私の愛する夫たちへ

エトカ

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第一部

三人で迎える夜

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 「だからって、どうしてこうなるんですか」


 結婚して早々、案内された部屋を見て度肝を抜かれた。“三人の部屋”と称する部屋はとても広く、中央には存在感のある大きなベッドがドンと置かれていた。

 アルマロスとは両思いなので部屋を共有するのは理解できる。だが、なぜレラージェまで同じ部屋なのか。お互いの都合上、婚約することになったが、決して心を交わせたわけではない。


 「僕とも結婚したんだから、同じ部屋なのは当然だよ。大丈夫、マキが許してくれるまで手は出さないから」


 そう言われてしまうと、彼だけ別室にするわけにはいかなくなってしまう。もうここまで来たら腹をくくるしかない。真希は仕方なく承諾した。







 その日の夜、湯浴みを済ませた真希は、用意されていたいつもより露出の多いネグリジェを身にまとって寝室に向かった。部屋に入ると既にアルマロスとレラージェがいて、笑顔で真希を出迎えた。彼らも湯浴みを済ませたばかりなのだろう、まだ髪が湿っていて、その姿がやけに色っぽい。


 「こっちにおいで、マキ。ワインを用意したんだ。一緒に飲まないか?」


 アルマロスに勧められてグラスを受け取り一口口に含んだ。すると、甘口の赤ワインから、芳醇な香りが鼻腔をくすぐった。

 アルマロスは長椅子に腰掛けた真希の隣に座り、優しい眼差しで見つめた。そして流れるような動きで真希の頬に触れると、そっと黒髪を耳にかける。艶めいた仕草にぼうっとしているうちに、彼の顔が近づいてきてしっとりと唇が重ねられた。


 「んっ……」


 大きな手が、真希の後頭部に回ってクイっと上向かせる。それによって開いた口に、肉厚な彼の舌が侵入して来た。


 「……ん、アル……ッ」


 アルマロスは、今にも落としそうなグラスを真希の手から取りあげてテーブルに置くと、腕を腰に回して華奢な身体を抱き寄せた。

 深まる口づけに、頭がクラクラした。互いの舌を絡めながら、クチュクチュと音を立てて唾液を交換する。耳に響く淫猥な音に、子宮がキュンとして秘所が濡れるのを感じた。


 「アルッ……は、はずかしぃ」


 唇が離れると、飲み切れなかった唾液が真希の口横から流れた。アルマロスはそれをべろりと舐めとって、熱のこもった目で真希を見た。


 「何も恥ずかしがる事はない。俺たちは結婚したんだから、こうして愛し合うのは当然だ」

 「で、でもレラージェが見て……っ」


 向かいのソファに座っている人物をチラリと見れば、彼はグラスを傾けながら二人の行為を眺めていた。

 確かに彼とも結婚したけれど、それはお互いの利益が一致したからだ。それに、見られながらセックスするなどという特殊な性癖を真希は持ち合わせていない。 


 「大丈夫、マキがしたいって思うまで何もしないよ」


 レラージェが、苦笑しながらそう告げた。だが、彼は一向に部屋から出て行こうとはしなかった。手は出さずとも見はするという事だろうか。

 混乱しているうちに、真希はアルマロスに抱き上げられてベッドまで運ばれていた。そっと横たえられ、乗り上げて来たアルマロスが噛み付くような口づけを仕掛けてきた。

 ゴツゴツした無骨な指が背中に回って、スルリと紐を解いてネグリジェを脱がしていく。真希を自分の下に組み敷いて、体重をかけずに抱き締めながらゆっくりと、穏やかに、安心させるように動作をすすめる。


 「……綺麗だ」


 真希の一糸まとわぬ姿に、アルマロスは感慨かんがいを込めて囁いた。彼の手が、真希の大きくも小さくもない胸をねるように揉みしだく。そして親指と人差し指で先端を摘まむと、甲高い声が部屋に響いた。


 「ああ、なんて綺麗なんだ」


 重ねて言われて何だか切なくなる。パクリと乳首を食まれ、舌の先で転がされて吸われる。

 いじられていくうちに、ジンジンとした痺れが全身に広がった。彼の手が身体中を丁寧に、時間をかけて触れていく。そういうふうにされると、微かな刺激にも敏感に反応してしまう。

 ちゅぽっと乳首から離れた口が、今度は滑らかな肌を這うようにして下へとおりていく。やがて臍の窪みに到達すると、尖らせた舌でくすぐるようにチロチロと優しく刺激した。

 真希がそれに気を取られているうちに、アルマロスは膝下をグイッと持ち上げて脚を大きく開かせた。


 「や……っ!」


 咄嗟に閉じようとしたが、彼の手でガッチリと押さえつけられて動けなかった。あまりの恥ずかしさに、真希は両手で顔を覆って表情を隠す。すると頭上から伸びて来た手が、そっと真希の腕をどかせた。ハッとして目を開ければ、いつの間にか移動して来ていたレラージェが目と鼻の先にいた。


