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感謝
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「なるほど……」
私は固有スキルの件を、二人に話した。
「黙っててごめんなさい。隠すつもりはなかったのだけど、話すタイミングが無くて……」
「どうして謝るの? 私、ベネットのおかげで、賢者になることができたのよ? むしろ感謝させてほしいわ」
「僕もだよ。剣神なんて……。よほど運が無いと、授かれない特別職なのに。感謝してもしきれないさ」
……優しいなぁ。二人とも。
その温かさで、私は泣きそうになった。けど我慢した。
リアーナの言う通り、今日はめでたい日なのだ。
☆ ☆ ☆
その日は、城下町の広場でパーティが行われることになった。
王太子と、侯爵家の令嬢が特別職を得たというニュースは、一瞬で国中に広まり、多くの人が祝福するため、広場を訪れた。
私は……。両親と一緒に、隅っこの方のテーブルで、小さくなっている。
「ま、まさか……。帰って来て早々にパーティとは。嬉しいんだか、恐ろしいんだか……」
「ごめんなさいお父様。こんなことになるなんて」
「いやいや。謝る必要な無いよベネット。君が戻ってきてくれたことが、何より嬉しいんだ。そうだろう? 母さん」
「えぇ。その通りよ。ベネット……。本当に良く帰って来てくれたわ」
「お母様……」
お母様は、私が帰って来てもう一週間も経つのに、毎日のように、帰って来てくれてありがとうなんて言いながら、抱きしめてくれる。
今日からはそこに、お父様も加わるのだ。
「もし、お三人。少し相席してもよろしいかな?」
声をかけてきたのは……。
なんと、国王のオーベル・カムロフ様だった。
「お、オーベル様! どうぞお座りになってください!」
「いやいや。どうか三人もお座りになってくだされ。このような場なのですから」
「そ、そのようなわけには……」
「でしたら、私も立ちます」
「……」
お父様とお母様が、顔を見合わせ、浮いた腰を、再び椅子に戻した。
その様子をみて、オーベル様が、嬉しそうに微笑んだ。
本当に、親子で性格がよく似ている。
王族であるにも関わらず、誰より低姿勢で……。
「ベネット。君のおかげで、我が息子が、剣神となることができた……。感謝するよ」
「いやそんな。私はただ、その場に居合わせただけで」
「精霊の加護。だったかな……。本当に、帰って来てくれて、よかった」
顔が真っ赤になってしまう。
まさか、国王に褒められる日が来るなんて。
「……ところで、ベネットを追い払った国だが。精霊の加護が消えた後は、どうなってしまうのだろうか」
「えっと……。得た能力は、きちんと努力をしなければ、おそらく消えてしまうと思います」
「なんと……」
オーベル様が、何か考え始めた。
やがて、ゆっくりと話し始める。
「実は、件の国の付近で、モンスターの群れを確認したそうでな」
「モンスターの……?」
「うむ……。援助を申し出たが、あの国の王は頑固で……。全く聞く耳を持たなかったのだよ」
国王の顔が思い浮かぶ。ミゲルと同じで、意地の悪そうな小太りだった。
「父上。ここにおられたのですか」
ブライリー様がやってきた。
「さて、と。まだ挨拶があるので、これで失礼するよ。ベネット……。本当にありがとう」
「僕からももう一度。ベネット。ありがとう」
私はただ、頷くことしかできなかった。
耳まで真っ赤だ。このまま発火してしまうんじゃないかとすら思った。
☆ ☆ ☆
パーティは無事終わり、私は家に帰り、ベッドに入っている。
……オーベル様が言っていた、モンスターの大群。
あんな別れ方をしたとはいえ、こないだまで一緒に暮らしていた人たちだ。
心配しないと言えば嘘になる。が……、まだ一週間しか経っていない。本人たちがしっかり鍛錬を積んでいれば、きっと能力は維持できているはずだ。
