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プロローグ

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 異世界に通じると言われる踏切があった。
 とても小さな踏切で、そこを使う人は誰もいなかった。
 幾人かの人々がそこで命を絶ち、幾人かの人々はそこで姿を消して違う世界へと行った。
 誰もがその世界へ行けるわけではなかった。
 神の末裔、もしくは神に仕えていた者の生まれ変わりのみが、その世界へ行けた。
 だが、そのことを知る者は誰もいなかった。
 そして、そこから二人の神が帰還したことも、知る者は誰もいなかった。

 神と太陽の国、日本。
 科学と経済が発展の指標となった世界で、ゆいいつ神が現存する国となった。
 そしてそこに生きるのは神々だけではなかった。
 数多の妖怪、鬼、亡霊、様々な化け物たちが人を恐れさせ、人と並んでこの国を支配した。
 神々は人の世界を守るため、国の至る所に顛倒結界(てんどうけっかい)と呼ばれる結界をはり、化け物たちをそこに閉じ込めた。
 が、しかし……、その結界から抜け出る物、あるいは原因不明に出没する化け物もまれにいた。
 それらは力を持つ神職の者たちによって見つけられ、退治されたが、それを免れた物は人を襲い、命を奪い、食い物とした。
 そしてその中には、およそ二千年前、八岐大蛇と呼ばれ恐れられた八つの頭を持つ蛇の化け物がいた。
 神をも超える力を持ち、やがて自ら国をも飲み込むほどの神となる野望を抱きながら、一人の荒ぶる神に殺された。その魂の一つが一人の人間の肉体と魂を奪い取り、己のものとし蘇った。
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