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高校生
最終話 俺の家には学校一の美少女がいる!【後編】②
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打ち上げは俺の抵抗も虚しく、盛大に開かれた。
リビングのテーブルには唐揚げやポテト、チョコにスナック菓子、ジュースといつの間にか準備され、みんなはそれをつまみながらワイワイやっている。
そんな中で俺はというと…
「早く帰ってくんないかなぁ…」
「何さっきから1人でぶつぶつ言ってるの?気味悪いからやめたら?」
六花の言うとおり、独り言をつぶやきまくっていた。
だって、みんなもそういうことない?
せっかくの自由な時間がいきなりつぶれるってこと。
そりゃあ、ぶつぶつ言いたくなりますよ。
というか、最後の罵倒ひどくない?
「隼人もこっちでワイワイやろうよぉ~」
「いや、俺はいい」
「いいからいいからぁ~」
美月が俺の裾をぐいぐい引っ張ってくる。
――どこか様子がおかしくないか?
そのほかの亜美や水姫の様子もおかしい。
「なぁ……六花、これはどうなってるんだ?」
「にゃによ!うるしゃいっ!」
「えええええええ?!お前もかよ!」
さっきまで俺にあんなひどいことを言っていたやつが少し目を離したすきにこれだ。
六花の顔をよくよく見ると、頬がほんのり赤くなっている。
他の奴らの顔も見たが、症状は同じ。
そして何より、口からアルコールのにおい…
「まさか…」
と思い込み、テーブルの上に置いてあるぶどうジュースみたいな色をした液体の入った瓶を見てみる。
そして、開け口からにおいを嗅いでみると、
「ワインじゃねぇか!」
こいつら未成年なのにワインを飲むとは…見かけによらず、不良だな!
――じゃなくて、たぶん間違えたのだろう。
俺の両親はよくワインを飲んでたからなぁ。
そこらへんにしまっていたやつを六花がぶどうジュースと間違えたのだろう。
でも、においで気づかないか?
「はーやーとー!チューして!」
そんなことをしている場合ではなかった!
なんとかこいつらの酔いを醒まさなければ!
でないと、俺が六花や亜美に襲われちゃう!
「私もチューして!ね?」
「亜美もあっち行け!」
と言っても今のこいつらには俺の声が全然届いていない。
特に六花と亜美は恐ろしいほどに。
「いいから、お前ら離れろ!」
「やだ!」
「絶対にやぁーだぁー」
どうしよう。
今の状態を説明すると、六花と亜美が俺の下半身にしがみついている状態だ。
美月と水姫は……幸いソファーで2人仲良く寝息を立てている。
「ちょっ、そこ引っ張るな!」
ヤバい…ズボンが脱げちゃう!
俺は必死にズボンを死守しているときだった。
「あ、そーいえば」
六花の声に亜美の動きが止まり、六花も止まった。
――なんとかズボンが脱がされずに済んだ…。でも、いきなりどうしたのだろうか。
「ねぇ、隼人…いつになったら付き合ってくれるの?もちろん私だよね?」
その言葉を聞いた亜美も思い出したように続けて、
「私でしょ?あんなことやこんなことしたでしょ?」
2人ともまだ酔いはさめていないようだが、真剣なまなざしで俺を見つめている。
というか、そのまえに亜美の記憶は大丈夫なのか?
あんなことやこんなことってなんだよ。俺何もしてないし、した覚えもないぞ。
「それは……」
俺は今度こそ答えを出すときではないだろうかと思い、伝えようとした。
が、ちょうどこのタイミングで六花と亜美は寝息を立て始めた。
「うそ…だろ…」
今度こそ俺の答えを言おうとしたときにこれだ。
まぁ、2人とも酔っていたとはいえ…でも、俺の告白しようとした勇気を返せ!
それから数時間後。
窓から見える空はすっかり真っ暗な闇に包まれていた。
「あれ?いつの間に寝たんだろ?」
やっとのことで六花が目覚めたようだ。
ちなみに他の3人はまだ寝息を立てている。
「隼人…私たちなんで寝てたの?」
「さぁ?いつの間にか寝てたぞ」
ワインを飲んだことは言わなかった。
だって、そのことを言うと、「酔っていた時私なにしてた?」とか「なんか変なことしてなかった?」とかいろいろと聞かれそうでめんどくさい。
ここはもう、なかったことが最善の選択だろう。お互いにね。
「あ、そーいえば、六花はどうするんだ?」
「進路のこと?それは内緒…でも、ここで一緒に暮らすのも明日までだね」
そう、六花と俺はそれぞれ進路が決まった。
六花の進路はなぜか教えてくれないが、俺は大学に進学だ。
そして、明日が最後。
俺は大学近くのアパートに引っ越すつもりだ。
六花もそうらしい…場所くらい教えてくれればいいのに。
「なぁ…この3年間楽しかったか?…その…俺と一緒に住んでみて」
ちょっと照れくさい。
今自分はどんな顔をしているのか、考えただけで恥ずかしい。
六花も同様なのか照れくささのあまり、顔が真っ赤である。
「う、うん…すっごく楽しかった」
「そっか…」
最初の頃はどうなるかと不安とかでいっぱいだったけど、これもこれで悪くないな。
時折、ラブコメ的な展開も期待したときもあった…これは六花には内緒だぞ?
