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その後 2
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「らあああ!!!」
「ひぐぅぅう!!」
私は力いっぱい、鞭を振るった。
すると、シントの背中に、思いっきり命中した。
……この鞭を振ることにも、だいぶ慣れてきたかもしれない。
ここはかつて、王宮の地下だった場所。
今は、王宮は取り壊されているので、裏口からしか、入ることができない。
そして、その裏口は、王宮で働いていた者しか、知らないが……。
皆、罰を恐れて、国を出て行った。
だから、この場所を知るのは、私と……。
「もう! もうやめでええ!!」
……かつて、私をいじめていた、メイド長の、シントだけだ。
シントは、いつの間にか、体が小さくなっていた。
おそらく……。
あの時、私を助けてくれた、魔法使いのおかげだろう。
いくら細身の私と言えど……。
こんな小さな子供に、負けるわけはない。
私は幸い、王宮でいじめを受けていたということで、民から同情を得ることができた。
だから、今もこうして、細々とではあるが、国に残り、生活している。
そんな私の、唯一の楽しみが、小さくなった、シントいじめだった。
私だけが知る、地下への入り口。
そこへ、シントを閉じ込めている。
シントの力では、裏口の扉を開けることはできない。
そんなシントは、なぜか食事を与えずとも、まったくやつれていかなかった。
死ぬ様子も、微塵も無い。
だから……。
良いストレス解消の、道具になってくれている。
「もう殴らないでぇ! 痛いよぉ!」
あのシントが……。
まるで、本当の子供のように、必死で許しを請うている。
私を鞭で叩き。
骨を何度も折り。
どれだけ泣いても、許してくれなかった。あのシントが。
気持ちいい……。
人を鞭で叩くのって、こんなに楽しいの?
今更になって、私を虐めていた、シントの気持ちが、わかるようになった。
「シント、痛いよね?」
「痛いですぅ!! いだあああ!!!」
シントの頬を、思いっきり抓った。
爪を立てると、血が出るが、すぐに傷が治ってしまうのが、とてもつまらない。
だけど……。
逆に言えば、一生遊べるということにもなる。
「今日はね? 熱した鉄を持ってきたよ?」
「い、いや……。それをど、どどどうするつもり?」
「当たり前じゃん。食べてもらうの」
「た、食べ……?」
「ほら。たくさんあるからね?」
逃げ出したシントが、転んでしまった。
そんな小さい体で……、無理に走ろうとするから、いけないんだ。
「さぁ。お腹いっぱいになるまで食べようね~。久しぶりの食事だよ~」
「いやああああああ!!!!!!」
ははっ。
楽しいなぁ。
「ひぐぅぅう!!」
私は力いっぱい、鞭を振るった。
すると、シントの背中に、思いっきり命中した。
……この鞭を振ることにも、だいぶ慣れてきたかもしれない。
ここはかつて、王宮の地下だった場所。
今は、王宮は取り壊されているので、裏口からしか、入ることができない。
そして、その裏口は、王宮で働いていた者しか、知らないが……。
皆、罰を恐れて、国を出て行った。
だから、この場所を知るのは、私と……。
「もう! もうやめでええ!!」
……かつて、私をいじめていた、メイド長の、シントだけだ。
シントは、いつの間にか、体が小さくなっていた。
おそらく……。
あの時、私を助けてくれた、魔法使いのおかげだろう。
いくら細身の私と言えど……。
こんな小さな子供に、負けるわけはない。
私は幸い、王宮でいじめを受けていたということで、民から同情を得ることができた。
だから、今もこうして、細々とではあるが、国に残り、生活している。
そんな私の、唯一の楽しみが、小さくなった、シントいじめだった。
私だけが知る、地下への入り口。
そこへ、シントを閉じ込めている。
シントの力では、裏口の扉を開けることはできない。
そんなシントは、なぜか食事を与えずとも、まったくやつれていかなかった。
死ぬ様子も、微塵も無い。
だから……。
良いストレス解消の、道具になってくれている。
「もう殴らないでぇ! 痛いよぉ!」
あのシントが……。
まるで、本当の子供のように、必死で許しを請うている。
私を鞭で叩き。
骨を何度も折り。
どれだけ泣いても、許してくれなかった。あのシントが。
気持ちいい……。
人を鞭で叩くのって、こんなに楽しいの?
今更になって、私を虐めていた、シントの気持ちが、わかるようになった。
「シント、痛いよね?」
「痛いですぅ!! いだあああ!!!」
シントの頬を、思いっきり抓った。
爪を立てると、血が出るが、すぐに傷が治ってしまうのが、とてもつまらない。
だけど……。
逆に言えば、一生遊べるということにもなる。
「今日はね? 熱した鉄を持ってきたよ?」
「い、いや……。それをど、どどどうするつもり?」
「当たり前じゃん。食べてもらうの」
「た、食べ……?」
「ほら。たくさんあるからね?」
逃げ出したシントが、転んでしまった。
そんな小さい体で……、無理に走ろうとするから、いけないんだ。
「さぁ。お腹いっぱいになるまで食べようね~。久しぶりの食事だよ~」
「いやああああああ!!!!!!」
ははっ。
楽しいなぁ。
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