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『ヒール169』

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『ヒール169』



 ドラゴンから攻撃を受けたものの、何とかヒールした。

 そして竜神様は再びドラゴンを前進させたのは城に向かうからだ。

 マズイなこのままだと本当に城を破壊してしまう。

 町に来たのは俺がドラゴンと竜神様からの被害を少なくさせるためだった。

 なのに、今の俺には食い止めるのがかなり難しいな。

 そうしていたらシシリエンヌから、

「あああっ、城にドラゴンが突入したぴょん!」

「壁が簡単に壊れてます!」

 ドラゴンは意外と走る速度が速かった。

 そのため俺達は追いつけずに城に突入を許してしまった。

 悔しいが間に合わなかったし、竜神様を止められなかった俺の責任も多少はあるかな。

 被害が少なければいいけど。

 しかし俺の予想とは逆にドラゴンは暴れている。

 城に待機していた兵士からの攻撃もあっても同じ。

 竜神様には届かない。

 むやみに攻撃しても竜神様には傷ひとつつけられないのに騎士団も困っているはず。

 走っていき、ドラゴンを追うとローズから、

「トレイル、竜神様は私は神様だと言ってます」

「いきなり神様だと宣言したか。余計に混乱するだろうに」

「全く人を困らせるのが好きな神様。バカっ」

 騎士団の騎士も、神様だと言われても困るよな。

 この規模の町であるから騎士も精鋭が揃えられていてもおかしくない。

 その精鋭の騎士に向かって神様とは、頭がおかしい少女かと普通はなる。

 しかしドラゴンを操りフレアを使えるなら話は別になり、神様かとなるので混乱しかない。

 きっと騎士団は城を守る騎士と戸惑う騎士とに別れているだろうな。

 城が壊れて行く風景が見えた。

 あんなにと強固な城が簡単に崩れていくのを見た人々は、恐怖でいっぱいといった感じか。

 俺達はやっとのこと城が見える位置にまで来た。

 残念ながらドラゴンはすでに城の半分以上を破壊していた後だった。

「間に合わなかったか……」

「トレイルのせいじゃないよ。悪いのは竜神様だよ」

「自分を攻めるな。神様を攻めろ」

 確かに俺の責任とは言いがたいが、どうしても自分をせめていたらしく、ローズから励まされた。

 問題はここからだな。

 ドラゴンの動きを先ずは止めること。

 もっと言えばドラゴンを倒せれば一番いい。

 竜神様は倒せないのは仕方ないとして。

 だから俺は叫んでみて、

「竜神様~~~、城を壊すのは止めろ!」

 聞こえるかわからないが、わからせてやりたかった。

 すると俺が近くにまで来たのを発見したらしく、

「……トレイルか。もう遅いよ。壊したあとに来ても」

「人々か困っている。神様なんだからそれくらい感じろ!」

「その神様を怒らせたのは誰だっけか。人族でしょ」

「人族と言っても勇者サリオスがした失態だ。その件については謝る。サリオスが悪いのは悪いと思う。サリオスは自分勝手な面はある。サリオスに責任を取らせたらいい。なにも悪くないこの町の城や町を壊すことはないでしょう!」

 竜神様が言うのももっともだ。

 サリオスのわがままで起きた件。

 サリオスが何もしなければ起きていないのだから。

 あいつが全てのことの発端だったのは否めないとしても、神様のやっているのをそのまま見過ごせない。

 必ずやサリオスには責任を取ってもらわないとな。

 俺はサリオスか今どこにいるかわからないが、許せなかった。

 そしてサリオスのような人にだけはなりたくなかった。

「そんなの知らないよ。私は神様だぞ。怒らせたならどうなるか、人族に教える立場にある。だから城を破壊してもいいのだ。人々はこう思っただろう……竜神様を起こしたら大変な災になると。絶対に起こしてはいけないと言い伝えるだろうよ」

「……確かに竜神様の意見は正しい部分もある。けども、他に方法があると思う。だから止めてくれないか」

「人族のわがままを聞いてくれて、都合よくないか。神様にはそんな都合よく意見は通らないのよトレイル。あなたがゲオルギウスの加護を受けているのなら、力で私を止めてみなさいよ、ふふふ」

 まるで俺にではなく加護のゲオルギウスに訴えているたいに聞こえる。

 ゲオルギウスの加護があっての今の俺だ。

 逆に言うとゲオルギウスの加護がないと俺は何も出来ない単なるFランク冒険者だ。

 どうするかな……。

 この場で再び戦いになるしかないのか。

 出来ることなら戦わずに竜神様に帰ってもらう手段が望ましいけど。

 話からすると竜神様は俺を挑発している。

 戦いを望んでいる。

 戦いを楽しんでいる風にも聞こえる。

 逆に俺は生きた感じしない。

 神様に戦いをと言われて楽しいはずもないし。

 俺が悩んでいるとミヤマが、

「トレイルひとりで戦う必要ないぞ。みんなで戦えばいい。そうでしょ?」

「そうだよ。トレイルだけが竜の守りじゃないよ」

「みんなで戦うぴょん」

「私の魔法が受けたいらしいな、バカ神様は」

「みんな……ありがとう」

 俺が悩んでいるとみんなから声援を受ける。

 決して竜の守りはひとりじゃないという声援だった。

 そうだよな、竜の守りパーティーはひとりじゃないんだったのを俺は見失いかけていたよ。

 自分ひとりで抱え込む必要ないと俺は考えを変えた。

 そしたら少しだけ気分は楽になったかな。

 竜の守り全員で竜神様を説得させる戦いを開始する。

 そう思った時に爆発音が聞こえた。


ドドドドドドドドドドー!

 強大な音と爆風だ。

 なんだ、この音は!

 俺達ではないのは明らか。

 それに騎士団が攻撃してもいなかった。

 騎士団以外に他に誰か居るのか?

「なんの音?」

「凄い音だわ!」

「あっあそこだ。魔法を使ったのではないか!」

 パピアナが最初に発見したらしい。

 そちらを向いて見ると、俺はショックを受けた。

 あり得ないと思った。

 発見した方向に居たのはサリオス。

「サリオス!!」

 俺は思わず叫んでしまった。

 ここに来たのは予想外だったし、どうして来たのかもわからない。
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