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大学生
第1話
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「隼人おかえり~」
「ただいま」
バイトが終わり、クタクタになりながら家に帰ると六花がご飯を作りながら待っていてくれた。
時間はもう夜十時過ぎだというのに、六花は毎晩のように俺の帰りを待ってくれて、しかもご飯まで作ってくれる。
客観的に見れば、俺たち二人の関係は新婚夫婦に見えるかもしれない。
でも、それは間違いで俺たちは結婚もしてなければ、付き合ってすらもいない。ただの同居人の関係。
「ご飯できたよ~」
六花がお盆にのせた今日の夜ご飯をテーブルの上に並べている。
――今日のご飯は……肉じゃがか。相変わらずだが、美味しそうだな!
だが、俺は晩ご飯を食べる前に聞きたいことがあった。
それは、なぜ俺のところに来たか。
六花が俺のところに来たと同時に大学の入学式や毎日バイト漬けで、すっかり聞くタイミングを掴めなかった。
いつか聞こうと思っていたが……今聞いてみるか。
「なぁ、六花。なんで俺のところに来たんだ?部屋探しならできたろ?」
俺は肉じゃがを箸でつつきながら、そう問いかけた。
「それは……」
すると、六花は急に顔を伏せてしまった。
――聞いちゃマズかったか?
「それは……その…………隼人と離れて初めて…………嫌だなって……」
表情はよく見えないものの、耳が真っ赤である。
「ん?何が嫌なの?」
「だから……とにかく隼人と離れるのが嫌なのっ!」
六花は顔を勢いよく上げ、目を潤ませながら真っ赤な顔でそう言った。
「そ、そうか……」
――なんか照れるな……。
美少女から面と向かって言われたもんだから、つい顔を背けてしまった。
それに顔が熱い。なぜか熱い。たぶん赤くなってるのだろう。
「と、とりあえず肉じゃが美味しいな!」
聞かなきゃ良かったと後悔しながらも肉じゃがを爆食いして話題を逸らすが……――ヤバい。顔見れねぇ。
上手く逸らすことができず、この後ぎこちない空気がずっと続いたのだった。
「ただいま」
バイトが終わり、クタクタになりながら家に帰ると六花がご飯を作りながら待っていてくれた。
時間はもう夜十時過ぎだというのに、六花は毎晩のように俺の帰りを待ってくれて、しかもご飯まで作ってくれる。
客観的に見れば、俺たち二人の関係は新婚夫婦に見えるかもしれない。
でも、それは間違いで俺たちは結婚もしてなければ、付き合ってすらもいない。ただの同居人の関係。
「ご飯できたよ~」
六花がお盆にのせた今日の夜ご飯をテーブルの上に並べている。
――今日のご飯は……肉じゃがか。相変わらずだが、美味しそうだな!
だが、俺は晩ご飯を食べる前に聞きたいことがあった。
それは、なぜ俺のところに来たか。
六花が俺のところに来たと同時に大学の入学式や毎日バイト漬けで、すっかり聞くタイミングを掴めなかった。
いつか聞こうと思っていたが……今聞いてみるか。
「なぁ、六花。なんで俺のところに来たんだ?部屋探しならできたろ?」
俺は肉じゃがを箸でつつきながら、そう問いかけた。
「それは……」
すると、六花は急に顔を伏せてしまった。
――聞いちゃマズかったか?
「それは……その…………隼人と離れて初めて…………嫌だなって……」
表情はよく見えないものの、耳が真っ赤である。
「ん?何が嫌なの?」
「だから……とにかく隼人と離れるのが嫌なのっ!」
六花は顔を勢いよく上げ、目を潤ませながら真っ赤な顔でそう言った。
「そ、そうか……」
――なんか照れるな……。
美少女から面と向かって言われたもんだから、つい顔を背けてしまった。
それに顔が熱い。なぜか熱い。たぶん赤くなってるのだろう。
「と、とりあえず肉じゃが美味しいな!」
聞かなきゃ良かったと後悔しながらも肉じゃがを爆食いして話題を逸らすが……――ヤバい。顔見れねぇ。
上手く逸らすことができず、この後ぎこちない空気がずっと続いたのだった。
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