 「約束したばかりなのにごめん。でも可愛すぎるマキが悪いんだよ」


 真希は一瞬、なんだそれは! と思ったが、アルマロスの舌にベロリと陰部を舐め上げられ、それどころではなくなってしまった。そのまま外陰部を両の親指でグイッと広げたアルマロスは、露わになったクリトリスを舌先でチロチロと弄んだ。そうしながら、指を膣内にゆっくりと挿し込んでいく。


 「ひゃっ、あ、あ……やっ」


 舌と指で攻められ、甘ったるい嬌声が真希の口からひっきりなしに出た。沈み込んだ指がじっくりと隘路をほぐしていく。やがて二本に増やされた指が、グッと奥まで押し込まれ小刻みに揺らされる。その振動が中と外の両方に伝わって、真希はすぐにイってしまった。

 まだ下りてこられないでいる真希をよそに、レラージェの手がツンと尖った乳首をグリグリと押し潰した。その刺激に首をのけ反らせると、頭上から彼の唇が降ってきた。アッと思った時には既に遅く、真希はレラージェの口づけを迎え入れてしまっていた。


 「んっ……!」


 二人の男から絶え間なく与えられる快感に押し上げられ、真希はガクガクと痙攣させながら再び絶頂へと押し上げられた。


  「ふやけた顔しちゃって、かわいい」


 上気した顔で息を弾ませる真希に、唇を離したレラージェが笑みを浮かべた。一方、執拗に弄んだ秘部から顔を上げたアルマロスは、濡れた唇を親指で拭うと膝裏を持ち上げて左右に大きく開いた。そうして、愛液でトロトロの中心部に、いきり立った自身を擦り付けて蜜をまとわせた。


 「マキ、愛してる」


 アルマロスはそう囁くと、ぬかるみの中にズブズブと剛直を沈めていった。


 「んっ、んぅ……」


 ヌチュッと水音を鳴らしながら、少しずつ挿入が深まっていく。お腹の中を硬くて太いモノで開かれる感覚に、真希は息を詰めた。

長いこと恋愛ごとから遠ざかっていたため、数年ぶりの行為に身体がこわばる。すると、しなやかな手が真希の頭を優しく撫でた。


 「大丈夫、力を抜いてごらん」


 顔を上げれば、目元を赤く染めた熱っぽい表情のレラージェと目が合った。アルマロスとの行為を見られていると思うと、恥ずかしいのになぜかとても興奮した。


 「あっ、……ぁあ、……ぁっ」


 高揚感から緊張が解けると、ヌプリと潜り込んできたものに柔壁が吸いつき奥へと引き込もうとした。

 アルマロスを見上げれば、汗を滴らせながら眉間に皺を寄せて何かに耐えているようだった。真希は彼の首筋に腕をまわし、目が合うとフニャと笑顔を見せた。すると逞しい上半身が下りて来て重なり、噛み付くような口づけをされた。

 やがて根元まで埋め込まれると、すぐさま抽送が始まった。小刻みに奥を穿たれる度に、真希の口からは甘い悲鳴が漏れ出た。


 「あん、はぁっ、あぁ……!」

 「クッ、……マキ、すまない……腰が止まらないっ」


 抽送がだんだんと激しさを増していき、うねる内奥に亀頭がめり込む。熱く野太い快感に、真希は極限まで押し上げられた。


 「んっ、あっ、あっ、あぁ、……アル、アルッ」

 「あぁ、マキ、……愛してる!!」


 息も出来ないほどきつく抱きしめられ、ガツガツと繰り返し打ち込まれた。真希の熟れた密路を抉り、引き返しては再び深く貫いてくる。凄まじい快感に、真希はビクビクと痙攣しながら昇り詰めた。

 ほぼ同時に、彼も唸り声を上げて達すると、大量の白濁を真希の中に吐き出した。

 荒い呼吸を繰り返しながら、漸く快感の波からゆっくりと下りて来た二人はしばらく見つめ合うと、どちらからともなく唇を重ねた。


 「……すまない、もっとマキをよろこばせたかったのに我慢できなかった」


 アルマロスは、申し訳なさそうに眉を下げて謝った。


 「そんなことない、すごく気持ちよかった……アル、大好き」


 ふふっと笑い合いながら、リップ音を鳴らして軽く口付けた。アルマロスは身体を起こすと、まだガチガチになったままのモノをゆっくりと中から抜いた。

 先ほどまで夢中だったので気づかなかったが、彼は騎士団長というだけあって逞しい身体付きをしていた。厚みのある胸筋には色の薄い乳首があり、その下に続く腹筋は六つの隆起が美しい造形を造り上げている。

 そんな彼に見惚れていると、アルマロスは湿らせた布で真希の身体を丁寧に拭いく。心地の良さに、真希の心は多幸感に満たされた。


 「素敵だったよ、マキ」


 頭上から、レラージェの声がした。とろんとした目で見上げると、そこには美しい顔の男が愛おしげに真希を見つめていた。


 「可愛い可愛いマキ、いつか僕の愛も受け入れてね」


 疲れてしまって微睡んでいると、遠くの方からレラージェの声が聞こえたような気がした。


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