上 下
10 / 31

9

しおりを挟む
 石の階段を降りる。1つ下はお話し部屋、その下は入れない部屋で扉があるであろう場所に扉は無い。ホントに入る場所が無いようだ。更に1つ下の階に降り、扉を開け中に入る。

 うわぁ、埃臭い。

 中には家具が押し込められている。かなり古いようだ。

 「ココの家具は歴代の天狗が使っていたモノだ。俺も前天狗の家具をココに運んでもらった」

 中の通れそうな所だけ歩いてみる。

 ん?

 「気のせいかもしれないけど、上の部屋よりも広い?」

 上の部屋が細かく仕切られていたからだろうか?何となくこの部屋の方が断然広く感じる。

 「古い建物だからな。今程建築技術も無いだろうから多少はアバウトなんだろ?この部屋、埃臭いな。俺はもう出るぞ」

 カミーユが部屋から出た後、窓から外を見る。ココは1階だ。1階?

 おかしい。

 「カミーユっ!!おかしいっ!!」

 「あ?どうした?」

 「ココは1階なんだ」

 「ああ?ああ」

 「お話し部屋は何階?」

 「2階だな」

 「カミーユの部屋は?」

 「3階だ」

 「入れない部屋は?」

 「1階・・・のはずはないな」

 「そう、階段と部屋の階がズレてるのよ。普通の折り返し階段であればすぐに気づくわ。でも螺旋階段でカミーユは自分の部屋とお話し部屋しか移動しない。自分が何階にいても気にならない。屋敷内の通常の階段では、私の部屋は2階だったわ。ねえ、ダリは気づいていたの?」

  ひっそりと後を付いてきていたダリにたずねる。

 「ええ、知っていましたよ。外から見た事があるのでカミーユの部屋が1階分ズレていると。階段がトリックなんだと気が付いていましたが、入れない部屋に行く方法は見つけられませんでした。入れない部屋があるフロアは誰も行けないのです。カレン様は目の付け所が素晴らしいですね」

 「でも、入れない部屋の行き方が分からないわ。あの部屋はホントに天狗と関係無いのか、有るのかも」

 「そうですね。今日はココまでにして、続きはまた明日にしましょう」

 ダリの言葉で今日のお話し時間は終わりになったのだが。

 降りる分には楽な階段も、実質3階分を上がるとなるとかなりキツかった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!

香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。 ある日、父親から 「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」 と告げられる。 伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。 その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、 伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。 親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。 ライアンは、冷酷と噂されている。 さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。 決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!? そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?

野良竜を拾ったら、女神として覚醒しそうになりました(涙

中村まり
恋愛
ある日、とある森の中で、うっかり子竜を拾ってしまったフロル。竜を飼うことは、この国では禁止されている。しがない宿屋の娘であるフロルが、何度、子竜を森に返しても、子竜はすぐに戻ってきてしまって! そんなフロルは、何故か7才の時から、ぴたりと成長を止めたまま。もうすぐ16才の誕生日を迎えようとしていたある日、子竜を探索にきた騎士団に見つかってしまう。ことの成り行きで、竜と共に城に従者としてあがることになったのだが。 「私って魔力持ちだったんですか?!」 突然判明したフロルの魔力。 宮廷魔道師長ライルの弟子となった頃、フロルの成長が急に始まってしまった。 フロルには、ありとあらゆる動物が懐き、フロルがいる場所は草花が溢れるように咲き乱れるが、本人も、周りの人間も、気がついていないのだったが。 その頃、春の女神の生まれ変わりを探し求めて、闇の帝王がこちらの世界に災いをもたらし始めて・・・! 自然系チート能力を持つフロルは、自分を待ち受ける運命にまだ気がついていないのだった。

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。

猫宮乾
恋愛
 再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

追放令嬢は六月の花嫁として隣国公爵に溺愛される

星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「えぇいっ! オレは聖女リカコとの真実の愛に目覚めたのだっ。婚約は破棄。セリカ・アーカディア嬢、今日をもって我がメサイア国から追放だっ」 「捕えろ! セリカ嬢を国外へっ」 「きゃはは! 国外追放、おめでとう! けど、果たして標本の檻から逃げられるかなぁ? セリカさまぁ」 (良かった。お母様達の本当の確執がバレなくて……) 青い蝶々のように麗しいと評判の公爵令嬢セリカ・アーカディアは、母親同士が姉妹のように育ったという新興国家メサイア国の王太子と婚約していた。だが、異世界より現れた聖女リカコの策略にハマり、国外へと追放されてしまう。だが、殆どの者は知らなかった。噂以上の確執が、セリカと王太子の母親同士にあるということに。 * 六月の花嫁を題材にした作品です。 * 序章追加。過去編イリスsideが全11話、前世編セリカsideを数話予定しております。 * この作品はアルファポリスさん、小説家になろうさんに投稿しております。

モブの私がなぜかヒロインを押し退けて王太子殿下に選ばれました

みゅー
恋愛
その国では婚約者候補を集め、その中から王太子殿下が自分の婚約者を選ぶ。 ケイトは自分がそんな乙女ゲームの世界に、転生してしまったことを知った。 だが、ケイトはそのゲームには登場しておらず、気にせずそのままその世界で自分の身の丈にあった普通の生活をするつもりでいた。だが、ある日宮廷から使者が訪れ、婚約者候補となってしまい…… そんなお話です。

完結 喪失の花嫁 見知らぬ家族に囲まれて

音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、目を覚ますと見知らぬ部屋にいて見覚えがない家族がいた。彼らは「貴女は記憶を失った」と言う。 しかし、本人はしっかり己の事を把握していたし本当の家族のことも覚えていた。 一体どういうことかと彼女は震える……

処理中です...