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「ねえ、最近奈央変わった? なんかいいことあったとか」有希が訊いてきた。
「ほんと、ダイエットやめたの?」私のお盆の上に乗ったとんかつ定食を覗き込み、智子が言った。
ちょっと……、と有希が智子を肘で小突いた。
「あ、ごめん……」と智子が申し訳なさそうにうつむいた。
「いいのいいの、私もともとよく食べるほうだから。ダイエットはやめてないよ?」と私は明るく答えた。
「そうそう、そういうとこ、私が言ったのは。奈央、変わったよね」有希が少し驚いた顔で言った。
「どんなふうに?」そんなこと自分が一番よくわかっていたけど、私は人の口から聞いてみたくてあえて訊いた。
「なんだかこう、自信がついたみたいに見える」
「そうそう、前まで背中丸めて、そんなに背が高いのに小さく見えてたもんね!」智子は嬉しそうに言った。
「智子! 言葉考えなさいよ」
「あ、ごめん……」
「いいのよいいのよ」私は二人のやり取りにそう言って笑った。
「でもほんと、明るくなったよ。声も大きくなったし、表情も豊かになった」
「あはは、自分でもそう思う。なんかいろいろ吹っ切れちゃって、ダイエットのこととか小さいことだなって思うようになったの」
「どういうこと?」
「彼氏でもできた?」
「あはは、まさか!」
「そうよね」
智子は思ったことをすぐに口にしてしまう。でも逆にそれは嘘をつけないって感じで、私は面白く感じていた。
「智子!」
「いいのよいいのよ、私気にしてないから」
「でも……」
有希はほんととても気をつかってくれる。優しすぎる。時々それがしんどいんじゃないかと心配になる。
なんだか自分が変わると、周りがよく見えるようになるし、周りの見え方が変わると最近気づいた。
「私ね、中学の頃からこの身体のことでずっと虐められてきたから、あんまりいい思い出とかなかったんだけど、そんなこともうどうでもいいなと思うようになったの」
「ちょっと、自殺とかしないでよ?」智子が不安そうな顔で言った。
「しないしない!」私は思わず吹き出しそうになって笑った。「吹っ切れたって、そんな変な意味じゃないから。私、いやな過去にばかり目を向けてきたから、それが今に続いてて、痩せることが人生で一番重要なゴールみたいに思ってたの。でももっともっと先のこと考えて、未来を思い描いて、自分を変えていこうと思ったら、ダイエットなんてただの通過点でしかないんだなって思っちゃって」
「なんかすごい心境の変化だね」
「好きな人でもできた?」
「違うって!」智子を横目で睨む有希を見ながら、私はあははと笑った。
私はそんな二人のやり取りが、そして自分に向けられる視線が、こんなに愉快だと感じたことはなかった。こんな自分は、今まで一体どこにいたんだろう。こないだまでの自分はいったいどこに行ったんだろう。なんて思いながら、トンカツが650キロカロリー、ご飯が200で、味噌汁とサラダと漬物で100として、全部で1000キロカロリー弱ってとこかなと、定食のカロリー計算を頭の中でやっていた。
ちょっと調子に乗りすぎたかな。朝はパンを食べて500キロカロリーくらいとったし、夜はササミでサラダでも作って食べておこうと心に決めた。
スマホを見ると、美香さんからメールが届いていた。
今はオーストラリアにいるらしい。
メルボルンで仕事って言ってたけど……、こんな海があるのかな? と送られてきた写真とともにメッセージを読むと、仕事でできた彼氏といまはケアンズにいると書かれていた。
彼氏? ケアンズ? 写真に写っている男の人は金髪にサングラスをしている。どう見ても外国人だ。そしてなにより……。
「え、だれだれ? なんか顔赤いよ? やっぱり彼氏!?」と言って智子がスマホを覗き込んできた。となると、有希にも見せないわけにはいかなくて、私は二人にスマホを向けた。
「きゃーーー、なにこの水着!?」と有希が声を上げた。
私もそれで顔が赤くなったのだ。美香さん……、このビキニ……。
