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事件発生
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入学前のパーティ。
美味しい食事に、会話も弾む。
今日だけで、何人も友達を作ることができた。
ド田舎の、小国の産まれであり、ここ、バッテンデン学園には、特待生として入学した私。
……てっきり、貴族たちには、疎まれるかと思っていたけれど。
全くの思い違いで。
皆優しいし、むしろ、私の努力を認め、褒め称えてくれる人もいた。
なんでも、私の存在は、この国で少しだけ、話題になっていたのだとか。
――異国から、とんでもない大物が入学してくるそうだ。
なんて。
どうやら、入学前に、試験の成績が、貼り出されたそうなのだ。
照れてしまう。
私の実力なんて、大したことないのに。
幸せな気持ちに包まれながら、パーティは進行していき……。
「では、生徒諸君。そろそろお開きとしよう」
デザロフ学園長が、笑顔でそう言うと、皆礼儀正しく、会話を止め、静かになった。
なんて民度が高いのだろう……。
私の国なら、生徒全員が静かになるまで、短くても五分はかかるだろう。
きっとこの学園で、素敵な生活を送ることができるはず。
そう、強く確信した。
「入学生代表、オーロラ・レンジ―」
「……はいっ」
名前を呼ばれ、少し緊張しながら、返事をした。
私はどうやら、百人の新入生の中で一番、入学試験の成績が良かったそうなのだ。
あの日は、ものすごく緊張していたので……。本調子ではなかったのだけど。
それでも、ベストを尽くした結果だと思う。
皆の視線を浴びながら、私は前の方へ……。
「待ってください!」
向かおうとしたところ。
一人の男性の声が、会場に響いた。
私を追い越すようにして、前に向かい……。
設置されたマイクに向かって、話し始めた。
「私は、国王……。レオス・エリオットの息子、ナイザー・エリオットです」
ナイザー王子……。
へぇ。この人が、この国の王子なんだ……。
確かに、かっこいいかもしれない。
それにしても、まさか、王族と同じ学校に、通う日が来るとは。
改めて、感慨深いというか。
しかし、このタイミングで、一体何の話をなさるのだろう。
「……ナイザー。今から、オーロラのスピーチを行う予定なのだが」
「すいません。少しだけ時間をください。……みなさん。オーロラは、入学試験で、不正を働いた可能性があります」
信じられないセリフが、ナイザー王子の口から飛び出した。
私が、不正……?
意味がわからない。
あの王子は、一体何を言っているのだろう。
美味しい食事に、会話も弾む。
今日だけで、何人も友達を作ることができた。
ド田舎の、小国の産まれであり、ここ、バッテンデン学園には、特待生として入学した私。
……てっきり、貴族たちには、疎まれるかと思っていたけれど。
全くの思い違いで。
皆優しいし、むしろ、私の努力を認め、褒め称えてくれる人もいた。
なんでも、私の存在は、この国で少しだけ、話題になっていたのだとか。
――異国から、とんでもない大物が入学してくるそうだ。
なんて。
どうやら、入学前に、試験の成績が、貼り出されたそうなのだ。
照れてしまう。
私の実力なんて、大したことないのに。
幸せな気持ちに包まれながら、パーティは進行していき……。
「では、生徒諸君。そろそろお開きとしよう」
デザロフ学園長が、笑顔でそう言うと、皆礼儀正しく、会話を止め、静かになった。
なんて民度が高いのだろう……。
私の国なら、生徒全員が静かになるまで、短くても五分はかかるだろう。
きっとこの学園で、素敵な生活を送ることができるはず。
そう、強く確信した。
「入学生代表、オーロラ・レンジ―」
「……はいっ」
名前を呼ばれ、少し緊張しながら、返事をした。
私はどうやら、百人の新入生の中で一番、入学試験の成績が良かったそうなのだ。
あの日は、ものすごく緊張していたので……。本調子ではなかったのだけど。
それでも、ベストを尽くした結果だと思う。
皆の視線を浴びながら、私は前の方へ……。
「待ってください!」
向かおうとしたところ。
一人の男性の声が、会場に響いた。
私を追い越すようにして、前に向かい……。
設置されたマイクに向かって、話し始めた。
「私は、国王……。レオス・エリオットの息子、ナイザー・エリオットです」
ナイザー王子……。
へぇ。この人が、この国の王子なんだ……。
確かに、かっこいいかもしれない。
それにしても、まさか、王族と同じ学校に、通う日が来るとは。
改めて、感慨深いというか。
しかし、このタイミングで、一体何の話をなさるのだろう。
「……ナイザー。今から、オーロラのスピーチを行う予定なのだが」
「すいません。少しだけ時間をください。……みなさん。オーロラは、入学試験で、不正を働いた可能性があります」
信じられないセリフが、ナイザー王子の口から飛び出した。
私が、不正……?
意味がわからない。
あの王子は、一体何を言っているのだろう。
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