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模擬戦の申し込み

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「オーロラの魔法は美しく。それでいて、完璧だった。誰がどう見たって、素晴らしい魔法だったよ」

褒められた……。恥ずかしい。こんな人前で。

それでも、ディアナは、私を睨みつけている。

「……私の成績を越えることなんて、ありえません。私が二番で、あの田舎娘が、一番だなんて」
「ディアナ。君の気持ちもわかるよ。私は三十年ほど、学園長を務めているから、君の親族や、君の家族が、みんな一位で合格したことを知っている。心苦しいが……。入学時の成績が全てじゃない。大事なのは、その後の過ごし方だ。かの大賢者、バーロマングも、入学時は真ん中より少し下くらいの成績で――」
「学園長。その話、長くなりますか?」
「……ゴホンッ。とにかく、試験に不正はなかった。今からオーロラのスピーチを始めるから、そこを退いてくれないか?」

ディアナが、悔しそうに俯いた。

「……認めません。私は……。私は、一番で合格しないと、意味が無いんです。カルホーン家の娘として、絶対に――」
「……ディアナ。これ以上は、君の家の名前にも、傷をつけることになると思うが」

学園長が、少し強めの口調で言った。

「名前に傷をつけるのは、学園の方ではないですか? 学園長……。突然現れた、田舎娘が、一番になってしまっては……」

ディアナが、そう言うが、学園長は全く気にしている様子が無い。

「産まれなど関係無いよ。大事なのは、魔法そのものだ」
「……話の分からない人。もしかして、学園長。あなたもオーロラから、金を受け取っているのでは?」
「……失礼な娘だ」
「失礼なのは、あなたの方です」

ディアナは、ため息をついた後。
私に、目を向けてきた。

「オーロラ・レンジ―。明日、訓練場で、私と模擬戦をしなさい。圧勝して……。あなたの不正を、暴いてみせるわ」
「ディ、ディアナ。それはやめた方が……」
「ナイザー様。私にお任せを。……このような田舎娘に、負けるわけがありませんので」

それだけ言い残して、微妙な顔をしているナイザー王子を連れて、会場を去って行った。

「……はぁ」

学園長が、大きなため息をつく。

「すまないな。オーロラ。こんな空気になってしまったが……。軽くで良い。何か一言、もらえないか?」
「あっ……。はい」

促され、マイクの前に立ってみたが。

一体、何を言ったものか。

「えっと。明日……。なんか、模擬戦をすることになったみたいなので、良かったらみなさん、訓練場に、いらしてください」

私がそう言うと……。
なぜか、会場が笑いに包まれた。

……えっ、そんな変なこと、言ったかな。
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