「見てるだけで恥ずかしくなるね……」と有希も顔が赤い。
「おへその下、三分の一くらいしか隠してないよ……」
「胸おっきい……、ちょっと動いたらはみだしそう……」
「え、この人ってもしかして……」サングラスをしていてわからないかなと思ったけど、智子が気づいたらしい。
「美香さんだよ」
「え、美香さんって、こないだの……」
「うん。そう」
「これ、山崎美香!?」
「え、どういう関係? 友達になったの?」
「うん。というか、友達のお姉さんだったの。それで私を覚えてて、声をかけてくれたんだって」
「すっごい偶然。それよりそれって、彼氏できるよりすごくない?」有希も興奮しすぎて言葉に遠慮が無くなってきているのが面白かった。
「私も驚いた」
「そりゃそうよねー、てか奈央、最近奈央が変わったのって、もしかしてこの人のせい?」
「うん。百パーセントそう。物の見方がね、百八十度変わっちゃった」
「すっごいね。にしても、やっぱこの水着……」
「そうだよね……」と私も言って、改めて美香さんの着ているビキニ……、と思いながら、ビキニもすごいんだけど……、やっぱ美香さんてスタイルいい。まるで芸術作品を見てるようだと写真に見入った。色も白くて、肌がきれいで、それでいて顔は彫が深いから、髪の毛の黒さと相まって、神秘的にすら感じてしまう。
うっとりしていると、「ちょっと奈央、やっぱりあなた、彼氏の写真でも見るような顔になってるよ?」と有希に言われてしまった。
「ほんとほんと、私を抱いてー、みたいな顔」と智子が言った。
「ちょっと智子、どんな顔よそれ!」と言いながら、有希は私の顔を見てふと目を逸らした。
私は笑いが止まらなかった。
「カロリーはとっちゃ駄目だとか思ってない?」美香さんは訊いた。
「ええ、とくに私みたいな身体には」
「それは『カロリー』って言葉を悪者にしたいだけ。そもそも人間って動物でしょ? カロリーっていうのは、動物が生きていくために必要なエネルギーのことよ。わかる? 動物はみんな、このカロリーを得るために必死なの。草食動物はそのために丸一日草を食べてるし、肉食動物は週に一度成功するかしないかの狩りを命がけでやってるわ。でも人間は、農業や家畜を育てることで、カロリーを簡単に手に入れることができるようになった。それはいいのだけれど、本能的な部分で人間はやはり動物だから、生きていくために必死にカロリーを求めてしまうのよ。脂っこいものや甘いものを食べたくなるのはそのせい。生きるための本能だからあたりまえなの」
「でもそれじゃあ、みんなどんどん私みたいになっちゃう」
「そうね、その通り。人間には理性があるのだから、状況を分析して、自制するべきところは自制するのよ。けれど、なんらかのストレスがかかって理性よりも本能が勝ったり、育った環境なんかでそれがうまくいかないことがあるわ。その結果がこの身体よ」と美香さんは私のお腹の肉を服の上からつまんで遠慮なく言った。
私はもはや、美香さんにこの身体のことをどう言われようと何も傷つかなくなっていた。それほどに美香さんは私の中で大きく、信頼できる人だったのだ。
「カロリーはとりすぎるのは駄目だけど、逆に取らないのも駄目。よく炭水化物が駄目だとか言ってお米をやめるダイエットをする人がいるけれど、お米はとても栄養バランスの良い食べ物なの。それをやめるなんてナンセンスよ。お米に含まれるビタミンは肌をきれいにしたり粘膜を健康に保ってくれる。せっかく痩せても体がボロボロになっちゃ意味ないでしょ? それに腹持ちもいいから、お腹がすきにくい」
私は自分がしていたダイエットを思い出し、恥ずかしくなった。
「とにかくバランスが大事なの。カロリーは三大栄養素と呼ばれているの。つまり、炭水化物、脂質、タンパク質ね。炭水化物はお米やパン、穀物やフルーツなんかよ。一日に必要なカロリーの50から60パーセントくらいを目安に摂るといいわ」
「一日に必要なカロリー?」
「そうね、それが先ね。二十代女性に必要な一日のカロリーは、だいたい2000キロカロリーくらいだと言われているわ。どの食べ物がどれくらいのカロリーか、これはもう自分で覚えるか調べるしかないわね。でも簡単よ?」
