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『ヒール125』

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『ヒール125』


勇者パーティー編


「アンデッドオークが今回のクエストの原因だな」
「サリオス教えて下さい。どういう意味でしょう。僕は名前は聞いてましたが、悪い評判で聞いてます」
「教えてやろう雑用係君。アンデッドオークはアンデッド化したオーク。誰かがオークを倒したのだろう。普通はそのままだ。だがごくまれに死体がアンデッド化してしまうことがある。偶然にも近くにアンデッド魔物かいたりすると影響を受ける。恐らくはあのオークもそうだろう。そして倒してきたアンデッド魔物は全部オークの影響でアンデッド化したものだ。異常な数のアンデッドの原因はオークだ」
「オークが原因」

 サリオスの説明に納得するも、余計に震えてきた。

「そしてランクも上がる。オークのランクよりも一つ二つ上がると言われる」
「恐ろしく強いな。僕らでは勝てない」
「下がりなさい雑用係。死ぬだけよ」

 ジェンティルが雑用係に言ったのは、何も親切心で言ったのでなく、死なれたら雑用係がいなくなり不便だから。
 あくまでも自分の損得だった。

「勝てるのですかあの化け物に?」
「勝てるかって私に対して失礼な言葉よ」

 雑用係が何気なく言った言葉に、ジェンティルが厳しい目を送った。

「す、すみません」
「いいのよ、雑用係じゃなかったら、凍っているところよ」
「はい」

 雑用係の2人はこの時になって森の王にいるのを実感した。
 希少なAランクよりも希少なSランク。
 そのSランクにいるわけで、雑用係の重大な重さを感じる。
 もしジェンティルの機嫌を損ねたら大変なことになるなと直感した。
 たった3人の雑用係と言ったら簡単に思えたが、一度の失敗も許されない厳しさ。
 アンデッドオークなど比較にならない恐怖心を感じる。



アンデッドオーク
レベル99
体力3100
魔力100




 ジェンティルが魔法を錬る。
 アンデッドオークに対して魔法でいく構え。
 ジェンティルとアンデッドオークの一騎打ちの形になった。

「永遠の表土に覆われよ、氷の月」

 ジェンティルがアンデッドオークに氷属性魔法を使用した。
 彼女の手からほとばしる冷気。
 森一帯が瞬間的に氷つく。
 周りにいたアンデッド魔物は一瞬で凍ったまま動けない。
 アンデッド魔物は自分が凍っていることに気づく前に凍らされていた。

「なにこれ! 一瞬で森が氷の森になった!」
「どんな魔法を使ったらこうなるんだ!」

 あまりの魔法の強さに雑用係は圧倒される。
 ジェンティルから前方と後ろで全く逆の景色に変わったからだ。
 後ろは何も変化はなく、前は氷山が現れたように凍っている。
 いくら魔法でもここまで出来るものなのかと自分の目を疑ってしまう。
 しかしジェンティルに笑顔はなくて、いつでも魔法を打てる体勢である。

「来るかオーク」

 周囲のアンデッドは完全に氷付けされたがアンデッドオークも動けなくなっていた。

 オオオオオオ!
 オークの叫び声。
 まだ完全に氷付けになったわけではなかったのをジェンティルは読んでいた。
 オークは自分の足を叩き出す。
 ガンガンと叩く。
 氷の足になった部分を叩いた。
 雑用係は遠目に見ていたところ、いったい何をオークはしだすのかと思う。
 余りにも凍って狂ったのかと思った時に、足の氷が壊れる。
 壊れた氷から足が見えると、足を前に動かす。

「あっ、オークの足はまだ凍ってなかったんだ!」

「ふふ、オークのくせにやるな」
「ジェンティル、大丈夫かよ、俺も手伝うぞ」
「要らない。邪魔だ」

「そうかい。勝手にしろ」

 オークが強いのでいつでも戦える準備をしておくも、ジェンティルが強気なので一歩引いた。
 アンデッドオークが凍った足を叩いて、元の足に戻したら、再び前進しだす。
 氷の地面を砕きつつ前進。
 ジェンティルに迫る。
 そしてオークが手を地面に落とした。
 叩いたことで氷の地面が破裂した。
 破裂舌氷の破片が飛び散る。
 ジェンティルやのいる方向にも飛んできていた。
 人よりも大きな鋭い破片。
 刺さったら人を突き抜ける速さだった。
 
「氷の壁」

 オークの攻撃にジェンティルは慌てていない。
 魔法で防御壁を作ることで冷静に対応する。
 氷の壁はジェンティルだけでなく後方にいるサリオス達の防御にもなる。
 壁に突き刺さる破片。
 壁とともに破片も散った。
 ジェンティルの魔法壁がなければ、破片でのダメージは必死だった。

「さすが大魔道士!」
「簡単に防御した!」

 死ぬかと思ったのは雑用係。
 まるでレベルの違う戦いに、見ているしかなかった。
 サリオスはこの程度は予想済み。
 ジェンティルの能力なら問題なしとして防御はしていなかった。
 アンデッドオークは攻撃を防がれたことで、ヒートアップする。 
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