いらないならくれ

ぼくは

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第五話

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 「ふぅ、この辺で休憩しましょっか!」

 少し進んだ先の平原で休むことになった。平原の中心部に木がポツンとあり木陰も程よくできている。

 風が心地いい、、それにしてもここの世界は季節はあるのだろうか?ああ、四季は日本特有だっけか?

 リードはふと湧いた疑問を心の中で投げかけてみるがもちろん反応など返ってくるわけもない。それに他人に質問した所でわかるはずもない。ただ壁打ちをしているだけである。

 「涼しいわねぇ、、来てよかったね?」

 メリーはリードに同意を求めてくるのでリードはコクンと頷き返すと満足そうにまたどこかを眺めている。

 
 
あー!ほんとに来てよかったー!リードとレイラも楽しんでいるようだし、しっかり危険がないようにしなくちゃね。

 ん?とメリーはふと気になった。レイラがじっと花を見つめてそわそわしているのだ。
 あんなに花を見つめてどうしたんだろう、、 あ、もしかして取りに行きたい、、とか?

 「レイラちゃーん?お花、、私と一緒に取る?」

 私がそう言うとレイラはとても嬉しそうに

 「うん!!とる!   でもね、、ちょっと、、、」

 ん?と、メリーは疑問に思いながらもレイラに近寄り、耳に手を当てる。

 「ごにょごにょ」

 あ~、なるほどなるほど。おっと、たいへんたいへん、微笑みが止まらないんですけど。

 メリーはなんとかして微笑みを隠す。

 「リード~?私、レイラちゃんと一緒にお花を摘みに行ってくるから少し待っていてくれる?」

 リードはまたコクンと頷き

 「わかった。」

 な~んかリードって少し落ち着きがあるわよね、、とメリーは思いつつも気にせず取りに行くことにした。

 
 リードは1人になった。40メートル程離れた所の花が群生している所で何かしている2人がいるとはいえ、1人になる機会などこれまでにあまりなかったのだ。教会や外でもレイラやメリー、シナリマのどちらかとは一緒だ。

 最初は結構きついと思ったんだけどな、、むしろ居心地がいい。転生するよりマシ、って思うからか?赤ちゃんプレイでメンタルが強くなった?まぁないか、、

 リード、もとい修は元の世界では引きこもり気質で集団生活は苦手だった。耐えられないのだ。人を気にするあまり人の機微に触れてしまい、裏の感情まで読んでしまう。嫌でも情報として流し込まれる。
だがここに来てからというもの、そんなことはなかった。

 異世界の人が現代より社会構造が複雑じゃないからか?いや、ない。家族として認識しているからなのかな?それが近いか、、

 そんな考え事をしながらメリーとレイラのことをゆったりと眺めていた。そんな時メリーとレイラの奥の草むらが揺れていた。少し怪しんだものの、遅れて風がヒュゥーと音を立てて来たものだから、リードは風だと思いスルーした。 

 それから10分くらいしただろうか

 「「リード~!!」」

 2人がせーの、と息を合わせて僕を呼ぶ。
僕もそれに応える。

 「なーにー?」

 メリーが手招きをしながら

 「こっちに来てくれる~?」と叫んでいる。

 僕は何事か、と思いながらも「わかったー!」と返事をして2人のいる場所へと向かう。

 「あのね、、その、これ、お花・・・」

 レイラが何かを言おうとするのを聞いていた時、リードはレイラの後ろから自分の身の丈と同じ位の何かが突進してくるのを見た。

 「レイラ!!」

 イノシシ!?なんでここに??やばい、間に合わない。ごめんレイラ。

 僕はレイラを抱きしめ、突進してくるイノシシのようなものを避けるように横にダイブする。

 メリーとレイラの後ろ側から突進してきたため、メリーも遅れてだが状況を把握する。
イノシシは興奮状態なのか避けられて尚、こちらへと攻撃、突進をしてくるつもりだ。

 どうしたらいい??とてもじゃないが逃げられない、、どうすればどうすれば
 
 リードは命の危機に迫っていることを実感していた。イノシシは元の世界でも、人を殺してしまうため危険というのが田舎の常識であったし、興奮状態の時は攻撃性が高いため特に危険だ。懸命に思考するが今の自分では非力ということは嫌でも理解していた。
そんな時、メリーはリードとレイラを庇うように前に出て

 「2人は少し下がってなさい、早く!」

 リードは慌ててレイラの手を握り後ろへと下がる。
メリーは2人が後ろへ下がったことを確認しイノシシへと意識を向ける。

 「ほんっとよくもやってくれたわね!!」

 メリーはそうイノシシに怒りをぶつけ、手を広げてイノシシへと向ける。

 「邪魔をした罰は重いわよ!!火球ファイヤーボール!」

 リードは思わず声に出してしまう。

 「綺麗だ、、」

 メリーが放った火球ファイヤーボールはイノシシへと命中しピクリとも動かなくなった。その後メリーが2人ともこちらに来るよう指示を出し、周りを警戒していた。

 「とりあえずは大丈夫そうね、、」

 ふぅ~と一呼吸ついた後に2人を見て

 「リード、レイラちゃんを守ってくれてありがとうね。このこの~」

 そう言い僕にほっぺを押し付けてすりすりしてくる。

 うざい、、、そう思っていながらも
「大丈夫」とリードは言った。そしてメリーはレイラちゃんに聞く。

 「レイラちゃん、大丈夫?怪我はしていない?」

 うわぁ、あの時はあれしか選択肢がなかったからやってしまったけど大丈夫かな、と心配していると
 
 レイラが肩を震わせながら

 「大丈夫、、大丈夫だけど、、、お花が、」

 そう言い僕にくちゃくちゃにしおれたお花を見せてくる。たぶんダイブした時にそうなってしまったのだろう。
あ~、そういうことか。うーん、どうしたら、、

 少しの沈黙の後

 「これ、僕にくれるの?」と質問した。
 
 コクンとレイラは涙目になりながらも頷く。

 「え!ありがとう!レイラ!!大切にするよ!!!」
 
 そうリードは喜びながら言うとレイラは予想していなかった返しに驚き、少しの間きょとんとするものの、状況を飲み込めたのか太陽のような笑顔で頷く。

 「うん!!」

 その様子を見ていたメリーは満面の笑みでご満悦の様子。
 
 「じゃあ帰りましょっか!」

 メリーはそういうとついて来てねと言いながらイノシシのようなものをバックからだした縄で引っ張りながら帰っている。
 リードとレイラはメリーを後ろから応援しながら帰った。
 

 

 帰った後はそのしおれた花は教会に飾り、枯れるまで置いたのだった。



 

 
 











 
 

 
 

 

 
 

 

 

 
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