「どうやって?」
「ごはんがお茶碗に軽く一杯で250キロカロリーくらいかしら。お肉なんかは、脂身を食べるか食べないかでだいぶ変わるわね。ブタのばら肉なんかを食べると、100グラムで400キロカロリー近くいくこともあるから注意しなさい? 無難なのは、鶏肉を皮なしで食べることね。ササミなら、100キロカロリーちょっとしかないわ。あとそうね、食パンは薄いものなら150キロカロリーくらいだけど、菓子パンはものによっては一個で400キロカロリー以上になることもある」
「そんなのどこで覚えたんですか?」
「コンビニよ」
「コンビニ?」
「そう。見たことない? だいたいパッケージの裏を見ると書いてあるわ。最初はそれを見ながら、自分がいったいどれくらいのカロリーを取っているのか計算する癖をつけるの。それから、個々の食品についてはネットですぐに調べられるわ。ハンバーガー屋やピザ屋なんかだと、自分たちの扱っている商品の栄養素やカロリーを公開しているところもある。さっき三大栄養素と言ったけど、カロリーの計算も意外とシンプルなの。それぞれ1グラムあたり、炭水化物は4キロカロリー、脂質は9キロカロリー、タンパク質は4キロカロリー、それぞれを掛けて足したものがカロリーよ。で、話は戻るけど、脂質は字のとおり、油を含む食品に多いわ。細胞膜やホルモンを作ったり、内臓を守る働きがある。肉はもちろん、ドレッシングやマヨネーズ、ナッツ類に乳製品なんかよ。一日にだいたい20から30パーセントを目安に摂るの。あとはタンパク質ね。体を作る材料となるものよ。肉の赤身や魚、大豆製品なんかに多く含まれているわ。これは一日に13から20パーセントくらいを目安に摂るといいわ。細かく計算しろとは言わない。けれど、朝昼晩、ノートをつけて、いったい自分が毎日どんな食生活をして、カロリーをどれくらい摂っているか見える形にするの。そしてそれを見ながら、バランスよく2000キロカロリー前後になるように少しずつ修正していくのよ」
「ほんと、ダイエットやめたの?」私のお盆の上に乗ったとんかつ定食を覗き込み、智子が言った。
ちょっと……、と有希が智子を肘で小突いた。
「あ、ごめん……」と智子が申し訳なさそうにうつむいた。
「いいのいいの、私もともとよく食べるほうだから。ダイエットはやめてないよ?」と私は明るく答えた。
「そうそう、そういうとこ、私が言ったのは。奈央、変わったよね」有希が少し驚いた顔で言った。
「どんなふうに?」そんなこと自分が一番よくわかっていたけど、私は人の口から聞いてみたくてあえて訊いた。
「なんだかこう、自信がついたみたいに見える」
「そうそう、前まで背中丸めて、そんなに背が高いのに小さく見えてたもんね!」智子は嬉しそうに言った。
「智子! 言葉考えなさいよ」
「あ、ごめん……」
「いいのよいいのよ」私は二人のやり取りにそう言って笑った。
「でもほんと、明るくなったよ。声も大きくなったし、表情も豊かになった」
「あはは、自分でもそう思う。なんかいろいろ吹っ切れちゃって、ダイエットのこととか小さいことだなって思うようになったの」
「どういうこと?」
「彼氏でもできた?」
「あはは、まさか!」
「そうよね」
智子は思ったことをすぐに口にしてしまう。でも逆にそれは嘘をつけないって感じで、私は面白く感じていた。
「智子!」
「いいのよいいのよ、私気にしてないから」
「でも……」
有希はほんととても気をつかってくれる。優しすぎる。時々それがしんどいんじゃないかと心配になる。
なんだか自分が変わると、周りがよく見えるようになるし、周りの見え方が変わると最近気づいた。
「私ね、中学の頃からこの身体のことでずっと虐められてきたから、あんまりいい思い出とかなかったんだけど、そんなこともうどうでもいいなと思うようになったの」
「ちょっと、自殺とかしないでよ?」智子が不安そうな顔で言った。
