上 下
69 / 232

『ヒール57』

しおりを挟む
『ヒール57』



 召喚されたドラゴンに大苦戦中。
 全員で戦っても勝ち目が見えないのが辛い。
 大丈夫か。
 
「ミュートエアー、魔物の召喚時間て、どのくらいなの?」
「先程の魔物はまだいたわね。とても持たこたえられない。時間が来る前にみんな死んでしまう。失敗だったか」
「心配しなくていい。こっちにはトレイルがいます。トレイルがいて、何度も危機を抜けてきました。今回もトレイルが何とかしてくれます」
「本当かいトレイル?」
「ローズ、あまり俺を過信しちゃうまずい。ドラゴンは強いからな。でも俺には魔王竜ヒールがある」

 逆にこれしかない俺には。

「やばい、ケガ人続出、トレイル!」
「ミュートエアー、危ないです逃げて!」
「ううっ!」

 ミュートエアーまでも炎を食らった。
 同じくオレンジフィズも焼かれていた。

「ヒールするか、魔王竜ヒール」

 ケガ人のミュートエアーやオレンジフィズにヒールする。
 踏まれたクールキャットにも忘れない。



体力を1110回復しました。
経験値を1110獲得しました。
 
レベルが577にアップしました。
レベルが578にアップしました。
レベルが579にアップしました。
レベルが580にアップしました。
レベルが581にアップしました。
レベルが582にアップしました。
レベルが583にアップしました。
レベルが584にアップしました。
レベルが585にアップしました。
レベルが586にアップしました。



レベルが602にアップしました。
レベルが603にアップしました。
レベルが604にアップしました。

スキル、止血を覚えました。



「おお、回復ありがとうトレイル!」
「助かるな。複数人にヒールをしたし、しかも体力が完全に回復している。上級回復術士だトレイルは」

 俺へ熱い感謝の言葉。
 嬉しくなるが、今はそんな余裕ないな。
 ヒールしていてもドラゴンは倒せないし。

「また回復術士か邪魔だなオマエ。オマエから抹殺してやろう。ドラゴン、トレイルとか言う奴から殺すの命令する!」
「まずい、ドラゴンがトレイルに照準を合わせたよ」
「ドラゴンが召喚時間だ消えるのがまだなら、先にシャークウォーニンを倒すしかないかな」
「倒せるのか。ドラゴンの後方にいるし、ドラゴンが防御するし、召喚士には攻撃は難しい」
「ローズでも近寄れないかな?」
「無理っぽい。私の速度やりもドラゴンの速度がある。ドラゴンは意外と速いのよ」

 シャークウォーニンに直接に攻撃しないと難しい。
 ここは何とか時間稼ぎするか。

「ふふふ、ドラゴンには勝てないさ。死ね!」

 何度もファイアドラゴンの炎をくらい、俺もダメージを受ける。
 ただ俺の場合はレベルが604にもなっているからか、防御力も上がっているようだ。
 ミヤマもかなり体力消耗していた。

「あはははは、私の館に攻め入るとはバカな連中だ。この町の領主である私に逆らうとどうなるのか、死ぬしかないのだ」
「この声は領主ライゴッド」

 館の二階から現れたのはライゴッドだった。

「見て、二階のベランダからこちらを下に見下ろしている。笑っています」
「二階に居たのか領主。もう不正は止めて、町のために尽くせ!」
「アホか。私がしたいようにして何が悪い。私が町の支配者なのだ。町の人間は全員が私のために生きるべきなのだ。世界は金で動いている。冒険者だって金で動くのさ。バーニングは雇ったが、雇い損だ。役立たずのパーティーだった。しかしシャークウォーニンは違う。バーニングの風の陣とはランクが違う。あの有名な殺し屋さ。誰にでも雇える男ではない。選ばれた私だからこそ雇えたのだ。もちろん契約した金も多額になる」
「金で全てが動くなんて間違いだ。もっと大事なこともある」
「なんだいそれは。金よりも大事なものとは、教えてくれよトレイル?」
「俺は以前は別のパーティーに所属していた。金で雇われて何でもした。結果は裏切られてお払い箱になった。新しく今の竜の守りパーティーを設立した。そこでローズ、パピアナ、ミヤマと仲間が出来た。以前にはなかった、大切な仲間を得た。金ではみんなは買えない」

 俺は領主の考えに対して意見を述べた。
 感じたままの意見を。
 森の王と比較したままを。
 
「あはははは、仲間か。笑える。これは傑作だトレイル。冒険者はみんな金で動くもの。騎士団だってそうだ。私を捕まえることはない」
「いいえ、騎士団はあなたの物ではない。私は騎士団に所属するミュートエアー。騎士団を好きにするのはいい加減にして。許さないです」
「騎士団までもいるのか。それでは面倒だな。シャークウォーニンよ、あの騎士団の女のミュートエアーは必ず殺せ。生かしておくと厄介だ。残りも殺していい。しかし猫人のローズは生かしておけ。館に住まわせる」
「はい、領主。そのとおりに始末します」

 領主の命令に頷くシャークウォーニン。
 まるで俺の意見など無視していた。
 むしろ笑っていたくらいだ。
 嫌な感じする男だった。

「騎士団をこの手に戻します」
「ミュートエアーの気持ちはわかる。この領主は最低な領主。町の人は不幸ですわ。トレイルと出会い、パーティーに所属したのは金ではなくてよ。エルフの心をバカにする発言だ」
「エルフの生意気な女も悪くないかもな。館に入れて私の命令に従わせる奴隷もな、あはははは」
「なんて無礼な奴だ。神聖なエルフを奴隷にしたいとは、許せません」

