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『ヒール43』

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『ヒール43』

 俺は森の王から追放されてこの町に来たのは、数日前のこと。
 たった数日で俺の人生に変化があったのは予想もしてなかった。
 新たな仲間ができたのは嬉しい。


トレイル
回復術士
18歳


ローズ
猫人族
15歳


パピアナ
エルフ族
15歳


ミヤマ
ドワーフ族
16歳


アリストテレス
ドワーフ族
鍛冶士


 これからも仲間が増えるかわからないが、出会いは大切にしたいな。


 ギルドでは俺たちの評判がまた上がったらしい。
 どこかでサリオスが噂を聞いているのは承知している。

「サリオスの話だったから、文句を言ってやったの。気持ちいい」
「おいおい、あまり言うとサリオスの耳に入る」
「その時は直接文句を言ったらいい。猫扱いしてくるジェンティルにも言ってやるわ」

 ローズはジェンティルにも根に持っているらしく、爪を研いでいるのは怖い。

「おい、そこの猫人。こちらを向け」

 俺達は町を歩いていた時に知らない人に声をかけられた。
 猫人てローズのことか?

「私のことかしら……」

 ローズは振り向いて答える。

「お前だ。お前に言った猫人」
「どなたですか、それにお前て何?」

 ローズに失礼な勢いで言ってるのは変だな。
 偉そうな言い方は気になるし、見た目は60近い年輩の男だ。

「そうよ、ローズに失礼だ。あなたこそ誰なのか言いなさい!」
「黙れ、エルフ。このお方が誰なのか知って言ったのか!」

 偉そうな男の周囲にいる男が割ってパピアナに怒鳴りつける。

「知らないから言った。そちらから名のりなさい!」

 負けじと言い返したが当然だ。
 俺でも言い返しただろう。

「無礼者、私は商人のハルキストン。このお方は町の領主であるライゴッド様。領主様に謝れエルフ娘」
「領主……」

 怒鳴ったのはハルキストンと言う商人だった。
 商人らしい服装をしている。
 いかにも金持ちそうな派手。
 領主の言葉にパピアナは今度は言い返さずに黙った。
 領主てことは町で1番偉い人。
 パピアナは理解している。

「領主がなぜここに……そして私を……」

 領主のことはローズは知らない人らしい。
 しかしなぜローズに声をかけたのかだ。

「ふふふ……いい猫人だ。まだ若いし、館に置くのに申し分ない」
「館に置く?」
「そうだ、ローズとか言ったな。ローズは今日から私の館に住みなさい。私は猫人を飼うのが趣味だ。もちろん食事とベッドはある」

 なんとライゴッド領主はローズを一緒に住まわせる気だ。

「はあっ! 私をあなたの館に住まわせるって!」
「そうだ」

 ライゴッドははっきりと言ったが、はっきりと言うことか。

「俺はトレイルと言います。ローズは竜の守りパーティーの仲間です。いくら領主といえ無理な話です」

 俺はさすがに受け入れられないので、領主に返事した。

「トレイル、ライゴッド様が住まわせると言ったのだ、断るのはは失礼だし、一緒に住むのはむしろ猫人には光栄だと思え!」

 領主の護衛なのか俺にも攻撃的に来るのは嫌味に感じる。

「おい、騎士団よ、猫人を捕らえろ!」
「はいっ!」
「騎士団? なぜ騎士団が!」
「トレイル、どうするの、兵士が出てきて、戦う気だ」
「ローズは渡せないよな。戦うしかない」
「そう答えると信じた。ハンマーで騎士団を叩いてやろう。トロールハンマー!」

 騎士団兵士が10人は集まり、ミヤマと対面し、ハンマーと剣で応戦が始まる。

「このドワーフはハンマーを使うぞ!」

 トロールハンマーが兵士の盾を砕く。

「こっちもいるわよ、ホーリーサークル!」

 パピアナも魔法を繰り出して騎士団を迎え撃つ。

「ぬぬ、エルフは魔法を!」
「エルフを舐めたら痛い目にあうのよ」
「騎士団と戦うのが何を意味するかわかっているのか。領主様に反抗したことになるのだぞ!」
「反抗だとしてもローズは守る!」

 俺は剣で兵士を切る。
 切るとはいえ、魔物ではないから、致命傷にはならない程度の傷を負わせる。
 二人目を切る。
 三人目の剣を受けて、返し切り。
 四人目は盾の間から切る。
 五人目は剣を跳ね返して切る。

「何! 兵士を軽々と切るとは!」
「こいつら強い。そこらの低ランクパーティーではありません!」
「トレイル、ありがとう守ってくれて」
「ローズを守るのは当然さ。俺が守る」
「嬉しい」

 ローズを俺の背中に隠して守ると、ローズが不安を少し和らいだみたいだ。

「ハルキストン、兵士を引け。こいつらはやり手の冒険者だった。しかし猫人はあきらめない……」
「はい、ライゴッド様」

 商人が命令して兵士が引いて、領主ライゴッドと商人ハルキストンは去った。
 ローズはあきらめないと言い残したのは気になるが。

「ローズ、もう大丈夫。領主は去った」
「ありがとうみんな!」
「あの領主はどうやら猫人が好きな趣味があるようよ。ローズを家に住まわせると言ったし、他にも猫人を住まわせたいるとも。私の体も狙われる可能性もある。きっと狙うに決まっている」
「大丈夫だミヤマ。キミの体は狙っていないと思う」
「なぜ言い切れる。領主の館に私を連れていき体を奪う気だ。なんてエロい領主だ。エロ領主」
「エロいのはミヤマだよ」

 ミヤマも心配しだしたが、多分大丈夫だろう
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