まぁ、とにもかくにもこの生活も明日でおしまい。
そのことが家財などが入れられた段ボールの山が物語っている。
――なんか寂しいな。
「そろそろみんなを起こそうか?」
「そうだな」
六花と俺はそれぞれ亜美と美月と水姫を起こし、みんなが帰るまでワイワイやった。
――【完】――
リビングのテーブルには唐揚げやポテト、チョコにスナック菓子、ジュースといつの間にか準備され、みんなはそれをつまみながらワイワイやっている。
そんな中で俺はというと…
「早く帰ってくんないかなぁ…」
「何さっきから1人でぶつぶつ言ってるの?気味悪いからやめたら?」
六花の言うとおり、独り言をつぶやきまくっていた。
だって、みんなもそういうことない?
せっかくの自由な時間がいきなりつぶれるってこと。
そりゃあ、ぶつぶつ言いたくなりますよ。
というか、最後の罵倒ひどくない?
「隼人もこっちでワイワイやろうよぉ~」
「いや、俺はいい」
「いいからいいからぁ~」
美月が俺の裾をぐいぐい引っ張ってくる。
――どこか様子がおかしくないか?
そのほかの亜美や水姫の様子もおかしい。
「なぁ……六花、これはどうなってるんだ?」
「にゃによ!うるしゃいっ!」
「えええええええ?!お前もかよ!」
さっきまで俺にあんなひどいことを言っていたやつが少し目を離したすきにこれだ。
六花の顔をよくよく見ると、頬がほんのり赤くなっている。
他の奴らの顔も見たが、症状は同じ。
そして何より、口からアルコールのにおい…
「まさか…」
と思い込み、テーブルの上に置いてあるぶどうジュースみたいな色をした液体の入った瓶を見てみる。
そして、開け口からにおいを嗅いでみると、
「ワインじゃねぇか!」
こいつら未成年なのにワインを飲むとは…見かけによらず、不良だな!
――じゃなくて、たぶん間違えたのだろう。
俺の両親はよくワインを飲んでたからなぁ。
そこらへんにしまっていたやつを六花がぶどうジュースと間違えたのだろう。
でも、においで気づかないか?
「はーやーとー!チューして!」
そんなことをしている場合ではなかった!
なんとかこいつらの酔いを醒まさなければ!
でないと、俺が六花や亜美に襲われちゃう!
「私もチューして!ね?」
「亜美もあっち行け!」
と言っても今のこいつらには俺の声が全然届いていない。
特に六花と亜美は恐ろしいほどに。
「いいから、お前ら離れろ!」
「やだ!」
「絶対にやぁーだぁー」
どうしよう。
今の状態を説明すると、六花と亜美が俺の下半身にしがみついている状態だ。
美月と水姫は……幸いソファーで2人仲良く寝息を立てている。
「ちょっ、そこ引っ張るな!」
ヤバい…ズボンが脱げちゃう!
俺は必死にズボンを死守しているときだった。
「あ、そーいえば」
六花の声に亜美の動きが止まり、六花も止まった。
――なんとかズボンが脱がされずに済んだ…。でも、いきなりどうしたのだろうか。
「ねぇ、隼人…いつになったら付き合ってくれるの?もちろん私だよね?」
その言葉を聞いた亜美も思い出したように続けて、
「私でしょ?あんなことやこんなことしたでしょ?」
2人ともまだ酔いはさめていないようだが、真剣なまなざしで俺を見つめている。
というか、そのまえに亜美の記憶は大丈夫なのか?
あんなことやこんなことってなんだよ。俺何もしてないし、した覚えもないぞ。
「それは……」
俺は今度こそ答えを出すときではないだろうかと思い、伝えようとした。
が、ちょうどこのタイミングで六花と亜美は寝息を立て始めた。
「うそ…だろ…」
今度こそ俺の答えを言おうとしたときにこれだ。
まぁ、2人とも酔っていたとはいえ…でも、俺の告白しようとした勇気を返せ!
それから数時間後。
窓から見える空はすっかり真っ暗な闇に包まれていた。
「あれ?いつの間に寝たんだろ?」
やっとのことで六花が目覚めたようだ。
ちなみに他の3人はまだ寝息を立てている。
「隼人…私たちなんで寝てたの?」
「さぁ?いつの間にか寝てたぞ」
ワインを飲んだことは言わなかった。
だって、そのことを言うと、「酔っていた時私なにしてた?」とか「なんか変なことしてなかった?」とかいろいろと聞かれそうでめんどくさい。
ここはもう、なかったことが最善の選択だろう。お互いにね。
「あ、そーいえば、六花はどうするんだ?」
「進路のこと?それは内緒…でも、ここで一緒に暮らすのも明日までだね」
そう、六花と俺はそれぞれ進路が決まった。
六花の進路はなぜか教えてくれないが、俺は大学に進学だ。
そして、明日が最後。
俺は大学近くのアパートに引っ越すつもりだ。
六花もそうらしい…場所くらい教えてくれればいいのに。
「なぁ…この3年間楽しかったか?…その…俺と一緒に住んでみて」
ちょっと照れくさい。
今自分はどんな顔をしているのか、考えただけで恥ずかしい。
六花も同様なのか照れくささのあまり、顔が真っ赤である。
「う、うん…すっごく楽しかった」
「そっか…」
最初の頃はどうなるかと不安とかでいっぱいだったけど、これもこれで悪くないな。
時折、ラブコメ的な展開も期待したときもあった…これは六花には内緒だぞ?
まぁ、とにもかくにもこの生活も明日でおしまい。
そのことが家財などが入れられた段ボールの山が物語っている。
――なんか寂しいな。
「そろそろみんなを起こそうか?」
「そうだな」
六花と俺はそれぞれ亜美と美月と水姫を起こし、みんなが帰るまでワイワイやった。
――【完】――
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