアの向こうからは「なんで閉めるのよ!」とか「ちょっと開けてよ!」とかいろいろ叫び声が聞こえる。
「そんな焦ってどうしたの?」
「い、いや……その……」
六花にはなんて言ったものか……。
本当のことを伝えないという手はないだろう。隣の部屋なんだからすぐにバレてしまう。
ならば、もうストレートに事実を伝えるしかない。
「えーと……言い難いんだが……」
「なに?」
六花が小首をキョトンと傾げる。
「そのー……」
「早く言いなさいよ!」
あまりにも言い淀む俺にしびれを切らしたのか、六花が口調を強くしてその先を促した。
「隣の部屋……亜美」
「え?」
「亜美」
「……え?」
もう聞こえてるだろと聞くと、頷きもせず固まってしまった六花。
まぁ、俺もそんな感じになったし、その反応が普通だろ。
これからの暮らしが地獄へと変わっていくのが簡単に想像できた。
0
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件
ながしょー
青春
高校入学を前に両親は長期海外出張。
一人暮らしになるかと思いきや、出発当日の朝、父からとんでもないことを言われた。
それは……
同い年の子と同居?!しかも女の子!
ただえさえ、俺は中学の頃はぼっちで人と話す事も苦手なのだが。
とにかく、同居することになった子はとてつもなく美少女だった。
これから俺はどうなる?この先の生活は?ラブコメ的な展開とかあるのか?!
「俺の家には学校一の美少女がいる!」の改稿版です。
主人公の名前やもしかしたら今後いろんなところが変わってくるかもしれません。
話もだいぶ変わると思います。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる