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第14話 暴れる伯爵令嬢

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 牢屋に囚われたウリアは、毎日のように壁を蹴りつけながら、自らの身を傷つけつつも、ストレスを発散していた。
 
「復讐……。復讐……!」

 不気味に呟きながら、何度も何度も壁を蹴ったり、殴ったり。
 血を滲ませながらも、ロハーナへの復讐を成し遂げるため、気持ちを絶やさぬように努力をしていた。

「ウリア様。面会です」

 久々の面会だ。
 少し前に、レンフローが金を貸してくれと言いにやってきて以来である。
 あるいはまた、レンフローかもしれない。

 良い暇つぶしになると思って、鼻歌を交えながら、ウリアは面会室へと向かった。
 そこで待っていたのは……ロハーナだった。

「ロ、ロハーナ……」

 さきほどまで、あれだけ強く復讐を望んでいたはずの女が、目の前にいる。
 それなのに、全く体が動かなかった。
 一度植え付けられた恐怖は、完全に拭い去ることができないのだ。

「な、なななに、なによわざわざ、なに?」

 ガタガタと顎を震わせながら、必死でロハーナを睨みつけた。
 いつもなら笑うはずのロハーナだが、今日は酷く真面目な顔をしている。
 
「ウリア様には、反省をしてもらいたいのです」
「して、し、ししてるわよっ。見てわかるでしょ?」

 傷だらけの拳や、足を見せつけると、ロハーナはさすがに驚いた様子だった。

「痛いのよ? すごく。すごくすごくすごく痛い。これで反省してないと思うの?」
「拷問は禁じたはずですが……。誰にやられたのですか?」
「自分でやったのよ。反省を示すためにね」

 嘘であることはすぐに見抜いたロハーナだったが、しかしそれほどの強いエネルギーが、まだウリアに残っていることを知り、やはり反省を促せねばならないと強く思ったのだった。

「反省をします。と言ってください。そして、私の用意した教育プログラムを受けてほしいのです」
「は……? 教育?」
「人の温かさ、厳しさを知り、まともな人間になるための教育です。人は傷つきやすく、脆いものだと理解するための……」
「……絶対嫌。それなら死んだ方がマシよ」
「今日決めなくても構いません。また明日来ますので」
「何度来たって同じよ。……あなたの犬になるなんて、絶対に嫌だ!」

 徐々に恐怖心が薄れていった。
 拳を握りしめ、血走った目でロハーナを睨みつけている。

「今日からは、手足を縛りつけ、口に枷を嵌めた状態で過ごしてもらいます。自ら体を傷つけるようなことが無いように」
「……そんな方法で反省を促そうっていうのね。悪趣味だわ」
「趣味ではありません。私は本気です。あなたをこのまま放置しては……。必ず良くないことになる。反省、更生まで含めて制裁なのです」
「うるさいわねぇ!!!」

 ウリアが暴れ出したので、面会はそこで中断になった。
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