色々考えている間に、私は眠ってしまった。
私は固有スキルの件を、二人に話した。
「黙っててごめんなさい。隠すつもりはなかったのだけど、話すタイミングが無くて……」
「どうして謝るの? 私、ベネットのおかげで、賢者になることができたのよ? むしろ感謝させてほしいわ」
「僕もだよ。剣神なんて……。よほど運が無いと、授かれない特別職なのに。感謝してもしきれないさ」
……優しいなぁ。二人とも。
その温かさで、私は泣きそうになった。けど我慢した。
リアーナの言う通り、今日はめでたい日なのだ。
☆ ☆ ☆
その日は、城下町の広場でパーティが行われることになった。
王太子と、侯爵家の令嬢が特別職を得たというニュースは、一瞬で国中に広まり、多くの人が祝福するため、広場を訪れた。
私は……。両親と一緒に、隅っこの方のテーブルで、小さくなっている。
「ま、まさか……。帰って来て早々にパーティとは。嬉しいんだか、恐ろしいんだか……」
「ごめんなさいお父様。こんなことになるなんて」
「いやいや。謝る必要な無いよベネット。君が戻ってきてくれたことが、何より嬉しいんだ。そうだろう? 母さん」
「えぇ。その通りよ。ベネット……。本当に良く帰って来てくれたわ」
「お母様……」
お母様は、私が帰って来てもう一週間も経つのに、毎日のように、帰って来てくれてありがとうなんて言いながら、抱きしめてくれる。
今日からはそこに、お父様も加わるのだ。
「もし、お三人。少し相席してもよろしいかな?」
声をかけてきたのは……。
なんと、国王のオーベル・カムロフ様だった。
「お、オーベル様! どうぞお座りになってください!」
「いやいや。どうか三人もお座りになってくだされ。このような場なのですから」
「そ、そのようなわけには……」
「でしたら、私も立ちます」
「……」
お父様とお母様が、顔を見合わせ、浮いた腰を、再び椅子に戻した。
その様子をみて、オーベル様が、嬉しそうに微笑んだ。
本当に、親子で性格がよく似ている。
王族であるにも関わらず、誰より低姿勢で……。
「ベネット。君のおかげで、我が息子が、剣神となることができた……。感謝するよ」
「いやそんな。私はただ、その場に居合わせただけで」
「精霊の加護。だったかな……。本当に、帰って来てくれて、よかった」
顔が真っ赤になってしまう。
まさか、国王に褒められる日が来るなんて。
「……ところで、ベネットを追い払った国だが。精霊の加護が消えた後は、どうなってしまうのだろうか」
「えっと……。得た能力は、きちんと努力をしなければ、おそらく消えてしまうと思います」
「なんと……」
オーベル様が、何か考え始めた。
やがて、ゆっくりと話し始める。
「実は、件の国の付近で、モンスターの群れを確認したそうでな」
「モンスターの……?」
「うむ……。援助を申し出たが、あの国の王は頑固で……。全く聞く耳を持たなかったのだよ」
国王の顔が思い浮かぶ。ミゲルと同じで、意地の悪そうな小太りだった。
「父上。ここにおられたのですか」
ブライリー様がやってきた。
「さて、と。まだ挨拶があるので、これで失礼するよ。ベネット……。本当にありがとう」
「僕からももう一度。ベネット。ありがとう」
私はただ、頷くことしかできなかった。
耳まで真っ赤だ。このまま発火してしまうんじゃないかとすら思った。
☆ ☆ ☆
パーティは無事終わり、私は家に帰り、ベッドに入っている。
……オーベル様が言っていた、モンスターの大群。
あんな別れ方をしたとはいえ、こないだまで一緒に暮らしていた人たちだ。
心配しないと言えば嘘になる。が……、まだ一週間しか経っていない。本人たちがしっかり鍛錬を積んでいれば、きっと能力は維持できているはずだ。
色々考えている間に、私は眠ってしまった。
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