指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 翌朝、真新しい騎士服に身を包み、アレク様と朝食を食べる。しかし、いつもは何かしら会話があるのに今日のアレク様は黙ったままで食事を終える。優も黙々と食べる。

 食べ終わるとそれぞれ、銀と紅に乗り城に向かう。優は大きくなっても、それまで通り紅に乗る事が出来る。

 厩舎に着くと、厩舎係がアレク様と共にグリフィンから降りた優を見て唖然とする。いつもは小さな女の子がぴょんと降りてくるのに、今日は若い女性が降りて来たのだ。しかも、紅は手乗りグリフィンになり優の肩に乗る。優の日課、馬の葉の水遣りもこなしアレク様と騎士塔に向かって行くのだ。

 騎士塔に向かい、グリフィン騎士団の部屋に入ると団員が固まる。アレク様が

「優だ」

 と説明しても、半信半疑という顔だ。

 朝礼を終え、テキパキと団員に指示を出したアレク様は優と共に魔導師塔に向かう。

「相変わらずこの道は薄暗いんだな」

「そんなんです、お化けでそうイヤなんですけど。ライ様は気に入ってるみたいで改善してくれないんです」

「ライ様らしいな」

 ふふっとアレク様が笑う。今日はじめての笑顔だ。



「優っ、式で姿は見たけどホントに成長したね~。で、何がきっかけ?」

「きっかけ?」

「ああ、何かをしたから成長したんだろ?何したんだ?」

「え!?え~っと・・・・」

 お姫様抱っこで運ばれて、降りようとした弾みでアレク様とぶつかって。『キスはこうだ』とキスされて・・・。

「キス?」

「は?」

「アレク様とキスしたら体が光って、気がついたら大きくなってた。かな?」

 アレク様を見ると目線がナナメ上を泳いでいる。

「アレクが子供とキス!?ロリ趣味だったのか!?」

 ライ様が驚く。

「事故でキスは申し訳ないから、ちゃんとキスし直しただけだ」

 アレク様がライ様に言うと、フイッとまた視線を外す。

「ふ~ん、キスねぇ・・・」

 ライ様は何か考え、閃いたらしく『ポンッ』と手を叩く。

「じゃあ、もう一度キスしてみてよ」

 普段の口調で爆弾発言をするのだった。



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