「しないしない!」私は思わず吹き出しそうになって笑った。「吹っ切れたって、そんな変な意味じゃないから。私、いやな過去にばかり目を向けてきたから、それが今に続いてて、痩せることが人生で一番重要なゴールみたいに思ってたの。でももっともっと先のこと考えて、未来を思い描いて、自分を変えていこうと思ったら、ダイエットなんてただの通過点でしかないんだなって思っちゃって」
「なんかすごい心境の変化だね」
「好きな人でもできた?」
「違うって!」智子を横目で睨む有希を見ながら、私はあははと笑った。
私はそんな二人のやり取りが、そして自分に向けられる視線が、こんなに愉快だと感じたことはなかった。こんな自分は、今まで一体どこにいたんだろう。こないだまでの自分はいったいどこに行ったんだろう。なんて思いながら、トンカツが650キロカロリー、ご飯が200で、味噌汁とサラダと漬物で100として、全部で1000キロカロリー弱ってとこかなと、定食のカロリー計算を頭の中でやっていた。
ちょっと調子に乗りすぎたかな。朝はパンを食べて500キロカロリーくらいとったし、夜はササミでサラダでも作って食べておこうと心に決めた。
スマホを見ると、美香さんからメールが届いていた。
今はオーストラリアにいるらしい。
メルボルンで仕事って言ってたけど……、こんな海があるのかな? と送られてきた写真とともにメッセージを読むと、仕事でできた彼氏といまはケアンズにいると書かれていた。
彼氏? ケアンズ? 写真に写っている男の人は金髪にサングラスをしている。どう見ても外国人だ。そしてなにより……。
「え、だれだれ? なんか顔赤いよ? やっぱり彼氏!?」と言って智子がスマホを覗き込んできた。となると、有希にも見せないわけにはいかなくて、私は二人にスマホを向けた。
「きゃーーー、なにこの水着!?」と有希が声を上げた。
私もそれで顔が赤くなったのだ。美香さん……、このビキニ……。
「見てるだけで恥ずかしくなるね……」と有希も顔が赤い。
「おへその下、三分の一くらいしか隠してないよ……」
「胸おっきい……、ちょっと動いたらはみだしそう……」
「え、この人ってもしかして……」サングラスをしていてわからないかなと思ったけど、智子が気づいたらしい。
「美香さんだよ」
「え、美香さんって、こないだの……」
「うん。そう」
「これ、山崎美香!?」
「え、どういう関係? 友達になったの?」
「うん。というか、友達のお姉さんだったの。それで私を覚えてて、声をかけてくれたんだって」
「すっごい偶然。それよりそれって、彼氏できるよりすごくない?」有希も興奮しすぎて言葉に遠慮が無くなってきているのが面白かった。
「私も驚いた」
「そりゃそうよねー、てか奈央、最近奈央が変わったのって、もしかしてこの人のせい?」
「うん。百パーセントそう。物の見方がね、百八十度変わっちゃった」
「すっごいね。にしても、やっぱこの水着……」
「そうだよね……」と私も言って、改めて美香さんの着ているビキニ……、と思いながら、ビキニもすごいんだけど……、やっぱ美香さんてスタイルいい。まるで芸術作品を見てるようだと写真に見入った。色も白くて、肌がきれいで、それでいて顔は彫が深いから、髪の毛の黒さと相まって、神秘的にすら感じてしまう。
うっとりしていると、「ちょっと奈央、やっぱりあなた、彼氏の写真でも見るような顔になってるよ?」と有希に言われてしまった。
「ほんとほんと、私を抱いてー、みたいな顔」と智子が言った。
「ちょっと智子、どんな顔よそれ!」と言いながら、有希は私の顔を見てふと目を逸らした。
私は笑いが止まらなかった。
「カロリーはとっちゃ駄目だとか思ってない?」美香さんは訊いた。
「ええ、とくに私みたいな身体には」
「それは『カロリー』って言葉を悪者にしたいだけ。そもそも人間って動物でしょ? カロリーっていうのは、動物が生きていくために必要なエネルギーのことよ。わかる? 動物はみんな、このカロリーを得るために必死なの。草食動物はそのために丸一日草を食べてるし、肉食動物は週に一度成功するかしないかの狩りを命がけでやってるわ。でも人間は、農業や家畜を育てることで、カロリーを簡単に手に入れることができるようになった。それはいいのだけれど、本能的な部分で人間はやはり動物だから、生きていくために必死にカロリーを求めてしまうのよ。脂っこいものや甘いものを食べたくなるのはそのせい。生きるための本能だからあたりまえなの」
