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『ヒール207』

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『ヒール207』


 冒険者が無事で良かった
 無事ていう言い方が適正なのか別として、こうして居るわけだから良いよな。

「シシリエンヌの言ったのが当たっていた」

「うん、良くぞ思いついたな」

「はい、トレイルが精霊神に魔王竜ヒールしたときから、考えてました。もし精霊神にヒールしたら、死んだ冒険者の魔力を持つ精霊神から元の体に戻れるのではて。でも本当に戻るとは私もびっくりしたぴょん」

「俺が一番不安だった」

「不安でもヒールしたのは偉い。大勢の命を救ったのです。私は猫人として大変にトレイルを尊敬しました」

「ありがとうローズ」

「トレイル、トレイル、トレイル、トレイル、トレイル
!!!!!!!!!!!!」

「トレイル、バンザイ!!!!!!!」

 いきなり俺の名前の大合唱となったか、恥ずかしいな。

「あははは、トレイルは英雄扱いだ」

「私も同じパーティー仲間で嬉しい」

「50人もの冒険者をすぐのは、そんな話は聞いたことない。トレイルは伝説になるぴょん」

「俺が伝説になるなら、みんなも伝説だ、一緒だからな」

「竜の守りの成果でことでいいのね」

「そうしよう。みんなの竜の守りの成果だよ」

 竜の守りにとっては大きな財産になりそうだ。
 すると冒険者の中に辺りを探している者が出てきて、

「居たぞ、サリオスだあああああ、倒れているぞ!!」

「本当にいたのか、それにムジカもジェンティルも倒れている。発見した、まだ生きてる、苦しんでるだけだ!!!!!!」

「みんなこいつら森の王の3人だ。ボコボコにして殺してしまおうぜ!」

「おおおおおお!!!」

 サリオスが倒れていたのを発見してしまった冒険者は、50人に伝えるとサリオスの付近に。
 どうするかと言ったら、サリオスを殺すと言った。

 冒険者達は実際に泉に捨てられてさっきまで死んでいたわけで、そんな冒険者からしたら、殺したくなるのは当然か。

「ヤバイよトレイル。冒険者はサリオスを殺す気です。止めなくていいの?」

「止めよう。早くトレイルが説得しないとダメよ。サリオスは大嫌いだけど、騎士団に連れて行き、過去の罰を受けさせるのでしょ。止めさせて」

 見ると、冒険者はサリオスを囲んでいく。
 今はサリオスを殺されては困る。
 冒険者が殺す前に俺は冒険者を説得しにいき、

「冒険者さん、ちょっと待ってください。サリオスには手を出さないでください!」

 俺の注意を聞いたら、停止してくれたが、なぜて顔をしていた。

「なぜだい。こいつはサリオスだ。忘れやしない。オレたちを泉に入れた奴だぜ。オレ達の好きにさせてくれ、トレイル」

「冒険者さんがそう思うのは当然だし、許せないのはわかります。しかしサリオスは、あなた達にしたこと以外にも、他にも余罪がある。今は勇者なんですが、勇者として許されないはずです。サリオスに仕返しはせずに、我慢してください」

 怒りを押さえきれない冒険者は、俺の話を聞いてくれて、

「えええつ、サリオスは勇者?」

「まさか、オレ達と泉に行った時は、おなしBランクだったぜ」

「サリオスはあなた達、冒険者50人を泉に入れた代わりに、精霊の加護を受けた。精霊の加護は強力で、Bランクのサリオス達を勇者にして、勇者パーティーになったんだ」

「オレ達を義性にして、自分は勇者かよ、ますます許せねえな、おい、起きろよ!」

「うわあああああああ」

 サリオスを上から蹴りを入れたので、サリオスは叫んだ。

「ヤメてくれ、頼む。オレを許してくれ」

「うるせえ、今さら許してくれだと、殺すぞ」

「仕方なかったのだ。オレが勇者になり、世界を守るしかなかった。事実、その後に魔王竜ゲオルギウスを討伐した」

「黙れ、自分が勇者になりたいからの言い訳だろ。許すわけねえ、殺すしかねえ」

「頼む、頼む、助けてくれ、トレイル、トレイルからも言ってくれ。オレは間違いなかったと。必要な義性だったと伝えてくれよなトレイル?」

「必要ではなかったと思うよ。でもここで殺すのは簡単だ。騎士団が判断するさ、サリオスの今後の判断は。俺は司法に任せたい」

「オレは認めねえよバカ、生かしておけねえが、ここにいるトレイルはオレ達の命を元に戻してくれた人。そのトレイルが殺すのをヤメて騎士団に引き渡したいといった。だから命を取るのはお預けだ。トレイルに感謝しな」

 サリオスは最後にはオレに助けてくれとなる。
 身動きできない状態なので、俺しか頼れないからだったが、これがあの勇者のサリオスかなと疑ってしまう場面だった。

 俺のお願いを聞いてくれた冒険者。
 騎士団側に引き渡したいのを理解してくれたのはありがたい。
 この場で押さえきれないまま、サリオスを殴り殺したとしても不思議はなかった。

 それくらい冒険者達の怒りは感じられた。

「ありがとう。サリオスは俺が必ず騎士団に届けます」

「トレイルがいなければ、オレ達は今も精霊神の内部にいたわけだろ。死んでいるのも同じさ。それを助けてくれたのだ。みんなトレイルに従うさ」

「そうかい、冒険者達にも町に来てもらいたい。町には騎士団が待機している、サリオスのしたことを証言して欲しいから」

「わかった。証言しよう。この男は絶対に許してはいけないからな」

「証言? 騎士団? まさかオレを王都に連れて行く気かトレイル?」

「連れて行く。残念ながらサリオスとムジカとジェンティルは、厳しい罰をうけてもらう」

「やめろおおおおお、トレイル!」

「やめなさいトレイル、私はあなたを可愛がったでしょ、だからサリオスとムジカは連れて行っていいから、私は置いていってくれるわよね?」

「ジェンティル、君も一緒に騎士団行きだ。俺は可愛がられたつもりもないし、逆にイジメられたと思うよ」

「いやややあああああああ、トレイル、トレイル、置いていってえええええ!」

 ジェンティルは半泣きしつつ俺にしがみつく。
 あの上から目線でしか見なかったジェンティルが、今は俺の足にしがみつく程に落ちた。

 ここまで落ちるジェンティルは、衝撃でもあるな。
 たとえどんなにジェンティルから誘われようが、彼女は終わりだ。
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