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第10話 反省

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「……なるほど」

 ランド様とオリーブ様の面倒を見てくださっている農家の方が、とんでもない情報を寄せてくれました。
 
「どうしますか? カシオ様」
「もちろん制裁だね。全く反省していない……」

 呆れてしまいます。
 普通の人間であれば、あのように恥をかかされ、地位も名誉もなくなれば、反省するものですが……。
 どうやら特殊なメンタルの構造をしているようですね。あの二人は。

「僕はパーティの前に、一旦国に戻って……。オリーブの情報を色々集めてくるよ」
「情報ですか?」
「うん。……二度と立ち直れないほどのダメージを与えないと、きっと彼女たちは反省しないから……」
「そうですね……。では私も、ランド様の情報を集めることにします」

 ◇

 パーティ当日。
 二人はまともな変装もしていなかったので、あっさりと捕まってしまいました。
 移動のルートすら農家の方に筒抜けだったので、そうでなくても見つからないわけがないのですが……。

「お、おえぇええ!!! 臭いいぃい!!!」
「おっ、ひぃいい……! げぇっ!」

 大きな桶に二人とも縛り付けられ、その中には、私たちに投げるはずだった牛の糞が流し込まれています。
 全身を糞に包まれるという醜態を、街の人々に見られているのです。
 ……しかし匂いがきついので、さっさと本題に入りましょう。

「ランド様。あなたが農場に行くと決まったので、娼婦の件は結局掲示板には貼りだしませんでした。しかし今回、全回収集が間に合わなかった娼婦からの情報もまとめて、貼りだしておきましたからね」
「やめてくれぇ~!!! おえぇええ!」
「オリーブ。君の家のメイドたちから、君の恥ずかしいエピソードをたくさん聞いておいたよ。去年までお漏らししていたことだとか、未だに夜は一人でトイレに行けないことだとか……」
「いやぁあああ!!! やめてくださっおええぇえっ!!!」

 糞にまみれながら、二人は涙を流します。

「さて、さすがに反省しましたよね?」
「もうしましたぁ! 絶対に悪いこと企てません! 農場で大人しくお仕事しますぅ!」
「僕もっ! 僕も悪いことしませんからぁ! 許してぇ!」
「どうせ口だけでしょうから、今度はやり方を変えます」

 私は元騎士の方をお呼びしました。
 筋骨隆々。引退したとはいえ、一般人に比べれば、遥かに威圧感のある強い男性です。

「彼に、あなたたちの教育を任せることにしました!」

 二人の目が、絶望に変わります。
 元騎士が、にやりと不敵な笑みを浮かべました。
 これで今度こそ、反省してくれると良いのですが……。
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