「でもそれじゃあ、みんなどんどん私みたいになっちゃう」
「そうね、その通り。人間には理性があるのだから、状況を分析して、自制するべきところは自制するのよ。けれど、なんらかのストレスがかかって理性よりも本能が勝ったり、育った環境なんかでそれがうまくいかないことがあるわ。その結果がこの身体よ」と美香さんは私のお腹の肉を服の上からつまんで遠慮なく言った。
私はもはや、美香さんにこの身体のことをどう言われようと何も傷つかなくなっていた。それほどに美香さんは私の中で大きく、信頼できる人だったのだ。
「カロリーはとりすぎるのは駄目だけど、逆に取らないのも駄目。よく炭水化物が駄目だとか言ってお米をやめるダイエットをする人がいるけれど、お米はとても栄養バランスの良い食べ物なの。それをやめるなんてナンセンスよ。お米に含まれるビタミンは肌をきれいにしたり粘膜を健康に保ってくれる。せっかく痩せても体がボロボロになっちゃ意味ないでしょ? それに腹持ちもいいから、お腹がすきにくい」
私は自分がしていたダイエットを思い出し、恥ずかしくなった。
「とにかくバランスが大事なの。カロリーは三大栄養素と呼ばれているの。つまり、炭水化物、脂質、タンパク質ね。炭水化物はお米やパン、穀物やフルーツなんかよ。一日に必要なカロリーの50から60パーセントくらいを目安に摂るといいわ」
「一日に必要なカロリー?」
「そうね、それが先ね。二十代女性に必要な一日のカロリーは、だいたい2000キロカロリーくらいだと言われているわ。どの食べ物がどれくらいのカロリーか、これはもう自分で覚えるか調べるしかないわね。でも簡単よ?」
「どうやって?」
「ごはんがお茶碗に軽く一杯で250キロカロリーくらいかしら。お肉なんかは、脂身を食べるか食べないかでだいぶ変わるわね。ブタのばら肉なんかを食べると、100グラムで400キロカロリー近くいくこともあるから注意しなさい? 無難なのは、鶏肉を皮なしで食べることね。ササミなら、100キロカロリーちょっとしかないわ。あとそうね、食パンは薄いものなら150キロカロリーくらいだけど、菓子パンはものによっては一個で400キロカロリー以上になることもある」
「そんなのどこで覚えたんですか?」
「コンビニよ」
「コンビニ?」
「そう。見たことない? だいたいパッケージの裏を見ると書いてあるわ。最初はそれを見ながら、自分がいったいどれくらいのカロリーを取っているのか計算する癖をつけるの。それから、個々の食品についてはネットですぐに調べられるわ。ハンバーガー屋やピザ屋なんかだと、自分たちの扱っている商品の栄養素やカロリーを公開しているところもある。さっき三大栄養素と言ったけど、カロリーの計算も意外とシンプルなの。それぞれ1グラムあたり、炭水化物は4キロカロリー、脂質は9キロカロリー、タンパク質は4キロカロリー、それぞれを掛けて足したものがカロリーよ。で、話は戻るけど、脂質は字のとおり、油を含む食品に多いわ。細胞膜やホルモンを作ったり、内臓を守る働きがある。肉はもちろん、ドレッシングやマヨネーズ、ナッツ類に乳製品なんかよ。一日にだいたい20から30パーセントを目安に摂るの。あとはタンパク質ね。体を作る材料となるものよ。肉の赤身や魚、大豆製品なんかに多く含まれているわ。これは一日に13から20パーセントくらいを目安に摂るといいわ。細かく計算しろとは言わない。けれど、朝昼晩、ノートをつけて、いったい自分が毎日どんな食生活をして、カロリーをどれくらい摂っているか見える形にするの。そしてそれを見ながら、バランスよく2000キロカロリー前後になるように少しずつ修正していくのよ」
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