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大学生

第4話

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 翌日の朝。
 俺はいつものようにベッドで爆睡していた。
 今日は休みなので、久しぶりに一日中寝ているつもりだ。
 ……だが、俺の予定は朝九時の時点で狂ってしまう。

 「朝だよぉ~!おーきーてー!」

 「うぅん…………朝からうるさいなぁ……」

 俺は布団を頭まで被った。

 「もぉー!早く起きないと……」

 「分かった分かった!もう起きたから!」

 俺は素早く飛び起きた。
 この間みたいに抱きつかれでもされたら、非常に困る…………いや、むしろありがたいのかな?

◆❖◇◇❖◆

 「で、なんで六花はおしゃれをしてるんだ?」

 俺は朝食を食べながら、向かい合って座っている六花にそう聞いた。

 「今日、隼人とデートする約束だったでしょ?」

 六花は微笑みながら幸せそうな表情でそう言った。
 ――あれ?約束した?
 俺は首を傾げる。

 「まさか忘れたの?!」

 ヤバい。
 六花のこめかみに青筋が浮かんだような気がする。
 俺はとっさに首を振った。

 「い、いいや、忘れてないよ!」

 「本当に?」

 「うん!」

 と、言ってみたものの……約束の内容が思い出せない。
 今日はどこに行くのだろうか。
 何気ない感じで聞いてみる。

 「な、なぁ…今日はどこに行くの?」

 「まさか……覚えてないの?」

 また六花の表情と声色が変わった。
 ヤバい。
 てか、本当に思い出せない。
 ――本当に約束したのか俺?

 「も、もちろん覚えてるよ!ただ確認したかっただけ!」

 「そう……なら良かった!」

 なんでこんなにも六花にビクビク怯えなきゃならないんだろう。
 別に怯える必要ないではないか。

 「今日はね、映画館とか行くんだよ!」

 六花は眩しいくらいの笑顔でそう言いながら、幸せそうな表情を浮かべている。
 ――相当、楽しみにしてるんだな。

 「そうだったな!じゃあ、ちょっと着替えてくるから少し待ってて」

 俺はそう伝えると、すぐに六花にいる場所から離れたのだった。
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