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『ヒール142』

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『ヒール142』



「トレイルどうする?」

「俺も考えてる」

「ハンマーでナイフを盗賊を倒す。そして女性を助ける。これで決まりだろ」

「ミヤマは単純過ぎる」

「ダメか」

 ミヤマらしい単純な発想だったが、リスクが大きいかな。

 失敗したら死ぬからだ。

 死ぬのだけは避けないといけないが、抵抗したら殺すと来る。

 ずいぶんと汚いやり口だな。

「早く武器や金を置け。切るぞ」

「盗賊らしい。やっぱりムカつく奴らだ。切ってやる」

 トリプルアクセルが自慢の速度アップで助けに行く。

 彼は雷鳴の中でも最も速い。

 速度アップをするのが得意で、女性を助け出せるかもだ。

 超早足で向かうと、

「おっと、動くな! 動いたら死ぬと言ったよな」

「痛いっ」

「チッ、無理か」

 トリプルアクセルが突っ込むのを察して、ナイフで実際に切った。

 首からは少しだけ血が流れるのを見て、さすがにトリプルアクセルは停止した。

 それ以上は前に出れない。

「調子に乗るな冒険者っ」

「うううっ!」

「トリプル!」

 急接近したトリプルアクセルに対して、盗賊が棒で殴った。

「てめぇらいい加減にしろ」

 仲間のタップアウトがたまらずに反撃を開始。

「おい、止まれ。さもないと女が死ぬぞ」

「汚えな」

 タップアウトは停止せざるを得ない。

 首に血が流れるのを見たからだろう。

 こうなるとどうしょうもない。

 なにも出来なくなるし、武器と金を渡すか?

「わかった。武器と金を置く」

「クールキャット」

「クールが置くなら仕方ないか」

「私も従う」

 雷鳴のリーダーのクールキャットが最初に自分の足もとに置いた。

 判断が早いのはリーダーらしい。

 リーダーが置いたのを見て、メンバーのタップアウト、リルキス、オレンジフィズ、レッドペルーシュも置いた。

 タップアウトは最後に置いたが、悔しそうにしている。

 残りは俺達の行動だ。

 雷鳴と同じ行動を取るかどうかだ。

「トレイル、置くしかないか」

「置くしかないぴょん」

 打つ手がなくて、パピアナとミヤマも反撃する意志は感じない。

「置くとしよう、女性が大事だ」

「……」

 みんなは頷く。

 反論されなくて良かった。

 パピアナあたりは反論するかと思ってたから。

 最初に俺が足もとに剣を置後としたら、

「待ってトレイル!」

 後方からの声。

 この声はドルニアだよな。

 なぜドルニアが止める。

 剣を置かずに、ドルニアの方に体を向けた。

「あの女性は竜人族じゃないから、置く必要ない!」

「なんだって?」

「そうなはずない、尻尾も生えてるし、見た目は竜人の女性だわよ」

「最初は竜人の女性かと思った。尻尾もあるし。よく見ると違うのを発見した。竜人族は人族と比べても指が長いんだ。ほらっ指を見て」

 ドルニアが自分の手の指を出してみせたところ、俺の目にも長く見える。

 確かに観察すると、俺の指よりも長いな。

「本当だ、長い」

「あの女性は盗賊の指と同じ長さだわ。変よね」

「そうなるとあの女性は変装しているてことか?」

「まさか」

 そしてナイフを当てられた女性の指を拝見したところ、指摘したように短いし、人族っぽいな。
 ドルニアの指摘から考えると、あの女性は人族となる。

 なぜ人族が血を流すのかな。

「指を隠せ」

 盗賊に言われて指を隠した瞬間を見た。

「あっ、指を隠した!」

「どうやら、その女性は盗賊の仲間かな」

 今のやり取りからして仲間っぽいよな。

「ぬぬぬ、アンシェル、下がれ」

「はい下がります」

 アンシェルと言われた後にナイフは下げれれる。

「やっぱり仲間だった。ドルニアの言ったとおりだ」

「みんな武器を拾って。偽物の竜人でした」

「やられたな。さすがに盗賊てことか」

「騙されたわ。でもこれで不安はなくなったわね」

 雷鳴のタップアウトも剣を拾い上げると、反撃体勢に。

 逆に盗賊側は追い込まれる形になった。

 どうやら女性は仲間であり、竜人の女性の振りをしていたわけだ。

 尻尾は取り付けたものらしい。

 ドルニアにしか見分けはつかない視点だったのはありがたい。

「みんな、武器を置かなくていい。盗賊は痛い思いをしないとわからないらしい。回復しておくから盗賊を徹底的にやってやろう。魔王竜ヒール」


体力を1910回復しました。
経験値を1910獲得しました。
 
レベルが3993にアップしました。
レベルが3994にアップしました。
レベルが3995にアップしました。
レベルが3996にアップしました。



レベルが4012にアップしました。
レベルが4013にアップしました。
レベルが4014にアップしました。


スキル、見破りを覚えました。



 
 疲労していたミヤマやパピアナだけでなく、雷鳴の仲間にもヒールをした。

 いっぺんにヒールしたので回復経験値も大きく、レベルアップした。

 戦いの最中に強くなれるのは俺の得意分野だ。

 傷までも回復したのでリルキスから、

「おお、完全に回復している。トレイルのヒールは役に立つな」

「ありがとよトレイル」

 棒で殴られたトリプルアクセルから言われる。

 俺も少し笑顔をみせておくと、盗賊は不気味に感じたらしい。

 明らかに後ろに下がり出したのが見えたからだ。

「おいおい、ちょっと見たか今の。冒険者の全員が一度に回復したように見えるぞ」

「傷が回復している。あいつらみんな回復してやがる。あり得ないことに」

「どうなっている。ヒールで全員に回復させられるわけないよな。あのトレイルとか回復術士はまさか上級のそれよりも上の回復術士なのかよ!」

「嘘だろ。嘘だろ。そんな回復術士が居るなら早く言えよな」

 魔王竜ヒールを本質を知ったらしく、慌てる様子の盗賊。

 怖がる様子の者もいるな。

 ミリタリーローはリーダーらしく下がったりしないのは褒めてやりたいが。

 しかしこれで形勢は逆転したのは確かだ。

 追い込んでいた盗賊は逆に追い込まれるはめになる。

 自分たちの失態を後悔させてやろう。
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