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高校生
第58話 クリスマスイブ〜後編〜
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美月の住んでいる2階建てアパートにたどり着いた。
時間にして約10分。
「意外と近いんだなぁ…」
まえに美月に家の場所を聞いたことがある。
そのときは遠いなと思っていたが、実際行ってみると思いのほか近かった。
「美月の部屋は……2階の右端だったよな?」
それにしてもこのアパート綺麗だ。
若い人にも人気がでそうなデザインをしている。
たぶん築5年未満なんだろう。
俺は美月の部屋の前に来ると、ふと疑問に思った。
「アイツ……ひとり暮らしだったよな?」
部屋の中から女子の声が聞こえてくるが気のせいだろうか。
いや、待てよ……もしかしたら彼女か?
「そんなわけねぇーか」
隣の部屋に住んでいる人の声だろう。
俺はそう思い、何気なくインターフォンを鳴らした。
「はいはーい」
今、女子の声だったような……
そしてドアが開き、出てきたのは女装姿の美月だった。
「お、お前何その格好?!」
「ん?何ってなにが?」
「その女装はなんだって言ってんだよ!」
「じょ、女装?!し、失礼な!私は……」
「それに胸に何入れてんだ?」
完全に女になりきっているのか胸も少し膨らんでいる。
俺はそれがなんなのか気になって鷲掴みの状態で揉んでみた。
すると、
「ん?これめちゃくちゃリアルだな!何入れてんだ?」
顔を見ると、すごく赤くなっていて声にもならない声で唸っていた。
どうしたんだろうか。
何も喋ってくれない。
俺は仕方なく、確認するために服をめくりあげようとしたそのときだった。
「どーしたんだ?」
奥の部屋からもう1人美月が現れたではないか。
俺は何が起きているのか分からず、その場で固まっていると、もう1人の美月が俺に気づき、声をかけてきた。
「おぉ!隼人どーしたんだ?」
「ど、どーしたも何も……美月が2人?」
ヤバい。頭が混乱してきた。
なんだろう。夢でも見ているのかな僕は!
「あぁー。なるほどね。状況は分かったよ」
見ただけで状況を把握するとか観察力高いな!
まぁ、それはどーでもいいとして、早く説明をしてほしい。
もう1人の美月はそのことを察したのか、説明をした。
「実は俺、妹がいて……双子なんだよね。で、俺が美月で隼人の前にいるのが妹の水姫だ」
「……」
俺は言葉が出なかった。
漢字変えただけでどちらとも「みずき」だと?
分かりにくいわ!
と、そんなことを考えていたとき、水姫が俺を上目遣いで見て、
「あの……手……」
「手?……うわっ!ご、ごめん!」
俺は水姫の胸を鷲掴みにしていたことに気づき、素早く手をズボンポケットに突っ込んだ。
「とりあえず中に入る?」
「うん……」
美月の提案により、俺は家の中へと入った。
「それにしても似てるな」
「そうかな?」
「私は嫌だけどね!」
家の中でくつろぎながら美月と水姫の顔を見比べると本当に瓜二つだ。
たぶん、今流行りの顔認証もロック解除できるんじゃないかな?
「お前……美少年で良かったな」
「え?」
美月には意味が分からなかったらしいが、もしブサイクだったら、妹である水姫もブスになってしまう。
幸い、顔が整っているため、水姫もなかなか可愛い。
「この際、隼人に俺たちの秘密を聞いてもらいたいんだが…」
「秘密って?」
「僕と水姫、ときどき入れ替わってるんだよ」
「ん?どーいうことだ?」
「たまに水姫が僕の制服を着て学校に行ってるんだよ」
「は?」
「で、それと同時に僕は水姫の学校に行っている」
なんて言えばいいのだろうか。
そんなこと現実でやる奴なんていたんだ。
もぉー何言ってるか分からないよ!
「てか、よくバレなかったな!」
「それぐらい似てるってことなんでしょ!www」
笑ってんじゃねぇよ!ダメだろ!笑い話にもなってねぇよ!
