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第2話 網にかかった伯爵令嬢
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レンバルト家で小馬鹿にされたウリアは、子爵家に向かった。
「ようこそウリア様」
ガゼルシア子爵家の令息、マイク・ガゼルシアが、ウリアを出迎えた。
「二人きりでお話しましょう?」
「二人きり……ですか」
「ダメ?」
「いえ。構いませんが」
ウリアは目いっぱい、マイクに色目を使っていた。
唇を尖らせ、マイクの腕に絡みつくように抱き着いたり……。
あるいは、頬を指で突いたりして、ふふっ、と小さく微笑んでみせたり。
見かねたマイクが、うんざりした様子で、ウリアに尋ねた。
「……ウリア様。結婚のご予定があるはずでは?」
「今だけは、忘れたいの……」
「あの……。僕も、結婚を控えているのですが……」
マイクは、ロハーナと婚約しているのだ。
来月には正式に結婚し、式を挙げる予定である。
「だ~め。考えないで?」
マイクの唇に人差し指を当てるウリア。
背の低いウリアに対し、マイクは15歳ながら、身長がそこそこ高い方である。
唇に触れるため、必死で背伸びをしているウリアに、思わず笑いそうになってしまった。
当然、ガゼルシア子爵家には、レンバルト男爵家の使いの者が先回りをして、状況を説明済みだ。
そして――。
ロハーナの作戦により、できるだけウリアの要求には答えるようにと、頼まれていた。
そうでなければ、もうじき結婚を控えている者同士で腕を組むことなど、許すはずがなかった。
甘んじて受け入れ、二人きりで部屋へと向かう。
しばらくは、世間話なども交えながら、食事をしていたが……。
「私、酔っぱらってきちゃったかもしれないわ……」
ワインを飲み、頬を赤らめるウリアが、マイクの胸元を怪しく指でなぞった。
何を見てそのようなことを学んだのか……。マイクは身の毛もよだつ思いだったが、作戦なので一応乗っかっておくことにした。
「そうですね……。僕も少し酔ったかもしれません」
「ねぇマイク。私たち、イケないことをしない?」
「イケないこと?」
「えぇそうよ。子爵家なら、男爵家なんかと仲良くするよりも……。伯爵家と仲良くする方がよっぽど良いでしょう?」
「確かにそうかもしれません」
「私、どうしても男爵家の領地が欲しいの……」
色目をたっぷりと使った、必死のアピール。
マイクは笑いをこらえるため、顔を背けた。
(照れちゃって……。可愛いわね! 私の虜になったみたい!)
ウリアは残念な勘違いをしていた。
「これから男爵家に行って、私たちの愛を見せつけてやりましょう?」
「それは名案ですね」
なぜなら、話が早く終わるからだ。
こうしてウリアは、自ら罠へと足を踏み入れてゆくのだった……。
「ようこそウリア様」
ガゼルシア子爵家の令息、マイク・ガゼルシアが、ウリアを出迎えた。
「二人きりでお話しましょう?」
「二人きり……ですか」
「ダメ?」
「いえ。構いませんが」
ウリアは目いっぱい、マイクに色目を使っていた。
唇を尖らせ、マイクの腕に絡みつくように抱き着いたり……。
あるいは、頬を指で突いたりして、ふふっ、と小さく微笑んでみせたり。
見かねたマイクが、うんざりした様子で、ウリアに尋ねた。
「……ウリア様。結婚のご予定があるはずでは?」
「今だけは、忘れたいの……」
「あの……。僕も、結婚を控えているのですが……」
マイクは、ロハーナと婚約しているのだ。
来月には正式に結婚し、式を挙げる予定である。
「だ~め。考えないで?」
マイクの唇に人差し指を当てるウリア。
背の低いウリアに対し、マイクは15歳ながら、身長がそこそこ高い方である。
唇に触れるため、必死で背伸びをしているウリアに、思わず笑いそうになってしまった。
当然、ガゼルシア子爵家には、レンバルト男爵家の使いの者が先回りをして、状況を説明済みだ。
そして――。
ロハーナの作戦により、できるだけウリアの要求には答えるようにと、頼まれていた。
そうでなければ、もうじき結婚を控えている者同士で腕を組むことなど、許すはずがなかった。
甘んじて受け入れ、二人きりで部屋へと向かう。
しばらくは、世間話なども交えながら、食事をしていたが……。
「私、酔っぱらってきちゃったかもしれないわ……」
ワインを飲み、頬を赤らめるウリアが、マイクの胸元を怪しく指でなぞった。
何を見てそのようなことを学んだのか……。マイクは身の毛もよだつ思いだったが、作戦なので一応乗っかっておくことにした。
「そうですね……。僕も少し酔ったかもしれません」
「ねぇマイク。私たち、イケないことをしない?」
「イケないこと?」
「えぇそうよ。子爵家なら、男爵家なんかと仲良くするよりも……。伯爵家と仲良くする方がよっぽど良いでしょう?」
「確かにそうかもしれません」
「私、どうしても男爵家の領地が欲しいの……」
色目をたっぷりと使った、必死のアピール。
マイクは笑いをこらえるため、顔を背けた。
(照れちゃって……。可愛いわね! 私の虜になったみたい!)
ウリアは残念な勘違いをしていた。
「これから男爵家に行って、私たちの愛を見せつけてやりましょう?」
「それは名案ですね」
なぜなら、話が早く終わるからだ。
こうしてウリアは、自ら罠へと足を踏み入れてゆくのだった……。
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