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『ヒール148』

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『ヒール148』



「そうだよ、俺は森の王パーティーにいた。少し前だけどね。理由あって今は竜の守りパーティーを設立したんだ。その流れもあり、サリオスとは顔見知りかな」

「トレイルも森の王にいたのかい」

「雑用係だけどね」

「実はオレたち2人も雑用係で採用されたんだ。偶然にも」

 やはり雑用係だったか。

 話からして雑用係だろうなとは予想していたが。

 俺がいた時から何も変わっていないわけで、よく変わらず雑用係を採用しているなて感じ。

「偶然でもないんだよ。サリオスの森の王は俺が所属する前から雑用係を採用していた。それで俺も採用されたわけだ。そして最悪なのは少し雑用係として採用したら追放するのがあの男のやり方。追放するだけならまだいいが、最悪殺されている奴もいる」

「ええっ、殺されている!」

「でも、でもあれを見たらトレイルの言うのも納得するかな」

 俺が雑用係だと話すとびっくりしていた。
 しかも殺されたのもいると知り、余計に驚きだったらしい。
 でも教えておいて良いと思う。
 知らないで殺されるのはかわいそうだし。
 ただ、あれを見て、と言ったのは気になるかな。
 あれとは何かな、もう少し詳しく聞きたい部分。

「あれを見ての、あれって何かな。この町で見たものかい?」

「トレイルにだけ言うぞ、絶対に誰にも言うなよ」

「わかったから教えてくれ」

「2人ともパーティーに雑用係として採用されてまだ浅い。サリオスとジェンティルとムジカの3人パーティーで竜人の町に来たのは少し前。目的は竜人の剣だ」

 やはりな竜人の剣が目的か。

「サリオスと神殿にたどり着いた。雑用係だから神殿の場所も調べておけと言われた。神殿に到着したら護衛が来た。竜人の護衛カザルスと言った。彼はサリオスに対して扉は開けられないと言った。そしたらサリオスはムカッときたらしく、カザルスと対立してしまった」

「サリオスらしいな」

 サリオスらしいな。
 あの男は何が何でも自分中心だからな。
 欲しいのに断られたら怒るタイプ。
 イメージ出来る。

「戦いが始まった。サリオスと護衛カザルス達との間で。周りには誰も居なかったのを確認させられた。確認したら誰もいないとジェンティルに伝えた。カザルスは強かった。しかし異常に強かったのはサリオスだった。さすがに勇者と呼ばれるだけあった。でも護衛と戦い強引に扉を開こうなんて勇者のする行動とは思えなかった。疑問に思った。そしたら何を考えているのかカザルスに対して扉を開けなければ町に魔法を放つと脅した。もちろんただ脅しだろうと思った。でもサリオスは信じられないことに本当に丘から魔法を放った。町の竜人の人が大量に犠牲者になるのを何とも思っていなかった」

「やっぱりサリオスだった!」

「サリオスの奴め、犯人だった」

「間違いなかった。サリオスだったんだぴょん」

「決まりだな」

 雑用係からサリオスが犯人と口にした。
 確信はなかったが、これで確実にサリオスが竜人の人を犠牲者にしたとなった。
 アシャカリアンが怖がりながら話してくれた内容と同じだった。
 つまりはサリオスは最低の奴てことだ。
 あり得ない男だ。

「えっとまるでサリオスがやったと知っていたみたいだけど」

「とあるところからの情報でサリオス説を聞いていた。許せないな。絶対にあの男を許すわけにはいかない」

「そうよ、そうよ、とっ捕まえてやりましょう」

「世界に知らせるべきぴょん」

「本当にあったか。聞くまでは信じたくなかったけど、恐ろしい男だよ」

 雷鳴パーティーも驚きを隠せない様子に。
 雷鳴の悪魔は森の王の実態についてほとんど知らないから、今回は衝撃を受けたに違いない。
 クールキャットは取り乱している。

「逃げてきて正解だった。2人で森の王を逃げようと相談していた。サリオス達が話をしていた時に、すきを見て逃げてきたんだ」

「それで慌てて走っていたのか。サリオスから逃げるなら、慌てるわな」

 周りには竜人の人はいて、買い物をしている。
 露天商では賑やかな買い物風景があった。
 俺たちと雷鳴パーティーと雑用係の2人は露天商の通りで話し合っていた。


 ズドンーーーーン!!!!

 そのときにいきなり轟音がした。
 爆音に近い音。
 耳が壊れたかと思う。
 何なんだこの音は。
 そして凄まじい衝撃があり、俺の体は吹き飛んでいた。
 俺だけでなく、ローズもパピアナもシシリエンヌもミヤマもだった。
 それに露天商の通りにいた竜人の人も吹き飛んでいた。
 俺は瞬間的にみんなの心配をした。

「大丈夫か、みんな?」

「私は大丈夫よ」

「痛え~~、何があった」

「痛いぴょん」

「爆発か?」

 どうやらみんなも大けがはなかったのは良かったな。

「クールキャットはどう?」

「うちらの雷鳴も平気みたい。みんなケガはないから」

「良かった」

 雷鳴も大けがなしと報告あり、ホッとした。

「しかし竜人の人はひどいケガしているぜ、トレイルよ、ヒールしてやってくれよ。痛がっている!」

「わかった、今すぐにヒールします。魔王竜ヒール」

 タップアウトからヒールの要請。
 言われなくても用意はしていて、ヒールをする魔力を準備中だった。
 露天商の通りにいた竜人の被害者数はざっと見た目、30人くらいかな。

「痛いよ~」
「何があったかわからないよ~」

 かなりの被害だな。
 痛いて言う悲痛な声が聞こえるけど、効果が出れば痛みは回復する。
 ようやく効いたらしい。

「あれ痛くない!」

「私も痛くない、血が止まってる!」

 これで大丈夫だろうと思う。

「トレイル、ありがとうだぜ」

「いいんだよ」

「トレイル、今いたよな雑用係とか言う冒険者が2人」

「えっと」

 みんなの体力の回復をした直後。
 ちょっと前に出会った雑用係は?
 あれ、居ないぞ。
 姿がないが。
 被害にあったとしてもヒールで回復してあるから、もう立ち上がっていてもいいはずなのに。

「居たわ! あそこに雑用係が寝てる!」

 寝てる?
 まだ起きていないてことか。
 ローズが最初に雑用係を起こそうとした時。
 俺の方を向いたローズは、悲しい顔をしていた。

「死んでいるわ。2人とも」

「嘘だろ」

 ヒール魔法は体力の回復や傷の回復には効果がある。
 魔王竜ヒールも同じ種類と言えて、ただ回復者は全員に一度に効果を及ばせられるのが利点。
 それも全回復まで出来るチートを持つが、しかし死者には効果はなかったらしい。
 悲しいことに、雑用係の2人は死んでいた。
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