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大学生

第11話

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 結局、六花は手芸部というサークルに入った。
 文字名のとおり、手芸部は裁縫だったり編み物だったりをするところだ。
 地味なサークルに入ったもんだなと思いながらまぁ、最初に出てきた魔術部よりかはよっぽどマシだ。

 「じゃあ、そろそろ行くね!」

 「おう、気をつけてな」

 今日も六花はサークル活動があるらしく、よほど楽しいのかウキウキしながら家を飛び出して行った。
 
 「さてと…俺は掃除でもするか」

 俺は講義もバイトも今日は休みなため、一日中家でゴロゴロする予定だ。
 でも、ゴロゴロする前にちゃんと部屋の掃除をしないとね!この状態でゴロゴロしたら俺がモップのように汚れちゃう!
 
◆❖◇◇❖◆

 掃除もひと段落したところで最後の部屋。
 ここは勝手に入ってもいいのだろうかと戸惑ってしまう。
 心の中では……

 『別にお前が家賃払ってるんだからいいに決まってるだろ!』

 と、言う悪魔がいる。
 そして、もう一匹は……

 『ダメだよぉ。いくら家賃を払ってからって、この部屋に勝手に入るのはデリカシーがなさすぎるよ!』

 と、言う天使がいる。
 いったい俺は何で葛藤しているのかというと、言わずとも六花の部屋だ。
 かつて実家に暮らしていた時は『入ったら……殺す』というほどまで立ち入り禁止だった。
 ――ならば、今回もそうではないか?
 と、思ったが、あいつはあくまで居候の身。
 別に一緒に暮らしているというわけではない。
 一緒に暮らさせてあげてるのだ。

 「まぁ、いいか!」

 俺は掃除機を片手に六花の部屋に繋がるドアを開ける。
 なぜか緊張して手が震え、力が入らないが……――俺は男!ビビってんじゃねぇ!
 気合いを入れ直して、思いっきりドアを開けた。

 「………………」

 ドアの向こうの光景は異様なものだった。
 俺はゴミでも入ってるのかと思い、目を擦る。
 が、光景は変わらず。
 視力がおかしいのかと思い、目を細める。
 が、光景は変わらず。
 部屋間違えたかと思い、一旦ドアを閉める。
 が、どう見たって六花の部屋。それに二間しかないんだから間違えようがない。
 ……ということは……。
 ……と!いうことは!
 
 「見なかったことにしよう」

 俺は静かにドアを閉めた。
 どういう表情で閉めたかは自分の顔だから確認のしようがない。
 でも、きっと…………真顔だったかと思う。
 忘れたくても忘れられない。
 六花の部屋には俺の写真がずらーりと壁中いっぱいに貼られていたことが。
 ふぅ…………。
 はぁ…………。
 ………………ストーカー規制法違反の疑いで通報しようかな?
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