4 / 11
4
しおりを挟む
お父様の話によるとこの水晶は特殊な魔力を秘めておりその魔力を使うことで他人の夢に入ったりすることが出来るらしい。
さらに他人の夢を繋ぐことも出来る役にたつのか分からない品物だ。
たまたまとある美しい川の近くで見つけたらしい。
ただこのくらいの大きさ的に使えるのはたったの1回らしい。
だからもし使用するなら注意することと説明し終わった途端お父様は仕事、お母様はやり残した刺繍の続きをするために帰って行った。
「……悪役令嬢ソフィアの父親ってなんか…変な人ね…」
でもとても優しくていい父親だなと思いながら夢見の水晶を見る。
キラキラと輝いているその水晶は普通に加工品にすれば高く売れそうだ。
「だけど他人の夢に干渉に繋げるね……」
あんまり需要がないな…
いやだがしかしもしかしたら推しの声優と同じ夢が見られるかも…
そんなことを考えていると急にとある考えが浮かんだ。
「もしかしたらこの水晶を使ったら…」
お父さんとお母さんに会えるかもしれない…。
無謀かも知れないしまず1度死んだ私が両親達の夢に干渉してもいいのだろうか…?
まずこの姿で両親達が私と気づいてくれるのか…
そんなことを悶々と考えながら水晶を見る。
美しく輝く水晶は難しい顔で悩んでいる私の顔を映している。
だけどすぐにそんな考えは私の頭から吹っ飛んだ。
「あぁ~!もうやってみないと分かんないでしょ!」
そもそもこの話がお父様の作り話と言う説もある!
それにその話が本当にだったとしても死人が夢枕に立つ話を聞いた事はあるし!
大丈夫大丈夫!と念じながらベッドの近くの机に水晶を置く。
そして布団に潜って目を閉じ水晶に願う。
「私のお父さんとお母さんの夢に入れますように…!」
ぎゅっと目を閉じ願ったその瞬間水晶が光輝きだした!
「えっ!?なになに!!」
すごく強烈に輝くその光に一瞬瞼が開いたがすぐに閉じてしまう。
するとすぐに私の意識は遠くなっていった。
……………聞いた事がある声がする。
どうやら私の事を心配しているらしい。
「大丈夫?しっかりして!」
その声に目を覚ますとそこは
すこし傷んでいるダイニングテーブル。
ちょっと狭い家。
ソファーの上にはお母さんが一目惚れして買ったと言っていたオシャレなクッション。
何より私が倒れているそこはお母さんと一緒にこれがいい!と言って買ったふわふわのラグ。
見覚えのありすぎる光景に急激に覚醒し、起き上がる。
そして私を案じている声の主を見ておもわずびっくりしてしまった。
お父さん…お母さん…?
少しやつれているが間違いない。
お気に入りのクリーム色のエプロンを付けたお母さんと、私が誕生日にプレゼントした眼鏡を付けたお父さんがいた。
「よかった!目が覚めたのね。今日は少し疲れてすぐに寝たのに気がついたらパジャマじゃないしなぜかリビングには女の子が倒れているしで…びっくりしちゃって…」
「あぁ…。いったいどうなってんだ。
あとなんで俺達はリビングに立っているんだ?」
お父さんとお母さんはなぜだという顔でお互いを見つめあっている。
私はそれどころではなく泣きそうになっていたが手に違和感を感じ下を見るとそこには夢見の水晶があった。
ただ、光が少しずつ鈍くなっている。
どうやらこの光が完全に消えると私の夢は終わるらしい。
私は下を見ながらなんて話せばいいのだろうか。
こんな姿で「私」だと信じてもらえるのかと
悩んでいるとふとリビングの奥にある黒い物に目がいった。
私の視線に気がついたお母さんがその方向を見て納得した顔で私を見る。
「……1ヶ月前に私達の娘が死んじゃったの。
あれはあの子の仏壇よ。」
って言っても分からないか。とお母さんは諦めた表情で言う。
そこにあったのは黒い仏壇の中の写真立てに笑顔でこちらを向いている「私」だった……
故人 「佐藤 あかり」 享年17歳
そう私の名前が書かれていた。
さらに他人の夢を繋ぐことも出来る役にたつのか分からない品物だ。
たまたまとある美しい川の近くで見つけたらしい。
ただこのくらいの大きさ的に使えるのはたったの1回らしい。
だからもし使用するなら注意することと説明し終わった途端お父様は仕事、お母様はやり残した刺繍の続きをするために帰って行った。
「……悪役令嬢ソフィアの父親ってなんか…変な人ね…」
でもとても優しくていい父親だなと思いながら夢見の水晶を見る。
キラキラと輝いているその水晶は普通に加工品にすれば高く売れそうだ。
「だけど他人の夢に干渉に繋げるね……」
あんまり需要がないな…
いやだがしかしもしかしたら推しの声優と同じ夢が見られるかも…
そんなことを考えていると急にとある考えが浮かんだ。
「もしかしたらこの水晶を使ったら…」
お父さんとお母さんに会えるかもしれない…。
無謀かも知れないしまず1度死んだ私が両親達の夢に干渉してもいいのだろうか…?
