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父が働きかけてくれたお陰で、元領民の移住は順調に進んだ。もちろん家の建築も早急に行われた。
街道の整備も順調で、他の領地の商人が店を出したいとの問い合わせも多い。商店を出したい商人は自分で建築の手配をしたいと言う者もおり、街並みのイメージを壊さないように指導しながら進める事もあった。
ローゼリアは週に4日ほど領地に行き、復興に力を注いで行った。セバスチャンの息子、カイルもローゼリアの補佐に加わり、かなりやりやすくなった。
あっと言う間に月日は流れ、復興も終盤に差し掛かってきた。
後は、馬の葉だわ。
「ローズ、この緑色のパンは?何だ?」
父は怪訝そうな顔をして、パンを指差す。
「まあ、食べて下さい。どうですか?」
「ふむ、まあ、パンだな。可もなく、不可もなく」
「では、通常のパンよりもこちらのパンを食べた方が、お腹周りの脂肪の燃焼が良くなると言ったらどうでしょう?」
「むっ!?それはこのパンを食べるだろう。味もあんまり変わらないし、どうせ同じように食べるのだ。で、ローズ、コレは何だ?」
「ふふっ、馬の葉パンです。以前、馬の葉を乾燥させ、水に溶かして飲むというお話をしましたね?パンに乾燥させたモノを練り込んだのです。馬の葉には様々な効果がある事が分かってきました。馬の葉の加工食品を特産品としてセイレンで売り出します!もちろん、スノーランドの冬場の野菜不足にも貢献できるとか思います。馬の葉パンを教会で売り出そうと思うのですが、よろしいでしょうか?」
今現在もスノーランドの教会では普通のパンは売っている。それにプラスして馬の葉パンも売りたいと考えているのだ。
「うむ、パンの材料費はローズが寄付し、売り上げがそのまま教会に入るのだったな。ならば馬の葉も寄付して試してみなさい。許可する」
「はいっ!」
スノーランド領のローゼリアの屋敷とセイレン領のローゼリアの屋敷は馬車で片道1時間弱である。
今日もローゼリアがセイレンに向かっている途中、白馬の王子を拾った。道端に王子が落ちていたのだ。何故王子だと分かったのかと言うと、まず、白馬に乗っていた点と馬の鞍に王族の紋章が入っていた事、倒れていた人が金髪だったからだ。何度か王妃様主催のお茶会で3人の王子に会った事があるので、ローゼリアと同じ歳の第3王子だと思われる。
御者の手を借り、馬車に乗せ、白馬は手綱を馬車に括りつけた。そして、セイレンの屋敷に連れ帰り、カイルの手を借り客室に運んでもらった。もちろんウルフ医師にも来てもらい、診察をお願いする。ウルフ医師は屋敷内に部屋を持っているので、すぐに来てくれた。しばらくして診察が終わったようなので、ローゼリアは室内に入り話を聞く。
「ウルフ先生、彼は大丈夫ですか?」
一応、王族と言うのは隠してみた。
「ああ、空腹と貧血だな。目が覚めたら栄養のある胃に優しいモノを食べさせてみて。あとは休養だ」
そう話し、ウルフ医師は部屋を去った。
街道の整備も順調で、他の領地の商人が店を出したいとの問い合わせも多い。商店を出したい商人は自分で建築の手配をしたいと言う者もおり、街並みのイメージを壊さないように指導しながら進める事もあった。
ローゼリアは週に4日ほど領地に行き、復興に力を注いで行った。セバスチャンの息子、カイルもローゼリアの補佐に加わり、かなりやりやすくなった。
あっと言う間に月日は流れ、復興も終盤に差し掛かってきた。
後は、馬の葉だわ。
「ローズ、この緑色のパンは?何だ?」
父は怪訝そうな顔をして、パンを指差す。
「まあ、食べて下さい。どうですか?」
「ふむ、まあ、パンだな。可もなく、不可もなく」
「では、通常のパンよりもこちらのパンを食べた方が、お腹周りの脂肪の燃焼が良くなると言ったらどうでしょう?」
「むっ!?それはこのパンを食べるだろう。味もあんまり変わらないし、どうせ同じように食べるのだ。で、ローズ、コレは何だ?」
「ふふっ、馬の葉パンです。以前、馬の葉を乾燥させ、水に溶かして飲むというお話をしましたね?パンに乾燥させたモノを練り込んだのです。馬の葉には様々な効果がある事が分かってきました。馬の葉の加工食品を特産品としてセイレンで売り出します!もちろん、スノーランドの冬場の野菜不足にも貢献できるとか思います。馬の葉パンを教会で売り出そうと思うのですが、よろしいでしょうか?」
今現在もスノーランドの教会では普通のパンは売っている。それにプラスして馬の葉パンも売りたいと考えているのだ。
「うむ、パンの材料費はローズが寄付し、売り上げがそのまま教会に入るのだったな。ならば馬の葉も寄付して試してみなさい。許可する」
「はいっ!」
スノーランド領のローゼリアの屋敷とセイレン領のローゼリアの屋敷は馬車で片道1時間弱である。
今日もローゼリアがセイレンに向かっている途中、白馬の王子を拾った。道端に王子が落ちていたのだ。何故王子だと分かったのかと言うと、まず、白馬に乗っていた点と馬の鞍に王族の紋章が入っていた事、倒れていた人が金髪だったからだ。何度か王妃様主催のお茶会で3人の王子に会った事があるので、ローゼリアと同じ歳の第3王子だと思われる。
御者の手を借り、馬車に乗せ、白馬は手綱を馬車に括りつけた。そして、セイレンの屋敷に連れ帰り、カイルの手を借り客室に運んでもらった。もちろんウルフ医師にも来てもらい、診察をお願いする。ウルフ医師は屋敷内に部屋を持っているので、すぐに来てくれた。しばらくして診察が終わったようなので、ローゼリアは室内に入り話を聞く。
「ウルフ先生、彼は大丈夫ですか?」
一応、王族と言うのは隠してみた。
「ああ、空腹と貧血だな。目が覚めたら栄養のある胃に優しいモノを食べさせてみて。あとは休養だ」
そう話し、ウルフ医師は部屋を去った。
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