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第10話 伯爵令嬢、最後のあがき
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男爵家と子爵家が、新たに手に入れた領地で必死に働いている一方。
全てを失ったケイトハーグ家の令嬢、ウリア・ケイトハーグは、古びた小さな一軒家にて、下着姿でとある男を待っていた。
ドアがゆっくりと開き……。
「やぁ。嬉しいよウリア」
入ってきたのは、王子のグレン・バロンド。
長男であり、年齢は17歳。
それなりに大きな体をしており、ウリアと向き合うと、まるで親と子のように見えた。
「ようこそグレン様。私も嬉しいですわ」
二人は軽く抱きしめ合い、ベッドの上に座った。
「なんでもう下着姿なんだい?」
「その方が、喜ぶかと思ったの……」
「悪い子だなぁ。婚約者が見たら、どんな顔をするだろう」
「どうせ婚約は破棄されます。それよりも……」
ウリアはグレンの腕に絡みついた。
「今は私、グレン様のことしか考えられないの」
数日前、食うに困っていたウリアは、偶然グレンを見かけ、言い寄った。
グレンは長男でありながら、女性を権力任せに食い散らかす、悪名高い男である。
国王からも何度も注意を受け、その度王宮に閉じ込められているのだが、閉じ込められている間は反省しつつも、謹慎が明ければすぐに同じ悪事を繰り返す。
今回も、美味しい女性を探しに街を練り歩いている最中だった。
ウリアは幸運にも、ちょうど良いタイミングでグレンと出会うことができたのだ。
その日から、毎日のようにこの古びた空家の中で、共に時間を過ごしている。
悪名高いグレンにとって、言い寄ってくれるウリアの存在は、非常に嬉しいものだった。
二人はベッドの上に腰掛け――。
◇
「ねぇグレン様。お願いがあるの」
「どうしたんだい?」
水を飲みながら、グレンはウリアの肩を抱いた。
小さな声を漏らしながら、ウリアはグレンに身を寄せる。
「私の人生をめちゃくちゃにした、男爵家の令嬢、ロハーナに復讐したいの」
「復讐か……。例えばどんな?」
「あの子を牢屋に閉じ込めて、恐怖を与えるの。普段は強気な女だけれど、牢屋で拘束して、短剣を突きつければ……。きっと失禁して、許しを乞うはずです」
「それは名案だね。任せてよ。僕は王子なんだ。何でもできるよ。すぐに騎士たちを手配して、ロハーナを地下牢へ連れて来させよう」
「まぁ嬉しい……。ありがとうグレン様」
ウリアはグレンの頬に口づけをした。
そして、口角を一瞬、グイっと上げて、すぐに柔らかな笑顔を浮かべる。
(見てなさいよロハーナ……。勝負はこれからなんだから!)
グレンの腕に抱かれながら、ウリアは強く思った。
全てを失ったケイトハーグ家の令嬢、ウリア・ケイトハーグは、古びた小さな一軒家にて、下着姿でとある男を待っていた。
ドアがゆっくりと開き……。
「やぁ。嬉しいよウリア」
入ってきたのは、王子のグレン・バロンド。
長男であり、年齢は17歳。
それなりに大きな体をしており、ウリアと向き合うと、まるで親と子のように見えた。
「ようこそグレン様。私も嬉しいですわ」
二人は軽く抱きしめ合い、ベッドの上に座った。
「なんでもう下着姿なんだい?」
「その方が、喜ぶかと思ったの……」
「悪い子だなぁ。婚約者が見たら、どんな顔をするだろう」
「どうせ婚約は破棄されます。それよりも……」
ウリアはグレンの腕に絡みついた。
「今は私、グレン様のことしか考えられないの」
数日前、食うに困っていたウリアは、偶然グレンを見かけ、言い寄った。
グレンは長男でありながら、女性を権力任せに食い散らかす、悪名高い男である。
国王からも何度も注意を受け、その度王宮に閉じ込められているのだが、閉じ込められている間は反省しつつも、謹慎が明ければすぐに同じ悪事を繰り返す。
今回も、美味しい女性を探しに街を練り歩いている最中だった。
ウリアは幸運にも、ちょうど良いタイミングでグレンと出会うことができたのだ。
その日から、毎日のようにこの古びた空家の中で、共に時間を過ごしている。
悪名高いグレンにとって、言い寄ってくれるウリアの存在は、非常に嬉しいものだった。
二人はベッドの上に腰掛け――。
◇
「ねぇグレン様。お願いがあるの」
「どうしたんだい?」
水を飲みながら、グレンはウリアの肩を抱いた。
小さな声を漏らしながら、ウリアはグレンに身を寄せる。
「私の人生をめちゃくちゃにした、男爵家の令嬢、ロハーナに復讐したいの」
「復讐か……。例えばどんな?」
「あの子を牢屋に閉じ込めて、恐怖を与えるの。普段は強気な女だけれど、牢屋で拘束して、短剣を突きつければ……。きっと失禁して、許しを乞うはずです」
「それは名案だね。任せてよ。僕は王子なんだ。何でもできるよ。すぐに騎士たちを手配して、ロハーナを地下牢へ連れて来させよう」
「まぁ嬉しい……。ありがとうグレン様」
ウリアはグレンの頬に口づけをした。
そして、口角を一瞬、グイっと上げて、すぐに柔らかな笑顔を浮かべる。
(見てなさいよロハーナ……。勝負はこれからなんだから!)
グレンの腕に抱かれながら、ウリアは強く思った。
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