こうして、クリスマスイブは過ぎていった。……って、まだ24日午後12時なんだけどね。
時間にして約10分。
「意外と近いんだなぁ…」
まえに美月に家の場所を聞いたことがある。
そのときは遠いなと思っていたが、実際行ってみると思いのほか近かった。
「美月の部屋は……2階の右端だったよな?」
それにしてもこのアパート綺麗だ。
若い人にも人気がでそうなデザインをしている。
たぶん築5年未満なんだろう。
俺は美月の部屋の前に来ると、ふと疑問に思った。
「アイツ……ひとり暮らしだったよな?」
部屋の中から女子の声が聞こえてくるが気のせいだろうか。
いや、待てよ……もしかしたら彼女か?
「そんなわけねぇーか」
隣の部屋に住んでいる人の声だろう。
俺はそう思い、何気なくインターフォンを鳴らした。
「はいはーい」
今、女子の声だったような……
そしてドアが開き、出てきたのは女装姿の美月だった。
「お、お前何その格好?!」
「ん?何ってなにが?」
「その女装はなんだって言ってんだよ!」
「じょ、女装?!し、失礼な!私は……」
「それに胸に何入れてんだ?」
完全に女になりきっているのか胸も少し膨らんでいる。
俺はそれがなんなのか気になって鷲掴みの状態で揉んでみた。
すると、
「ん?これめちゃくちゃリアルだな!何入れてんだ?」
顔を見ると、すごく赤くなっていて声にもならない声で唸っていた。
どうしたんだろうか。
何も喋ってくれない。
俺は仕方なく、確認するために服をめくりあげようとしたそのときだった。
「どーしたんだ?」
奥の部屋からもう1人美月が現れたではないか。
俺は何が起きているのか分からず、その場で固まっていると、もう1人の美月が俺に気づき、声をかけてきた。
「おぉ!隼人どーしたんだ?」
「ど、どーしたも何も……美月が2人?」
ヤバい。頭が混乱してきた。
なんだろう。夢でも見ているのかな僕は!
「あぁー。なるほどね。状況は分かったよ」
見ただけで状況を把握するとか観察力高いな!
まぁ、それはどーでもいいとして、早く説明をしてほしい。
もう1人の美月はそのことを察したのか、説明をした。
「実は俺、妹がいて……双子なんだよね。で、俺が美月で隼人の前にいるのが妹の水姫だ」
「……」
俺は言葉が出なかった。
漢字変えただけでどちらとも「みずき」だと?
分かりにくいわ!
と、そんなことを考えていたとき、水姫が俺を上目遣いで見て、
「あの……手……」
「手?……うわっ!ご、ごめん!」
俺は水姫の胸を鷲掴みにしていたことに気づき、素早く手をズボンポケットに突っ込んだ。
「とりあえず中に入る?」
「うん……」
美月の提案により、俺は家の中へと入った。
「それにしても似てるな」
「そうかな?」
「私は嫌だけどね!」
家の中でくつろぎながら美月と水姫の顔を見比べると本当に瓜二つだ。
たぶん、今流行りの顔認証もロック解除できるんじゃないかな?
「お前……美少年で良かったな」
「え?」
美月には意味が分からなかったらしいが、もしブサイクだったら、妹である水姫もブスになってしまう。
幸い、顔が整っているため、水姫もなかなか可愛い。
「この際、隼人に俺たちの秘密を聞いてもらいたいんだが…」
「秘密って?」
「僕と水姫、ときどき入れ替わってるんだよ」
「ん?どーいうことだ?」
「たまに水姫が僕の制服を着て学校に行ってるんだよ」
「は?」
「で、それと同時に僕は水姫の学校に行っている」
なんて言えばいいのだろうか。
そんなこと現実でやる奴なんていたんだ。
もぉー何言ってるか分からないよ!
「てか、よくバレなかったな!」
「それぐらい似てるってことなんでしょ!www」
笑ってんじゃねぇよ!ダメだろ!笑い話にもなってねぇよ!
こうして、クリスマスイブは過ぎていった。……って、まだ24日午後12時なんだけどね。
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