まずこの姿で両親達が私と気づいてくれるのか…
そんなことを悶々と考えながら水晶を見る。
美しく輝く水晶は難しい顔で悩んでいる私の顔を映している。
だけどすぐにそんな考えは私の頭から吹っ飛んだ。
「あぁ~!もうやってみないと分かんないでしょ!」
そもそもこの話がお父様の作り話と言う説もある!
それにその話が本当にだったとしても死人が夢枕に立つ話を聞いた事はあるし!
大丈夫大丈夫!と念じながらベッドの近くの机に水晶を置く。
そして布団に潜って目を閉じ水晶に願う。
「私のお父さんとお母さんの夢に入れますように…!」
ぎゅっと目を閉じ願ったその瞬間水晶が光輝きだした!
「えっ!?なになに!!」
すごく強烈に輝くその光に一瞬瞼が開いたがすぐに閉じてしまう。
するとすぐに私の意識は遠くなっていった。
……………聞いた事がある声がする。
どうやら私の事を心配しているらしい。
「大丈夫?しっかりして!」
その声に目を覚ますとそこは
すこし傷んでいるダイニングテーブル。
ちょっと狭い家。
ソファーの上にはお母さんが一目惚れして買ったと言っていたオシャレなクッション。
何より私が倒れているそこはお母さんと一緒にこれがいい!と言って買ったふわふわのラグ。
見覚えのありすぎる光景に急激に覚醒し、起き上がる。
そして私を案じている声の主を見ておもわずびっくりしてしまった。
お父さん…お母さん…?
少しやつれているが間違いない。
お気に入りのクリーム色のエプロンを付けたお母さんと、私が誕生日にプレゼントした眼鏡を付けたお父さんがいた。
「よかった!目が覚めたのね。今日は少し疲れてすぐに寝たのに気がついたらパジャマじゃないしなぜかリビングには女の子が倒れているしで…びっくりしちゃって…」
「あぁ…。いったいどうなってんだ。
あとなんで俺達はリビングに立っているんだ?」
お父さんとお母さんはなぜだという顔でお互いを見つめあっている。
私はそれどころではなく泣きそうになっていたが手に違和感を感じ下を見るとそこには夢見の水晶があった。
ただ、光が少しずつ鈍くなっている。
どうやらこの光が完全に消えると私の夢は終わるらしい。
私は下を見ながらなんて話せばいいのだろうか。
こんな姿で「私」だと信じてもらえるのかと
悩んでいるとふとリビングの奥にある黒い物に目がいった。
私の視線に気がついたお母さんがその方向を見て納得した顔で私を見る。
「……1ヶ月前に私達の娘が死んじゃったの。
あれはあの子の仏壇よ。」
って言っても分からないか。とお母さんは諦めた表情で言う。
そこにあったのは黒い仏壇の中の写真立てに笑顔でこちらを向いている「私」だった……
故人 「佐藤 あかり」 享年17歳
そう私の名前が書かれていた。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
婚約破棄は踊り続ける
お好み焼き
恋愛
聖女が現れたことによりルベデルカ公爵令嬢はルーベルバッハ王太子殿下との婚約を白紙にされた。だがその半年後、ルーベルバッハが訪れてきてこう言った。
「聖女は王太子妃じゃなく神の花嫁となる道を選んだよ。頼むから結婚しておくれよ」
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる