指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 アレク様が話し始めるた内容はーーー。

 此の世界、アナザーアースにはいくつかの国があり、今、優がいる国はラビリオ国と言うらしい。その首都ラビリンから馬で10分程にあるこの屋敷は、アレクサンドル所有のものだ。

 このラビリオには古くから魔力を受け継いだ者が多く生まれが、ほとんどの者がその血筋がはっきりわかる。しかし、争いが絶えないこの世界では数十年に1人、北極星の導きにより、フェアリーと呼ばれる強い魔力を持った者が現れるらしい。それがーーー。

「多分、優だな。今は近隣国との争いが日々絶えず国のどこかで戦が続いている。しかも一昨日の夜、かつてない程の北極星の輝きが観測されたようだ。昨日、臨時の軍会議があったのもそのせいだ。今日もな。各国がフェアリーを探し始めるだろう。俺たちもその予定だった。だか、優がフェアリーだとするならばその必要は無くなる。優、明日一緒に登城して欲しい」

「はぁ」

 目が覚めなければ。そう思っているとバタバタっ足音が聞こえてくる。なんだろう?と思っていると

「アレク様っ!申し訳ありません。紅が暴れて手が付けられないのですが・・・」

 厩係が血相を変えてやって来る。

「すぐに行く」

「私も行きますっ」

 小走りで歩くアレク様の後ろを優は全力で走る。脚の長さが違うのだ、しかもアレク様は小走り。厩に着く頃には優の息は完全に上がっていた。

 厩の中は何かが暴れていて地響きと奇声が聞こえる。紅がいる厩の奥に行くと、紅が暴れている。銀は迷惑そうな顔で避難している。

「紅っ!どうしたのっ。迷惑かけちゃダメだよ、大人しくして!?」

 優が紅に触れると、みるみる小さくなり手乗りグリフィンサイズになる。ぴょんと跳ね、羽をパタパタして優の肩に留まる。

「どうしたの紅?厩はイヤなの?」

 聞いてみるとキーキー返事をする。

「アレク様、部屋に連れて行ってもいいですか?大人しくする様に言いますから。て言うか、ペンダントに戻せないんですか?」

 と聞くと、更に大きくギーギー鳴く。

「戻せない事はないが、まあ、出しといた方がいいみたいだな」

 アレク様の言葉が分かるのか大人しくなった。 館内に戻りながらエマさんに紅を入れるカゴと布を指示する。

 優が部屋に戻ると、エマさんがカゴに布を敷き優に渡してくる。

「エマさん、ありがと」

 そう言うと、紅は小さな羽をパタパタしてカゴの中に入る。可愛いっ!

 「紅、部屋の中ではカゴが定位置だからね、大人しくしないと厩行きだからね」

 優が子供に言い聞かせる様に言うと、了解とばかりに

「きゅー」

 と鳴いた。それを見ていたエマさんは、クスクスと笑う。子供が子供に言い聞かせる様な言葉が面白かったらしい。私は23歳だけどね。


 
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