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「お姉様っ!!どうしたのですか!?」

 周りには仮面を付けた男性・女性がいるため、ライラの名前を呼べず、『お姉様』呼びを続けるが、ライラは腕を引っ張ったまま、ズカズカと大股で歩き、建物から出てしまった。

 入り口付近に控えていた御者が慌てて馬車を取りに向かったので、人のいない場所でライラに問い詰める。

「ライラっ、どうしたのよ?楽しそうにダンスを踊っていたじゃない?」

 ライラに声を掛けてきた男性と楽しそうに踊っていたのに。初めしか見てないけど。だってすぐにお料理のバイキングコーナーに移動したし。

「最っ底な男だったのよ!!見た目はソレナリだったのに!!踊り始めて数分もしないうちに気持ち悪い言葉連発よっ!!ベタベタと馴れ馴れしく人の身体を触りまくるしっ!!思わず鳩尾に一発喰らわせて来たわっ!!」

 と、ライラは拳を目の前でグッと握った。

 気持ち悪い言葉・・・、何だろう?

「ナツキ、気持ち悪い言葉が気になるの?下ネタ連発だけど、聞きたい?私は言いたくは無いけど!?」

「私も聞きたくは無いデス・・・」

 ライラの気迫に押されたのと、不愉快そうな話しなので、触らぬライラに祟り無し状態でソノ話しには触れない様にした。

「で、ナツキのイケメン金髪はどうだったの?変なヤツじゃなかった?」

 御者が戻って来たので、馬車に乗り込みながらライラは聞いてくる。

「ライトは・・・、ああ、一緒にいた人の仮名なんだけど普通だったよ?話しやすかったし、何だか久しぶりに楽しかったな。また会いたいな」

「あら、じゃあお邪魔しちゃったわね?次に会ったら進展ありそうじゃない?」

 ライラはさっきまでの怒りの形相はすっかりなりを潜め、目を爛々と輝かせ聞いてくる。

「う~ん、でも探してる人がいるんだって。『私よりも少し茶色がかった金髪で、目は薄いブルーグレーで、双子の姉妹。夏の避暑の時期に湖のそばに来てた。その年に一度会って以降、別荘に行っても会えない』って、ライラは心当たりある人いる?私は浮かばないのよね~」

「心当たり、あるわよ」

 ライラはシレッと答える。

「まあっ!!ライラ、是非ライトに教えてあげて?結ばれる・結ばれないは分からないけれど、ライトはずっと探してるみたいなの」

「いいわ、次に会う事があれば教えてあげても」

 ライラは含みのある顔をしながら言う。

「じゃあ、ライラ。先に私にも教えて?」

 期待を込めた声でお願いするも、

「イヤ」

 と一蹴されてしまった。

 ライラの意地悪。

 




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