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 翌朝、身体の痛みはあるものの、リクにたっぷり愛され、幸せな微睡みを続けていたが 『ぐ~ぅ』と言う可愛くない腹の虫が騒ぎ出しだ。

「黒猫はいつも空腹だな」

 ククッとリクさんに笑われる。

「ちょっと、待ってろな」

 と透の頭をグリグリ撫でて寝室を出ようとするが、ふと振り返り

「黒猫、リビングまで来れるか?」

 と聞いてくる。
  
「うっ、無理かも」

 昨夜、リクから激しく愛される過ぎて、身体があちこち痛いのだ。襲われた時とは違い、幸せな痛みだけどね。身体は綺麗になっている様なので、意識を飛ばしてしまった後にリクがお風呂に入れてくれたのだろう。自分の意識がない時にお風呂って恥ずかしい。リクにはすっかり色々な所を観察されているのに。

「だよな」

 クローゼットからシャツを一枚出すと、透に着せる。そしてそのままお姫様抱っこでリビングまで運ぶ。3度目のお姫様抱っこだが慣れない。しかもシャツは着たがパンツは履いてないのだ。もじもじしてしまう。

「ああ、着替えを取りに行こうと思うんだけどな。勝手に部屋に入るのもどうかと思って」

 朝食をテーブルに並べながらリクが言う。

「俺、そろそろ自分の部屋に帰りますよ。これ以上迷惑かけれないし」

「泉にもお願いされてるし、俺が帰したくないんだよ」

 言いながら透の髪に『チュッ』とキスする。

 あわわわわっ。

 いきなりそんな事されてビックリする。

「俺が黒猫拾ったんだからちゃんと飼うよ?いっそ黒猫、ココに引っ越すか?ああ、そうしようか。うんうん」

 1人で勝手に話を進めスマホを取り出し、電話を始める。

「あ、泉?黒猫の部屋の荷物、俺の部屋に運んで?一緒に暮らすわ。あ?黒猫?ああ、喜んでるよ。無理強い?するわけ無いだろ。じゃあ、早めに頼むな」

 電話を切ったリクは微笑む。

「午後には荷物来るらしいよ。良かったな」

 ・・・、泉さん人はもっと疑ってよ。





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