指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 願い箱から出てきたその物体は、優ではとても持ち上げる事は出来ず、アレク様でも移動する事が出来なかった。なので、アレク様のベッドの横に落ちている。

「アレク様すいません。私が何かすると、何だかいつも問題が起きてしまいますね」

 物体を横目にシュンと項垂れる。

「優のせいじゃ無いだろう?大きくなってしまった件は、俺のキスだしな」

 まあ、確かに。

 アレク様に冗談でもキスされなければ、未だに7歳児だったよね。でも、子供より今の姿の方が気に入っているけど。

「とりあえず、今日はもう寝よう。朝から疲れた」

「そうですね。おやすみなさい、アレク様」

「おやすみ、優」

 アレク様は優の髪に『チュッ』とキスを落とし、抱きしめる。アレク様の体温は優よりも少し温かい。その温もりに包まれて優はゆっくり眠りにつく。

 『明日は平穏な一日になりますように』と願いながら。




 翌日はここ最近で穏やかな1日となった。

 馬の葉の水遣りも力加減が出来ているので、いつも通りの成長で止める。魔導師塔の畑も普段通りこなす。

 うんうん。今日は順調だぁ。紅もちゃんと手乗りグリフィンだし♪

 午後からはライ様の部屋で魔術の本を読み勉強する。分からない内容はライ様が優しく解説してくれる。ライ様は優のどんな質問にもすぐに答えてくれる。

 午後にはいつの頃からかティータイムが出来、30分ほどライ様と色々な話をする時間になっている。

「ライ様、グリフィンがぶどうを食べるとどうなるか知ってますか?」

「ああ、酔っ払うんだろ?」

「知ってましたか。でも、紅は昨日酔っ払った挙句、人間になったんですよ~っ。しかも裸で。びっくりもいいところです」

「えっ?ソレは初耳。ぶどう食べただけで?そもそもグリフィンが人間にって聞いた事ないけどな?」

 ライ様は興味深々な顔になる。

「酔っ払った紅があまりにも可愛くて、ついキスしたら人間になっちゃって」

 てへっと笑う優に

「ソレは是非見たいって!明日、やろう。明日の午後の課題はソレで」

「えっ!?イヤですよ。人間バージョンの紅、エロいんですっ」

「どう?」

「秘密ですっ。紅は人間にはしませんっ」

「ふ~ん、じゃあまたの機会に」

 でも、ライ様のその顔には何か企んでいる気配がある。ぶどうの木は諦めようかな・・・。でも、美味しいし。

 その後、ライ様は陛下から召集がかかり、優はアレク様の屋敷に帰る。

 その日の夜、アレク様はなかなか屋敷に戻らず、優はアレク様のベッドで1人眠りに就いたのだった。






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