俺の家には学校一の美少女がいる!

ながしょー

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高校生

第19話 学校イチ美少女と大晦日

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 今日は一年の最後の日。
 相変わらずだが、俺と六花は家でのんびりと過ごしていた。
 外は昼だというのに太陽の光は届かず、灰色の雲が空いっぱいに広がっている。

 「……今日は雪が振りそうだな」

 俺は空を見て、そう呟く。

 「隼人、昼ご飯作ったから一緒に食べよー」

 「分かったー」

 キッチンの方から昼食の知らせがきたので、食べることにした。

 昼食を食べ終わると、俺は普段通りに自室でアニメ鑑賞を始めた。
 最近は異世界ファンタジーが多い。そろそろ、ラブコメも尽きてしまいそうだ。
 
 「ああ……俺もこんなラブコメ的なこと起きないかなー……」

 可愛い美少女がある日、同じクラスに転入してきて、毎日を一緒に過ごす。そして、いずれは恋に落ちてハッピーエンド!
 だいたいのラブコメはこんな感じだが、現実はそうはいかない。
 でも、今はまだいい方だ。
 中学のときは話す女子とかいなかったし、SNSで女子にメールを送っても既読無視。女子に話しかければ、なんで話しかけてくるの?みたいな顔をされ……
 今思うと俺の過去って……ある意味黒歴史だな!思い出すのはやめよう!自虐にしかならねぇからな!

 そうこうしているうちに午後三時が回っていた。
 リビングに向かうと、六花がお菓子を大量に食べていた。

 「そんなに食べると太るぞー」

 「ふ、太らないもん!」

 たしかに。結構食べているわりにはあまり体型が変わっていないように見える。
 だけど、本人は少し気にしてるようで、自分のお腹を摘んでいる。

 「それよりさ、今日の夜ご飯は少し減らせよ」

 じゃなきゃ、年越しそばが入らない。

 「うん、分かった」

 まだお腹を摘んだりしている。そんなに気にしているのか?
 それにしてもなんだろうな。一年の最後っていうのは、なんというか名残惜しい。もう明日は新しい年と考えるとなんか嫌になる。

 「六花、一年の最後だし、暴露大会でもやろうよ」

 一応説明しておくが、暴露大会とはこの一年の間に誰にも話せなかったことを言い合おうというものだ。
 まあ、下手したら自爆しかねないよね!

 「じゃあ、俺から……。実は六花がこの家に住み始めたころ、勝手に部屋に入ったことがあります!」

 だって、女子とは縁のなかった俺にいきなり美少女が一緒の家に暮らすことになったんだよ?!女子の部屋って気になるじゃん!と思っていたが……
 ……あれ?六花の目って、こんな目してたっけ?
 いつもの六花の目は、犬みたいにくりくりしてて愛らしさが出ているが、今は違う。獲物を狙うオオカミのような目をしている。
 たぶんというより、紛れもなく怒ってますな。

 「り、六花、今は怒らないで!暴露大会なんだから次は六花の番だよ!」

 「じゃあ、隼人が大事にしていたフィギュアを壊した」

 「……え?あれ壊したの六花だったの?」

 ある日、俺がフィギュアを並べているとき、腕がポロって落ちたものがあった。てっきり、やってしまったと思い込んで何日間か落ち込んだ日があったが……。

 「おい!あれ高かったんだぞ!どうしてくれんだよ!」

 「人の部屋に勝手に入り込んだ人に言われたくないわよ!この変態!」

 なんにも言えねぇー。言い返せないね!

 「と、とにかく次は俺な。六花のこと少しエロい目で見てた」

 「……」

 あ。これ言わない方が良かったな。
 六花の目が血走ってるよ!確実に殺されるね!俺の命日が今日になるとは思わなかった。というか、完全に自爆して草

 「……六花、悪い。これはもうやめよう。お互いを傷つけ合うだけだ」

 「ちょっと待って!最後に……いいかな?」

 あんなに怒っていた顔がどこかにいった。顔を赤くして、なんかモジモジしている。

 「……やっぱり今はいい。年越しそばを食べているときに言うね」

 そう言って、この暴露大会は終わった。
 そして、時間は過ぎ、今年もあと三十分というところで俺と六花は年越しそばを食べることにした。
 食べている最中、俺は昼のことを思い出し、六花に何気なく聞いた。

 「そーいえば、昼のことなんだけど、なんだったの?」

 すると、六花は食べるのをやめ、箸を置いた。

 「私ね……いつからだったかは分からないけど……隼人のことが……す……好きなの」とか言ってくれないかな?と妄想してしまった。
 だが、それは現実になった。

 「私ね……隼人のことが好きなの!」

 俺は頭が真っ白になった。
 
 「優しいところとか頼り甲斐があるところとか……友だちとして一番好きなの」

 再び頭が真っ白になった。
 ……え?友だちとして?

 「だから来年もよろしくね!」

 六花は俺に微笑みながらそう言った。
 俺は恥ずかしい!猛烈に恥ずかしい!めっちゃくちゃ期待してしまったじゃないか!これだから人生はクソゲーなんだぁああ!!!

 「隼人、頭を抱えてどうしたの?」

 こうして、一年の最後を最悪な形で終えたのだった。
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