 パピアナは俺への想いを言ってくれて嬉しくなった。
 余計に領主に対して怒りがわいてきた。
 パピアナを侮辱したからだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【後日談完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長していった。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、そして・・・。 初投稿というか、初作品というか、まともな初執筆品です。 今までこういうものをまともに書いたこともなかったのでいろいろと変なところがあるかもしれませんがご了承ください。 誤字脱字等あれば連絡をお願いします。 感想やレビューをいただけるととてもうれしいです。書くときの参考にさせていただきます。 おもしろかっただけでも励みになります。 2021/6/27 無事に完結しました。 2021/9/10 後日談の追加開始 2022/2/18 後日談完結

もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。
BL
公爵家の3男として生まれた俺は、家族からうとまれていた。 母が俺を産んだせいで命を落としたからだそうだ。 俺は生まれつき魔力が多い。 魔力が多い子供を産むのは命がけだという。 父も兄弟も、お腹の子を諦めるよう母を説得したらしい。 それでも母は俺を庇った。 そして…母の命と引き換えに俺が生まれた、というわけである。 こうして生を受けた俺を待っていたのは、家族からの精神的な虐待だった。 父親からは居ないものとして扱われ、兄たちには敵意を向けられ…。 最低限の食事や世話のみで、物置のような部屋に放置されていたのである。 後に、ある人物の悪意の介在せいだったと分かったのだが。その時の俺には分からなかった。 1人ぼっちの部屋には、時折兄弟が来た。 「お母様を返してよ」 言葉の中身はよくわからなかったが、自分に向けられる敵意と憎しみは感じた。 ただ悲しかった。辛かった。 だれでもいいから、 暖かな目で、優しい声で俺に話しかけて欲しい。 ただそれだけを願って毎日を過ごした。 物ごごろがつき1人で歩けるようになると、俺はひとりで部屋から出て 屋敷の中をうろついた。 だれか俺に優しくしてくれる人がいるかもしれないと思ったのだ。 召使やらに話しかけてみたが、みな俺をいないものとして扱った。 それでも、みんなの会話を聞いたりやりとりを見たりして、俺は言葉を覚えた。 そして遂に自分のおかれた厳しい状況を…理解してしまったのである。 母の元侍女だという女の人が、教えてくれたのだ。 俺は「いらない子」なのだと。 (ぼくはかあさまをころしてうまれたんだ。 だから、みんなぼくのことがきらいなんだ。 だから、みんなぼくのことをにくんでいるんだ。 ぼくは「いらないこ」だった。 ぼくがあいされることはないんだ。) わずかに縋っていた希望が打ち砕かれ、絶望しサフィ心は砕けはじめた。 そしてそんなサフィを救うため、前世の俺「須藤卓也」の記憶が蘇ったのである。 「いやいや、俺が悪いんじゃなくね?」 公爵や兄たちが後悔した時にはもう遅い。 俺は今の家族を捨て、新たな家族と仲間を選んだのだ。 ★注意★ ご都合主義です。基本的にチート溺愛です。ざまぁは軽め。みんな主人公は激甘です。みんな幸せになります。 ひたすら主人公かわいいです。 苦手な方はそっ閉じを! 憎まれ3男の無双! 初投稿です。細かな矛盾などはお許しを… 感想など、コメント頂ければ作者モチベが上がりますw

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

『親友』との時間を優先する婚約者に別れを告げたら

黒木メイ
恋愛
筆頭聖女の私にはルカという婚約者がいる。教会に入る際、ルカとは聖女の契りを交わした。会えない間、互いの不貞を疑う必要がないようにと。 最初は順調だった。燃えるような恋ではなかったけれど、少しずつ心の距離を縮めていけたように思う。 けれど、ルカは高等部に上がり、変わってしまった。その背景には二人の男女がいた。マルコとジュリア。ルカにとって初めてできた『親友』だ。身分も性別も超えた仲。『親友』が教えてくれる全てのものがルカには新鮮に映った。広がる世界。まるで生まれ変わった気分だった。けれど、同時に終わりがあることも理解していた。だからこそ、ルカは学生の間だけでも『親友』との時間を優先したいとステファニアに願い出た。馬鹿正直に。 そんなルカの願いに対して私はダメだとは言えなかった。ルカの気持ちもわかるような気がしたし、自分が心の狭い人間だとは思いたくなかったから。一ヶ月に一度あった逢瀬は数ヶ月に一度に減り、半年に一度になり、とうとう一年に一度まで減った。ようやく会えたとしてもルカの話題は『親友』のことばかり。さすがに堪えた。ルカにとって自分がどういう存在なのか痛いくらいにわかったから。 極めつけはルカと親友カップルの歪な三角関係についての噂。信じたくはないが、間違っているとも思えなかった。もう、半ば受け入れていた。ルカの心はもう自分にはないと。 それでも婚約解消に至らなかったのは、聖女の契りが継続していたから。 辛うじて繋がっていた絆。その絆は聖女の任期終了まで後数ヶ月というところで切れた。婚約はルカの有責で破棄。もう関わることはないだろう。そう思っていたのに、何故かルカは今更になって執着してくる。いったいどういうつもりなの? 戸惑いつつも情を捨てきれないステファニア。プライドは捨てて追い縋ろうとするルカ。さて、二人の未来はどうなる? ※曖昧設定。 ※別サイトにも掲載。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

追い出された妹の幸せ

瀬織董李
恋愛
『聖女の再来』といわれる姉の影で虐げられてきた妹のエルヴィ。 少しでも家の為にとポーション作りに励んできたが、ある時ついに父から『姉が結婚するで出ていけ』と言われてしまう。 追い出された妹の幸せは何処にあるのか。 7/26 姉のスキルに関する記述を変更しました。ストーリーに変化はありません。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

処理中です...